見えないグリーン:ジョン・スラデック
ミステリ好きの集まり “素人探偵会”が35年ぶりに再会を期した途端、メンバーのひとりである老人が 不審な死を遂げた。現場はトイレという密室― 名探偵サッカレイ・フィンの推理を嘲笑うかのように、姿なき殺人鬼が メンバーたちを次々と襲う。あらゆるジャンルとタブーを超越した SF・ミステリ界随一の奇才が密室不可能犯罪に真っ向勝負!本格ファンをうならせる 奇想天外なトリックとは。内容(「BOOK」データベースより)作者のジョン・スラデックは、もともとSF作家ですが、ミステリの長篇を2篇だけ書いているんですね。それがこの『見えないグリーン』と、『黒い霊気』です。さて内容は、驚いたことにガチガチの本格ミステリでした。昔、ミステリ愛好家の男女7人が、ミステリについて論じ合う「素人探偵会」という会合を開いていました。やがて 戦争が起きてからは、メンバー同士はすっかり疎遠になり、集まることもなくなりました。ここにきて、35年ぶりに会合を開くという計画が持ち上がりますが、その矢先メンバーの一人が、鍵のかかったトイレ、という密室で殺されてしまいます。被害者は「グリーン」という人物に脅迫されていたらしいのですが、まったく手がかりは見つかりません。オレンジやインディゴなど、ほかの色の手がかりにも惑わされます。メンバーの中の紅一点、ドロシア・フェアロウの依頼により、探偵サッカレイ・フィンが捜査を始めるのですが、すぐに次の殺人が起きてしまい……。トリックは奇抜だし、動機も意外、真相にも驚きました。1977年という、比較的新しい時代に書かれた作品なのに、古典的な本格推理小説の味わいがあります。丁寧に伏線が張られた正統派の謎解きなのに、どこか滑稽で、どこかシュール。そこもいいところ。サッカレイ・フィンが活躍するもう一つの長編『黒い霊気』(楽天ブックスでは品切れ)も読んでみたくなりました。 【送料無料】見えないグリ-ン