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2007年11月11日
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■気になる本  - 全盲の弁護士竹下義樹 - 
---------------------------------------------------------

両手があるのにモノを作らずショップに通い
両足もあるのに歩くことはせず店頭の駐禁に車を止め
目が見えるのに思いやりに欠けて寝たふりをし
耳があるのに自然のせせらぎを聞こうともぜず騒音に慣れ
口があるのにやさしい言葉がでなく地ベタに座り食べるだけ
そんな人よりも、はるかに竹下さんの心がすがすがしい。


 古い時代に生まれたかもしれませんが、両親から言われたのは
「身體髪膚、受之父母、不敢毀傷、孝之始也。
 立身行道、揚名於後世、以顯父母、孝之終也。」
の前半部分です。

 これは、「孝教」の開宗明誼章第一の中の一節です。
孔子の死した後、孔子学団は「礼教」的方向と
「孝教」的方向とに別れたといます。
「礼教」とは、社会制度や学問を重視する儒教の流れをいい、
「孝教」とは、道徳や人間性を重視する儒教の流れをいいます。

 漢字をみてますと、なんとなくわかると思います。
「身体や髪膚のように身体に付随しているものは、すべて
親から譲り受けたものであるから、傷めたり等はしては
ならない。これは親孝行の始まりである。」という意味だと
思います。

 「自分の身体は自分のもの、何をしても自由だ」 と
思っていること自体、間違いだと孝教ではいっております。


 さて、著者の対象とした竹下義樹氏は、
1951年(昭和26年)に石川県輪島市に生まれました。

 中学3年生のとき、1966年(昭和41年)に
両眼の視力を失い失明し全盲になってしまったのです。

 いまは、京都にて全盲の弁護士として活躍しております。
全盲の弁護士は、日本で第一号だということです。

 彼は、「目が見えなくても、自分は人と話し込むのが
好きだったから弁護士を目指しました。」と堂々と言います。

 彼は、1984年(昭和59年)に弁護士登録をして、
1994年(平成6年)に独立して平屋の事務所を経営して
います。

 この著者の本は、彼の半生(特に全盲になってから)と、
弁護士資格取得(なんと9回とチャレンジしています)から
弁護士活動を通じて、生き方の手本を示してもらったと
思います。

 またボランティア活動をしている方々を抜きにしては
彼はなかったと思います。いいや、どんな人であれ、
身内はもとより、親戚、知人、同級生等の支援者が
いるものです。もし、いないならば、心を少し磨く
必要はあると思います。

 きれいな心には、同じきれいな心が集まりますので。


いま、「全盲の弁護士竹下義樹」(著者 小林照幸 著、
出版社 株式会社岩波書店、発行年月 2005年10月)
を読み終えました。

 著者の小林照幸氏は、ノンフィクション作家。
1968年長野県生まれ。信州大学経済学部卒業。
明治薬科大学在学中の1992年,奄美・沖縄に生息する
毒蛇「ハブ」の血清造りに心血を注いだ医学者の半生を
描いた医学史発掘ノンフィクション『毒蛇(どくへび)』
(TBSブリタニカ)で第1回開高健賞奨励賞を受賞。
1999年 佐渡で終戦直後からトキの保護に尽力した
在野の男たちを描いた『朱鷺(トキ)の遺言』
(中央公論新社・中公文庫)で,第30回大宅壮一
ノンフィクション賞を同賞史上最年少で受賞(=当時)。


 著者の文章も読みやすく、過去の経緯がその場面に
いるように見えます。特に8回目、9回目の弁護士
試験の受験様子は、目から涙が潤んできました。
 中学生以上の方からすらすらと読めるでしょう。

 弁護士の受験、研修、仕事内容がよくわかる本でも
あります。

 さて、著者が対象にした竹下氏は、高校2年の冬に
大学の法学部へいき弁護士を目指す という目標が
できたのです。

 ただ、彼は大学の法学部で学べば弁護士資格は
それほど難しくないと思っていたようです。
 大学の医学部を卒業して医師になれるように。

 そして龍谷大学法学部に入学し、マッサージの
アルバイトをしながら、勉強に励みます。
ただその当時は、点字による法律書はすくなく、
ボランティアの方々が点訳してくれたり、口述して
くれたりといろいろ支援してくれています。

