テーマ:ミステリはお好き?(1454)
カテゴリ:日本ミステリ(か行作家)
幼かった遠い昔。狂ったような桜吹雪の夜、母は桜の枝で……。過去をひきずり、胸の底に水色の“虚無”を沈めた絵馬師の半次に持ち込まれる事件は、どれも哀しい。まだ青い林檎のような岡っ引の娘・お小夜に頼られ、慕われ、謎を解いてゆくうち、半次が辿りついた風景とは。江戸情緒あふれる捕物帖の傑作!
(出版社より) 童子は嗤う /振袖狂女 /三本指の男 /お千代の千里眼 /水中花 /昨日消えた男 /恋ひしくば これは昨年早稲田で行われた道尾秀介さんの講演の中で、道尾さんがその頃読んで面白かった、と言っておられた作品です。 そういう縁がなければきっと手に取らなかったと思います。 久世光彦(くぜ てるひこ)さんといえば、「寺内貫太郎一家」、「時間ですよ」などのドラマの演出で有名ですね。 小説も書かれていた事は知りませんでした。この作品が唯一の時代小説のようです。 主人公である半次は好い男です。 雨上がりの蒼い月と、秋の蝶が似合うくらいに……。 そして、幼い頃母を亡くした時の記憶を、いつまでもひきずっています。 美男子で色気があってどことなく憂いのある男、でもなかなか捕まえられない絵馬描きの半次のことを、江戸の女たちは恨みと愛をこめて「逃げ水半次」と呼ぶのです。 半次は、怪我がもとで足腰が立たなくなった元岡っ引の佐助の世話になっていて、その娘で岡っ引のお小夜が持ってくる様々な事件の謎解きを手伝っていきます。 最後に辿り着いたのは半次自身の謎でした。 江戸を舞台にしたこの作品は、何とも色鮮やかなイメージが広がります。 そして艶っぽい。 こういうものを美文というのでしょうか。 一つ一つの文章からぬめりを帯びているような怪しさが漂い、酔いそうになりました。 謎解きは結構楽しめますし、女の情念や業が描かれながらも最後は明るさが見えます。 私には新鮮なタイプの話でした。 逃げ水半次無用帖 :久世光彦 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本ミステリ(か行作家)] カテゴリの最新記事
僕にとって、久世さんの「蕭々館日録」はベストワン級の作品です。ついでに泉鏡花賞というよくわからない賞も獲っています。
ただ、芥川龍之介とかいう人をイメージしながら書いている作品で、ミステリではありません。 名前は忘れましたが、語り手である少女がすばらしいです。 (2008年01月04日 20時11分49秒)
shovさん、こんばんは!
>僕にとって、久世さんの「蕭々館日録」はベストワン級の作品です。ついでに泉鏡花賞というよくわからない賞も獲っています。 >ただ、芥川龍之介とかいう人をイメージしながら書いている作品で、ミステリではありません。 >名前は忘れましたが、語り手である少女がすばらしいです。 タイトルは読めませんがw、shovさん がそこまで仰る作品とはどんなものか興味がわきました。読まなくては損という感じがします。 (2008年01月04日 21時58分36秒)
これは是非に読みたい1冊です(*^∇^*)
図書館が9日までお休みの様でネットで予約が出来ません(> <) 他の本も予約したくてウズウズしています(^o^)/~~ 今年もよろしくお願いします(*^∇^*) 本の紹介も楽しみにしていますo(^-^)o (2008年01月04日 22時44分02秒)
フィガロですコメントいただきましてありがとうございます。今年も宜しくお願いします。オペラが好きでフィガロにしていますが、一番は本が好きですネ!ミステリーはsamiadoさんには勿論及びませんが、原寮など・・・今年は村上の「ロンググットバイ」を読もうかと計画していますが、チャンドラーなど翻訳は清水俊二と思っている年代です。久世さんでは確か乱歩のを読みました。
(2008年01月05日 11時36分57秒)
もくよう☆さん、こんにちは!
>これは是非に読みたい1冊です(*^∇^*) 水もしたたるような美男を想像しながら読みましたw濃厚な描写で浮かび上がる情景が鮮やかです。 >図書館が9日までお休みの様でネットで予約が出来ません(> <) >他の本も予約したくてウズウズしています(^o^)/~~ そうなんですよね。私も待ち長いです~。 >今年もよろしくお願いします(*^∇^*) >本の紹介も楽しみにしていますo(^-^)o こちらこそ、よろしくお願いします♪ 本を通じて皆様とお話しできれば幸せだと思います。 (2008年01月05日 11時49分09秒)
フィガロ4707さん、こんにちは!
>フィガロですコメントいただきましてありがとうございます。今年も宜しくお願いします。 こちらこそ、よろしくお願いいたします♪ >オペラが好きでフィガロにしていますが、一番は本が好きですネ!ミステリーはsamiadoさんには勿論及びませんが、原寮など・・・今年は村上の「ロンググットバイ」を読もうかと計画していますが、チャンドラーなど翻訳は清水俊二と思っている年代です。久世さんでは確か乱歩のを読みました。 ハードボイルド系がお好きなのでしょうか? 私にとってもチャンドラーは清水俊二訳の名台詞が印象的です。村上春樹訳だとどう違うのか読んでみたいですね~。 久世さんの作品は初めて読んだので調べてみました。『一九三四年冬―乱歩』という作品は小説家としても注目されるきっかけとなった作品なんですね。 (2008年01月05日 12時29分18秒)
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。 久世光彦さんの作品まだ読んだことがないのですが 今回の紹介を読んで、とても読んでみたくなりました。 面白そうな作品ですね♪ (2008年01月06日 20時25分08秒)
うさこ5050さん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします♪ >久世光彦さんの作品まだ読んだことがないのですが >今回の紹介を読んで、とても読んでみたくなりました。 >面白そうな作品ですね♪ 私の勝手な思い込みから言えば、うさこさんのイメージとはちょっと違う作品のような気がしますが、そういう出会いも面白いかも知れないですね。 (2008年01月07日 00時39分13秒)
何気なく手に取った本が、この本でした。
ひさしぶりの推理小説だったのですが、立て続けに3冊読み、その総てが絶妙な推理物でニンマリしました。 この本の評判が好いのも、うなずけます。 (2008年02月28日 22時26分18秒)
iinaさん、こんばんは!
書き込み有難うございます♪ >何気なく手に取った本が、この本でした。 >ひさしぶりの推理小説だったのですが、立て続けに3冊読み、その総てが絶妙な推理物でニンマリしました。 >この本の評判が好いのも、うなずけます。 艶のある文章に酔いかけました。偶然出会った本が面白いと、嬉しくなりますね。 (2008年02月29日 18時40分48秒) |
|