短歌から感じた「冬」 / 朝日歌壇
今日(11月13日)の朝日新聞朝刊の「朝日歌壇」に歌人、荻原裕幸さんの短歌が載っていた。「蕪と無が似てゐることのかなしみももろとも煮えてゆく冬の音 / 荻原裕幸」彼は「蕪と冬の重なりがうるさいのではないかなどと思いながらも、いや短歌としてはこのくらいのしつこさが必要ではないかと自問自答を繰り返す」と述べていた。この短歌は私の心を捉えた。「蕪」と「無」をかけて「かなしみ」が表現されていること、そしてそれらを「煮る」ことで、さむい中のあたたかな「冬の音」が聞こえてくるようだった。短歌をよく知らない私だが、綺麗で巧い短歌だなぁとしみじみと感じた。そして暖かくなったり寒くなったりしながらもいつの間にか立冬は過ぎ、しんしんと確かに近づいてくる冬を思った。