 昭和47年1月11日。京都弁護士会の先輩弁護士
に弁護士受験について相談します。先輩は、
「司法試験法では盲人は受験できないJいうことは
書いていない。法務省に問い合わせしてみては」
というアドバイスを得るのです。

 そして同年5月17日に法務省に文書で
問い合わせをしました。返事が文書できたのは
5月24日。その内容は、「盲人の受験については
実施方法その他諸般事情から、事実上実施は不可能
ですから、悪しからずご了承下さい。」という
内容だったのです。

 そして、点字サークルや大学、地域を越えて、
大きな渦となって拡大していくのです。強力な
支援者の方々によって。
「竹下義樹君を支援する会」として。

 大学卒業直前の昭和50年2月、地元京都選出の
国会議員が自宅に訪ねてきて、衆議院予算委員会の
参考人として出席するように求めたのです。

 2月22日、衆議院第一委員会室で予算委員会の
集中審議がなされました。ここで彼は
 「点字による司法試験の不合理について」
 試験時間の延長、試験には六法全書の持込みが
可能であったが、点字六法はなかったので
そのハンディが存在すること、等などを話したのです。

 委員会終了後、稲葉法務大臣が彼に近寄り、
「君の意見には感銘を受けたよ。頑張りなさい。」と
握手を求めてきたのです。

 ボランティアの方々はカンパ(募金)を募り、
点字六法は全51巻、金額12万円もしたものを
購入してくれました。

 同じ点字サークルで知り合った奥様との
駆け落ちに近い結婚。奥様は健常者ですので
それこそ、すばらしいサポートをしてくれてます。

 そして、自分が目指す弁護士像が鮮明に
なっていくのです。

 「障害者問題、福祉問題を終生の課題」として
いるのです。
 
 このような自分の弁護活動の目標を設定した
背景には、いくつかの重要な裁判があります。

 一つは、「朝日訴訟」という教科書にも
ででくる「人間にとって生きる権利とは何か?」
を真正面から問いかけ、「人間裁判」、
「人権裁判」と言われたものです。
 生活保護法の基準が憲法25条にてらして
合憲か否かを争ったものです。

 二つは、「第二の朝日訴訟」といわれている
「塚木訴訟」です。児童扶養手当法が憲法14条
1項の「平等保障」に合憲か否かを争ったものです。


 本書では、弁護士になったあとの活動も記して
ありまして、本当にたいしたものです。

 同じ司法研修生であったあのオウムの弁護士で
あった青山弁護士は、同期だったとか。
 彼は、「アラハラショウコウ」なんて興味ないと
距離を置いてたようです。


 彼も過去の二つの大きな裁判のように、
大きな事件を手がけました。
平成2年4月に提訴された「柳園訴訟」。
「病気で働けず、収入がないのに生活保護廃止は、
憲法で定める基本的人権と生存権に反する」
として訴えた裁判。1審勝訴し確定。

 平成6年5月に提訴された「林訴訟」。
「ホームレス」(事情があり、単に住所が定まって
いないだけ)の生活保護問題。生活保護法は、
住居はなくても現在地保護によって保護は
受けられるはずではあるが、これが行政は認めて
いない。1審は勝訴したが2審は敗訴。原告が
最高裁に上告後死亡したが、裁判を承継したが
林氏死亡により請求権は消滅しているという
判決でした。

 また山口組の下部組織の組員が
起こした殺人事件について
山口組組長の使用者責任(民法715条)を追及し、
その責任を最高裁にまで認めさせたことなど活躍を
しております。

 竹下さんの最近の写真を見つけることができました。
友人、恩師に支えられ(写真有)(2007年04月20日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/dn70420b.htm

 また、福岡県弁護士会では、この本をホームページで
紹介しております。私の読書感想よりこちらのほうが
うまく表現しております。

全盲の弁護士 竹下義樹  福岡県弁護士会 
http://www.fben.jp/bookcolumn/archives/2005/12/post_935.html


竹下義樹さんの紹介 『野宿生活者の自立支援について』 韓 七菊
http://www.hanazono.ac.jp/2006jinken/takesita.html


(11月11日)

(追伸)本の画像ではわかりにくいと思いますが、表の表紙の左上には
点字があります。私は読めませんが、多分、本の題名ではないかと・・。


全盲の弁護士竹下義樹






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最終更新日  2007年11月11日 10時24分14秒
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