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倖和(サチナゴム)の妄想小説・・・

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2008年01月10日
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カテゴリ:戦争ゲーム
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↑ちょっと気合いが入ってきました。がんばります!

大国アメリカが没落した後の世界を想像しています……
その御伽噺第249話です。

「あなたは自殺をし、私の計画をぶちこわした」
「その代わり私の身代わりの女性を差し出したでしょう」
「……え? あの日本に返還させた女性は君が絡んでいたのか」
 キムジョンナムは絶句した。彼は女性が自分の計画に協力すると言いながら自殺してしまったことに衝撃を受けた。だが、自殺した女性の身代わりを立てることにした。それは一人の側近からの進言があったからだ。側近が連れてきた身代わりの女性は自殺した本人とは似ても似つかなかったが、美人だった。

「美人であればそれだけで効果的です。当たりがやわらかくなる。実際に自殺した本人の方も整形していますし」
 と、側近はいった。むしろDNA鑑定の方をどうやってごまかすかが問題である。これさえクリアになれば先方も納得せざるを得ないだろう。キムジョンナムはそのためのすごい技術と策略があるとだけ聞かされていた。実際その女性を返還したが、日本で行なわれた本人確認のための厳しい検査をすべてパスし、日本の信用を得ることに成功した。

「DNA照合は遺伝子治療の要領でDNAの簡易検査を乗り切り、また本格的な検査は私のチームのものが研究所に忍び込んで工作を行ない、データをすり替えうまくいった。だが、あなたの幼い頃の記憶はどうしたんだ」
 と、キムジョンナムがたずねた。女性は、
「私自身が覚えている記憶を元に彼女を教育したのです。そして私の脳波と彼女の脳波の同期をとりながら催眠療法の要領で脳に刺激を与え刷り込ませました。あたかも自分の記憶のように感じるわけです。だからほぼ完璧に仕上がったのです」
 と、答えた。
「画期的な技術だ。しかし、ものすごく危険な技術でもある」
 と、横で聞いていた加藤が割り込んだ。女性はうなずくと、
「偽装自殺した後、それで共和国ががたがたになるはずだと身を隠していたとき橘一郎の接触を受けて、私の身代わりの女性を返還させるプランが浮上してきたのです」
 と、いった。
「つまり、北朝鮮を日本にすり寄らせ、中国と距離をとる。これで中国を怒らせようという計画になったわけです。中国が本気で怒れば軍事介入です」
 と、橘一郎がいった。
「より積極的に共和国崩壊をおこさせようというわけだな」
 と、加藤はようやく橘たちの悪意に満ちた意図が分かったような気がした。

幽閉されたキムジョンナムは結局自身が雇っていたチームの傭兵に救出された。逃亡したと発表されたが、そのまま表舞台から消えた。これは女性の陰謀だった。わざと逃がしてそれを口実に裁判なしで殺してしまおうというのだ。

実際、工作員と傭兵の間で熾烈な戦闘が繰り広げられた。

「このときに私はコンバット・スキルを実地で身に付けた。家族を守りたい一心だった」
 と、キムジョンナムはいった。だから放送局から逃げるとき彼の動きはスムースで隙がなかったのだ。銃の構え方が玄人張りだった。加藤は合点がいった。

「最初からあなたは私の家族を狙っていたんだな」
 と、キムジョンナムは目を怒らせながらいった。女性は平然とうなずいた。
「自分の死は甘受できます。ですが、自分の愛するものが目の前で死んでいくのを見るつらさは想像を絶する。あなたにその苦しみを、これが私の復讐でした」

北朝鮮の工作員たちは、とんでもない女性を拉致してしまったのだった。



続く。











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最終更新日  2008年01月10日 09時19分22秒
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