廃線の活況ってなんか変
11月25日(土)夜11時からのテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト土曜版」にて、かつての炭鉱跡や廃線跡等の、いわゆる廃墟が産業遺産として人気を集めているという特集をやっていました。その中で9年前に廃止された信越本線横川・軽井沢間の、いわゆる碓氷峠の廃線跡が活況を呈している、と紹介されていました。路線廃止になってもお客さんが集まってくるならば大変結構づくめの様ですが、どうも私は強い違和感を覚えて仕方がありません。というのも、この区間は長野新幹線開業に伴い廃止された訳ですが、急勾配の為必ず補機連結を必要とする非常に特殊な運転区間、といった事情はありましょうが、なんだかまだ命のある内に殺しちゃったみたいな後味の悪さは否定出来ません。鉄道として十分活用出来たのに、廃線になってテーマパークが出来てお客さんが集まってくるとは、たとえは悪いですが、まだ生きているゾウがいたとして、隣にもっと珍しい動物がやって来て、ゾウはエサ代も嵩むし経営上非効率的だから殺してしまえ、として、その後にメモリアルパークを作って、それ目当てのお客さんが集まってきたみたいな感じ。そう感じてしまうのは、この長野新幹線(北陸新幹線)が我が故郷赤倉温泉には爪の垢程のメリットもないからでしょう。かつて赤倉に行くには、上野駅から金沢行きの特急白山、あるいは直江津行きの特急あさまに乗って、乗り換えなしで妙高高原駅に降り立つことが出来ました。ところが在来線廃止に伴い特急も廃止。長野までは新幹線に乗り、そこから在来線に乗り換える必要があります。しかも特急は1本もなし。新幹線開業直後は快速妙高リレー号がばんばん走っていましたが、それも徐々に減ってしまいました。かつての妙高高原駅はそれは華やかでした。私の手元にある最も古い1981年(昭和56年)の時刻表を開いてみると、長距離の白山は長野・直江津間の停車駅は上越市の中心部高田駅と妙高高原駅のみ。距離の短いあさまでも、それに黒姫駅と新井駅が加わったのみ。この沿線でもまさに別格の存在だったと言えるでしょう。秘湯ブームで人気の燕温泉、現在定期路線バスは関山駅から出ていますが、かつては妙高高原駅発着でした。これは道路事情もあるでしょうが、妙高高原駅が特急停車駅だったことと決して無縁ではないでしょう。それが今では止まるのは普通列車のみ、というか優等列車の設定が全くないのですから。昔の華やかさは微塵もなくすっかり落ちぶれた様子で、何だか「和泉屋」を見ているみたいです。後何年かすると長野以北の北陸新幹線が開通します。そうなると新幹線は山一つ越えた長野県飯山市を経由することになり、我が妙高市は完全にスルーしてしまいます。平行在来線は廃止(第三セクター転換かも)となり、妙高高原駅はますます寂れてしまうでしょうね。