100312 記憶の素質
「クリ、明日の試合、プレーのひとつひとつを全部覚えておくつもりでやれ。」「どーゆーこと?」「んー、マイケル・ジョーダン、っておまえは知らないか?」「知ってるよ。バスケットの選手でしょ。マイケル・ジャクソンも知ってるけど。」「おー、そーだ。マイケル・ジョーダンは、シュートを打つ前のドリブルの時に、シュートが入るって分かったそーだ。」「それで?」「何でだと思う?」「敵の隙間が見えるから?」「そーだな。どこをどう通れば、抜けられるかがわかった。でもそれだけじゃない。ドリブルしてるときに入るって確信できたって言うんだ。」「かくしん?」「絶対に入るって分かるってこと。」「なんで?」「マイケルジョーダンはもちろん練習の虫。」「ふむ。」「けど、ジョーダンと同じ練習を同じ時間やったとしても、ジョーダンと同じようにはならない。」「・・・。素質がないから?」「そーだ。」「なにが言いたいのよ?」「けど、素質というのは、身体能力やセンスのことだけではない。」「なに?」「記憶力だ。」「えー?」「サッカーもバスケットも状況がコロコロ変わる。」「ふむ。」「ジョーダンは、練習ゲームや試合で、敵の間をすり抜けてシュートを打った記憶を、パスをもらった瞬間から、いや、試合の最初から最後まで覚えていて、それを脳に刻みこむ。自覚がなくても、それが潜在意識と体に浸み込んでいく。練習や試合で、何万回もシュートを打つ度にそれが刻まれると、試合でボールを持った瞬間、それを体が思い出す。全く同じ状況はないが、ほとんど同じとき、こうすればこうなる、シュートが入るって分かるってことだ。」「ふーん。どうすりゃいいのよ。」「簡単に言うと、集中しろってことだけど、ひとつひとつのプレーをていねいに気持ちを込めてやれば、その印象がしっかり残る。」「ふむ。」「例えば、ただ歩いているとき、コンビニの前を通っても、コンビニの店員さんの服は思い出せない。見たはずなのに、5分後でも思い出せない。」「そだね。」「けど、歩いているとき、見たものを全部記憶するぞと決めて歩けば、コンビニがローソンで、青と白のシマシマの制服だったって、1時間後でも、明日になっても思い出せる。」「うん。」「それと同じ事をサッカーで毎日続けて、素質やすごい才能、センスがある選手になっていくんだ。脳(潜在意識)と体に蓄積された情報や知識が能力を作り上げ、磨いていく。俊輔がよく言う“引き出し”、その場その場での対応手段を多く持つことにもなる。一流の選手は、何年も前の試合の“あの時、誰からこういうパスが来て、敵がこう来たから、こうかわして、どこにどういう球のシュートを打ったんだ。”とか、細かいことまで覚えてて話しているだろ?」「うん。」「それだけ、プレーのひとつひとつに集中し、気持ちを込めてやっているから、印象が強く残って忘れないんだと思うよ。記憶力があるからできるんじゃなくて、一瞬一瞬、大切にプレーしたり、大切に生きたりすることができるかどうかの問題で、それは、そうしようと思えば誰にでもできることだろ?」「ふむ。」「それが記憶の素質だ。」「うん。」「それがあれば、脳と体にプレーの記憶が刻み込まれて、プレーの能力も上がっていく。素質のある選手になっていく。」「覚えられないよ。」「できる。ポイントは、ゴールをしっかり意識すること。(絶対点を取る。)、(ゴールに向かって突進するぞ。)っていう意識が強くなきゃだめ。絶対取るっていう気持ちが強ければ、強いほど、成功も失敗も記憶に残る。ゴールを決めたときの嬉しさ、外したときの悔しさの印象が深く残るからだ。信じてやってみー。」「ふぁーい。」「素質ってのは、生まれた瞬間からあるわけじゃなくて、印象深く見る性格に生まれついて、物事をいつもしっかり見て、心と体に記憶させていくうちに身につくもんだ。」「ふむ。」「物事をしっかり見て、そのイメージを記憶として残すのは、生まれ持っての能力じゃなくて、今からでも鍛えていける技術だ。そういう習慣を身につける努力をすれば、素質とセンスのある選手になれるということだ。ややこしいけど、言ってる意味わかった?」「わかるよ。」「そーか、明日から、練習のとき試合のときも、気持ちを込めて、丁寧に。と言っても、ゆっくりやれってことじゃない。スピードを忘れるなよ。」「わかってるよ。」「明日の夜、試合でやったプレーとシチュエーションを全部教えてくれ。」「えー。」「大丈夫。今、出来なくても出来るようになる。毎日の積み重ねだ。目的をはっきり持って、最初から最後まで、集中して行けばできる。印象に残るように、ひとつひとつのプレーを目的に向かってしっかり、やれ。中途半端じゃダメだぞ。自分の目的と意図がはっきり分かるようなプレーをしなきゃいかん。味方にも自分にも。」「おーるらいっ。」「おお。・・・。」よろしかったらクリックお願いします。⇒にほんブログ村