サッカークリニッキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SOCCER CLINIKKI

「基礎練やろう。」
「ココ（のタイミング）で？」
「そーだ。基礎練って、ウォーミングアップで、
身体あっためるためだけにやってると思ってるんじゃねえだろーな？」
「ボールタッチがうまくなるようにでしょ？」
「もちろんそうだが、今日やるのは、トラップと視野の確保、
周りとターゲットを常に意識するための基礎練。実践的なの。」
「ふーん。」

「2タッチで返せ。」
「ん。」
「ファーストタッチした瞬間、左右を確認。」
「へ？」
「すぐにボールを返す。もちろん、返すときは、ボールを見て、こっち（弾道）を見る。」
「OK。」
「最初は、ゴロパスでやってみようか。」
「簡単だよ。いつもやってるから。」
「違うぞ、周りを確認してから、受けるんじゃなくて、受けてから周りを見てパスを返す。」
「おっけー。」
「こら、雑にすんなよ。首振るのが目的じゃなくて、周りを確認するためだぞ。」
「へーい。」

「OK。次は、投げるから、モモトラ。浮かせてる間に確認。
胸は、落として足で浮かせて、左右見て、正確に返す。」
「むず。」
「これ、アルゼンチンの基礎練じゃ。試合中と同じくらい忙しい。実戦的やろ？」
「ふーん。」
「胸、タテに張れ。姿勢、姿勢！」
「最近、そればっかだね。」
「そればっか、言われんようにやらんかい。クセを絶対直すんや。」
「らじゃー。」

「首振ってるだけじゃダメ。確認しろ。」
「何か問題出してよ。」
「よし。右からな。」

トラップした瞬間、
「散歩してる人の服の色」
ボールを返しながら、
「黄色。」

「犬の種類。」
「茶色の柴犬。」
「雑種やろ？」
「わかんないよ。」

「後ろ。帽子の色。」
「白と赤。」
「しっかり、返さんかい。」
「後ろは無理。」

「左。犬は何匹？」
「２ひき。」

「左右に振るぞ。」
「むず。」
「ちゃんとトラップして返さんかい！」
「白。」
「てめー。」

「今日の晩ごはん。」
「カレー。」
「何でわかるの？」
「確認済み。」