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2014.04.25
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へんてこファンタジーの名人・万城目学の長編小説を読んだ。

○ストーリー
伊賀で忍者として育った風太郎は,仕事のミスが理由で,表向きは死んだこととされ,京都で長い待機生活を送ることとなる。ちょうど時代は,関が原の合戦から10年以上が経ち,戦国時代も過去となり,忍びの者の役目は消えつつあった。風太郎も,このまま平民として暮らそうと思い始めていたが,祇園祭を見物する貴人の警護をする仕事を昔の仲間から依頼される。だが大阪で最後の戦乱が起き,祇園で出会った人がきっかけで,風太郎は再び表舞台に立つことになる。最後の最後で風太郎が選んだ道とは?

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万城目学と言えば,デビュー作「鴨川ホルモー」が最も有名で映画化もされたが,ちょうど今「偉大なる、しゅららぼん」も映画化されている。これまでは現代の関西を舞台にした,少しコミカルなファンタジーを発表してきた。

主人公は,最初はごく普通の学生や若い男性であり,基本的に面倒くさがりだ。主人公はいろいろな事情で怪異と出会うが,それくらいでは生き方を変えようとしない。だが最後には,という展開が多い。・・・と,書いてみると,最近人気の作品のパターンのような気もするなあ。

1年に1つくらいしか作品を発表しないが,一定した面白さを与えてくる作家だ。

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この作品は,これまでの万城目作品と異なる点が多い。

まずは圧倒される分厚さだ。750ページはあり,落とさないためにはしっかりと握る必要がある。

次に舞台を過去に設定したことだ。これまで関西が舞台で,怪異が発生する状況やその由来には歴史を感じさせてきたが,あくまでも語り手たちは,現代の人々だった。

最後には,主人公・風太郎の生き様が,これまでの主人公と異なるということがあるだろう。

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ちなみにこの作品の主人公「風太郎」は,「ふうたろう」ではなく,「ぷうたろう,プーたろう」と読ませる。

万城目作品の主人公たちは,最初に書いたように現代的な”省エネ”な性格で,学業,仕事,部活などに,それほど積極ではない。同じように京都や関西を舞台にした作品を書く,森見登美彦の主人公ほどトンデモで意固地な性格ではないが,あまり”やる気”が前面に出るキャラではない。

この作品のキャッチコピーにも”ニート忍者”という言葉が使われていたが,前半までの風太郎は,伊賀忍者の仕事をクビになり,京都でブラブラと日雇い仕事で暮らす,引きこもりとして描写されている。まあ,だから「プーたろう」なのだろう。

もちろん,いつもの万城目作品のように,怪異と出会い,事件に巻き込まれることで,風太郎も頑張りを見せることになる。

だが,その頑張り方が,これまでの主人公と比べるととてつもなく大きく,重い。風太郎は,大阪へ向かい歴史が現在進行形で進んでいる場面に立ち会うし,自分の使命を果たすために忍者としての仕事をこなさなければならない。

終盤のシリアスな展開は,正直予測していたよりもはるかに重かった。個人的には万城目作品としては重過ぎると感じてしまった。もちろん物語の展開としては,なかなか避けられない流れだが,この作者ならばもう少し明るい終わり方をしてくれた方が,これまでの読者としては受け入れ易かったと思う。

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結果的に,万城目ファンタジーとして始まったのに,歴史物語として終わったような,そんな違和感が残ってしまった。

いろんな意味で面白い作品であることは間違いないが,(勝手な個人的な)期待からは少しだけ外れてしまった。
















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Last updated  2014.04.27 09:49:14
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