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テーマ:猫のいる生活(136463)
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ずっと以前に、「未来世紀ブラジル(原題ブラジル)」と云う映画を観ました。
監督はブルース・ウィリス主演の傑作映画「12モンキーズ」のテリー・ギリアムです。 20世紀のどこかの国の物語。 統制的な全体主義政府が運営する巨大組織、情報省により国民は厳しく統制され、町では爆弾テロが頻発していました。 そんな中で、情報省に勤める主人公サムは、翼の生えたナイトの格好で囚われの美女を助け出すと云う、ヘンな夢を見てはまた見て。 そうしてサムはテロリスト容疑者のタトルの助けを借りて、自分自身と周囲の無実の人々の命を救い、政府の支配の手から逃れようとします。 しかし情報省によって捕らえられ、頭(脳)を手術され廃人となって最後を迎える。 しかし、サム自身の頭の中では幸せな情景が永遠と流れていくのですね。 なんとも絶望的な映画です。 映画に描かれた政府の全体主義的な官僚政治は、ジョージ・オーウェルの小説「1984」にインスパイアされています。 ジョージ・オーウェルの「1984」は、1949年(昭和24年)に書かれたものです。 今から70年以上も前に書かれた作品ですが、「ビッグデータ」の概念が導入され、データを使った監視がすさまじいものになってる点で、現在の中国やロシアの政治そのものを表してます。 1949年と云うのはNATOが発足し、中国共産党の人民解放軍が中華民国の首都 南京を制圧した年です。 1955年にはNATOに対抗して、ソ連のスターリン肝いりでワルシャワ条約機構が発足しました。 現在、完全な民主主義国家数は24カ国しかありません。 ソ連崩壊後の現在では、社会主義国を自称する国は中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバの5カ国のみです。 しかし国際社会を大きく「民主主義」対「独裁」の構図で見た場合、人口の合計は23億人対55.6億人となり、世界の多くの人が「独裁」側に住んでいると云うことになります。 また、民主国家でも政治に懐疑心をもってる国民は非常に多いです。 ジョージ・オーウェルの「1984年」の世界では、「ビッグ・ブラザーがいつもあなたを見ている」と云う全体主義の政府が常に国民を監視して、国民の自由を制限するだけでなく、リーダーであるビッグ・ブラザーに対する感情を操作し思い通りに操っているのですね。 そのため疑問や質問、反乱を止めるために、自由な活動や文学、芸術は禁止され、歴史書や辞書は都合のいいように書き換えられているのです。 「1984」は、まさに1984年にイギリスで映画化されてます。 主演のスミス役は名優ジョン・ハート。 監督はBBCでドキュメンタリー・フィルムも制作してきたマイケル・ラドフォード。 1984年、世界は3つの国に分かれていました。 舞台となるオセアニアの国民は、思想、言語、結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられ、思想警察によって全ての行動が監視されてる社会。 真理省役人のウィンストン・スミス(ジョン・ハート)は、日々歴史記録を政府に都合いいように改竄(かいざん)する作業に携わってました。 しかし、いつしか体制に対する疑問を持ち、禁じられている日記を密かにつけ始めると云うのが冒頭のシーンです。 腕を上げ、手首を小さくV字に交差させるもので、ナチス式敬礼を容易に思い起こすものです。 全体主義国家としての強烈な印象を刻み込むシーンなんですね。 国民でさえも国家のプロパガンダに騙されて、熱狂的に政府を支持する。 まさに現在の全体主義国家となんら変わりがないのです。 そして民主国家においても、トランプ支持層のように狂信的な人種が... そんな国で批判的な行動をとったら、それが例え人知れずであっても、いたるとところに監視の目が張り巡らされてる国でとったら...末路はおのずと知れてます。 拷問にかけられ、脳をイジクリまわされ、廃人となっていくのです。 ウクライナへの侵攻、香港民主住民に対する弾圧、トランプの支持者による議事堂占拠、そしてイスラム国を始めとするシリアやイランでの人権侵害。 もっと以前には中国での天安門事件やチベット仏教への弾圧、新疆ウイグル自治区でのウイグル族大量虐殺、北朝鮮の300万人以上と云われる国民の餓死、脱北を初めとする各種の圧政・人権侵害、そして日本人や韓国人の拉致と、みんな一部の政権中枢者による犯罪行為です。 にも関わらず、国際的には全体主義国家が根強くと云うよりも、増え続けてる。 アフリカ諸国では内戦や民族紛争に始まって干ばつ、飢餓などで自国を出て難民となる人々が後をたたない。 コンゴ、南スーダン、中央アフリカ、ブルンジとアフリカ問題は枚挙にいとまがない。 これも全部、為政者の問題です。 ファシズムやナチズム、中央集権、大勢順応主義が日に日に強まってるのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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