映画「レミゼラブル(Les Miserables)」
映画「レ・ミゼラブル(Les Mis?rables)」 (1957年 イタリア、フランス)監督:ジャン=ポール・ル・シャノワ主演:ジャン・ギャバンあまり感情的にのめり込む様な作品では無い、というのが最初の印象だった。人物や人間関係についてだけではなく、庶民の姿や革命など社会的な面で当時のフランスが丁寧に描かれていた。また、「有名な「銀の燭台」から始まり、盗み、戦争、法廷、革命運動、逃避行、恋心など原作の持っている要素が手際よくまとめられてい(ネットより引用)」た。ジャン・ギャバン演じるジャン=ヴァルジャンは表情をあまり変えず、言葉で多くを語らず、寡黙な感じだった。ヴァルジャンだけでなく登場人物皆、全体的に心理描写が少なかったような気もする。(気のせい?)この映画の、一貫して最も大きな主題は「愛」だろう。ヴァルジャンの行動、生き方が象徴しているように。また彼が死に際に言った言葉が象徴しているように。「世の中には大切なことがひとつある。それは愛すること、愛すること(aimer)だ」と。彼は言うだけではなく行動で、人生で「愛」を示した。分け隔てなく他人を愛した。ただ私は、彼が聖人(お人よし?)すぎてついていけないような気分になることもしばしばあった。私にとって印象的だった場面のひとつは、ジャヴェール警部が自殺したシーンだ。たぶん、とても唐突だったから。彼は機会はあったものの、聖人と化したヴァルジャンを逮捕することができなかった。「ヴァルジャンと対峙することで、彼は自身が信奉してやまなかった法にも欠点があり、法が語っていることは必ずしもすべてではないこと、社会は完璧にできていないことを痛感させられた」。そして「頼るものを失い、完全に打ちのめされてしま(wikipediaより)」い、自殺したのだ。読んだことはないが、原作に忠実な映画だったのだろう。少し堅い印象だった。「Tant qu'il y aura sur terre ignorance et mis?re, des oeuvres de la nature de celle-ci pour tout ne pas ?tre inutiles.無知と悲惨のあるかぎり本書も無益ではあるまい」(映画の冒頭の文章)