海水の化石
だいぶまえから、ほしいと思っては、忘れ、また思い出しては、忘れ、そんな繰り返しばかりしていたけれど、ついに、思いがけないところで手に入れることができたもの。それは、天然岩塩二つ一緒に掌にのるほどの欠片です。なんと、よくいく隣村の「道の駅」でお土産として売っていました。もちろん、隣村で産出したわけではありません。原産国パキスタンのヒマラヤ岩塩です。なんでも恐竜時代よりももっとずっと昔、二億年も三億年も前に、海の底だったヒマラヤが地殻変動で押し上げられ、そのとき陸に封じ込められた海水が固まってできたものだそうです。だから「海の化石」とか「海水の化石」とかいわれるのですね。この岩塩、一緒に付いてきた小さなステンレスの卸し金でパウダーにしてから料理に使うのですが、化石だとおもうと、いきなりはその気になれず、しばし手にとって、宝石のように眺め、いろんなことに思いをはせました。たとえば、この美しい化石を産する国パキスタンのこと。パキスタンといえば知識の乏しい私には9.11テロ以来、アルカイダとかタリバンとか、どうも平和とは程遠い国というイメージばかりが強くて…。悠久の自然の中に静かに眠り続けてきたものとは、どうもしっくり結びつきません。ところで、ようやくめぐり合えた天然岩塩ですが、ネットで調べてみたら、何のことはない、いくつものお店で、いろんな状態のを販売しているのですね。色も私が手に入れたのは、ピンクとホワイトですが、ブラックやレッドなどもあります。ピンクは、いちばん一般的のようです。どのお店にも岩塩で作られたソルトクリスタルランプがいくつも展示されていて、見るからに温かい光をともしています。幻想的なだけでなく、マイナスイオン効果もあるとか。つまり、心にも身体にも効能があるということですね。夫へのクリスマスプレゼントにしようかな、と思ったのもつかの間、猫たちがハイになって飛び回る光景が目に浮かんできてあきらめました。それにかわって目にとまったのが、ピンク岩塩パウダーの袋詰め。業務用なのでとても割安。注文の翌日には届いて、2.5キロ2袋が早くもクリスマスプレゼントとして夫に。彼は、半分ジョークと受け取りながらも、さすが漬物自慢、まずまずの気にいりようでした。私はその海の化石で漬けた漬物が食べられるのですから、それが彼からの何よりのクリスマスプレゼント、とシオらしいことを思い…。なんだかしけたショッパイ話になってしまいました。どうやら、私の日記はこれが今年最後のものになりそうです。皆様、今年一年、本当にありがとうございました。どうか、よいお年をお迎えくださいませ。四季の風