富士山は、世界一汚い山と言われているそうだ。富士山から日本を変える。野口健さんのチャレンジ
登山家の野口健さんのお話をうかがった。富士山が世界遺産になったが、それに浮かれていてはいけない。自分としては、見送られた方が良かった。97年にエベレストに登ったとき、ゴミだらけだったのに驚いた。日本人が捨てていったゴミもあった。そのときに、海外の登山家に言われたことがある。「エベレストをマウント富士にするつもりか」世界の登山家の間では、富士山は世界一汚い山と言われている。自分は、冬の富士山しか登ったことがないので、どれくらいゴミがあるかわからなかった。夏に登ってみると、山頂には自販機が並んでいて、お土産屋さんや焼き鳥やが店を出している。まるで、海の家みたい。山小屋が50数軒あるけど、そこのトイレを山に流していて、トイレットペーパーが、白い川のようになっている。樹海へ行っても驚いた。産業廃棄物が不法投棄されている。国立公園で不法投棄が行われているのは、世界中、どこへ行ってもない。富士山から日本を変えようと、ゴミ拾いを始めた。環境問題は、人間社会の縮図。自分が正しいと思っていることは、みんなも同じだと思っていたが、それはとんでもない勘違いだった。それぞれ、立場や利権があって、そこから富士山を見ている。最初は、富士山のゴミを拾おうと言っても、人が集まらなかった。しかし、今は7000人くらいの人がゴミ拾いに集まってくれて、ゴミを捨てにくい雰囲気になってきた。といった話だった。世界遺産に登録されたけど、3年以内に、そのときに出された課題をクリアしないといけないのだそうだ。それができないと、警告が与えられたり、ひどいと取り消しになってしまうらしい。今の富士山の状態だと、警告は覚悟しないといけないと言っていた。世界遺産もオリンピックも、何のためのものか、しっかりと考えないといけない。浮かれているだけでは、そのときだけのお祭りで終わってしまう。野口さんの話は初めてだったけど、期待以上にすばらしかった。ちなみに、103歳の安藤久蔵さんは、富士山の掃除の先駆者。70数回、掃除のために富士山に登っていると言う。