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カテゴリ:がちがちハードボイルド
雫井修介のヒット作の下巻(文庫版)を読んだ。
○ストーリー 巻島警視が出演し犯人に呼びかけるニュース番組は話題となり,様々な目撃情報が捜査本部に集まり始めた。だがそれと同時に,他のニュース番組,そして新聞,週刊誌などでの,巻島の捜査方法や,過去の失態への批判も湧き起こるようになる。だがそこで,真犯人逮捕のスクープが流れ,事件は一気に・・・ ------------ 上巻を読んで思ったとおり,ミステリーよりはハードボイルド的なカラーで,物語は進む。下巻になり,語り手の視点が巻島を中心とすることで,ストーリーラインはより鮮明になり,さらに読み易くなっている。 負け犬からのマイナススタートだった巻島も,同僚からも,社会からも認知をされ,彼を捨て駒として利用しようとしていた上層部も,おいそれと手を出せなくなる。 巻島が,上層部の支配を脱することになる,あるエピソードは,やはり痛快さを感じてしまう。 ------------ クライマックスであるはずの,連続男児殺人犯を追い詰める部分は,○○がたまたまラッキーに発見してしまった,と,なんだか急に冗談のようなノリになっている。それまでの重厚な流れとは空気が違うし,犯人についての描写も少ないので,唐突に終わってしまう印象だ。 やはりミステリーというよりは,ハードボイルドなんだなあ,と改めて認識をした。 さらにその後に,もう1つ展開があるのだけど,それもヒネリが無くて,ミステリー要素は皆無だったのに落胆した。 その後,ラストまではメソメソだし・・・ ------------ ラスト直前の犯人への最後通牒は何だったのか?とか,何で巻島は長髪だったの?とか,有賀という容疑者は結局犯人だったのか?とか,いろいろ分からないことは多い。 でも「劇場型捜査」というフィクションを,その是非や,世の中の批判,対応を含めて,さらりと描き切って見せるなど,全体は見事なリアリティを作り上げているので,大きなスケールでは不満感が無い。 ミステリーとして読むと不満だろうけど,ハードボイルドとしてならば満足できるんじゃないだろうか? 日本男児だって泣いていいよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.01 23:10:22
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