社会主義の新しい可能性のために
『カール・マルクスの弁明』(聴涛弘著)の紹介
大事な点を明らかにしていると思い、紹介します。
私などが注目したのは、第二章の「レーニンの苦悩と社会主義論」なんですが。
この本は2009年5月刊行(大月書店)ですから、少し前のものですが。
昨今の私などの印象なんですが。
プーチンのロシアによるウクライナ侵略戦争が続いています。
隣国にたいして軍隊を出して占領し、人を殺し、無茶苦茶に破壊しちゃっているわけですから、
国連をはじめ世界各国が国際法違反として、糾弾するのは当然なことですが。
問題は、「プーチンはソ連時代の警察官僚であり、これが社会主義の姿だ」との雰囲気が、そうした印象論がふりまかれる風潮ですが、日本社会にもあちこちに陰に陽にあると思うんです。
もちろん、このウクライナ侵略の以前から、ソ連邦の崩壊は社会主義そのものの崩壊とする風潮があったわけですが。
そうした中で、この本は、歴史には社会主義が世界に新鮮なインパクトを与えた時代があったことを紹介してくれています。
そのレーニンの当時というのは、日本では治安維持法などで、危険思想として取り締まられていたわけですから、偏見のさえたるものでしたが。社会的な反省がありませんね。
しかし、今の時代というのは違います。
しっかりと事実をもとにて、ことの是非や評価を語らなければならない、一人ひとりにその努力が求められています。それが民主主義的社会です。
もしその努力が弱いとなると、その分邪道と非合理といったことが、社会に幅を利かすことになると思います。
この聴涛弘氏の「レーニンの苦悩と社会主義論」ですが、
そこには、ソビエト連邦がつくられた当時の、レーニンの努力が紹介されています。
これは素晴らしい紹介ですよ。
こうした材料をふくめた史実を確認したら、プーチンを社会主義とだぶらせるなどということは、まったく論評に値しない、臆測と偏見でしかない、無責任なものだとわかると思います。
しかし残念ながら、広く日本社会を見ると、そうした人が多いんですよ。
まったく無責任な、自分勝手な印象論をふりまく「コメンテーター」が多いわけでして。
レーニンと社会主義論-この本は、歴史を探究することは、すがすがしいしと感じました。
今頃この本の存在に、わたしなどが気がつくというのは、多分に遅すぎるんですが。
しかし、知らずにいたよりかは、少しはましでしょう。
私などは思うんですよ、今でもこの成果は意義があること、というか、今日的な意義があること。
もっともっと、広く社会に分かち合う必要性があると感じています。
そうした思いで紹介させていただきました。