ガマ洞窟の旅
早起き。部屋番号不明で返送が1点。先方に確認したら一軒家で、住所も間違ってない。朝イチでヤマト運輸に問い合わせる。前回、午前中に問い合わせた件が夜までかかってしまったので、覚悟したけれども、今回はてきぱき対応してくれて、午前中に取りにきてくれてなにごともなく再送。前回は取り次いだ人間がよっぽど粗忽者だったのか。梱包作業。午前中から外出。クロネコメール便、9点。東横線から山手線。正午、新宿西口。ヨドバシカメラの前で後輩3人と待ち合わせ。5月に、オマタ、オオタと群馬県の珍宝館に行って、つぎはガマ洞窟に行きましょうとオマタが言い出した。今回はダイサクも加わる。ガマ洞窟のことは東京別視点ガイドの記事で知っていた。今日に向けて特にくわしく調べなおすこともなく、場所もきちんと把握してなかったのだが、だいたい筑波山のほうかなとは思っていた。オマタの運転で新宿を出発。前回同様、道中は助手席でCDをかける係。持参したCDは、関口和之&砂山オールスターズ、竹中直人、真木蔵人のAKTION、バンバンバザール、クレイジーケンバンド、チャーリー宮毛&エル・ラテンスウィンガーズ、山崎廣明 With ダイナミックス。全部は聴けず。夏らしくと思ったチョイスだったけど、さほど音楽好きでもない連中にはあんまり響かない。もっと珍盤を持ってくりゃあ良かったか。守谷サービスエリアでひと休み。クルマを出た途端、むわっとする暑さ。混雑。屋内は座るところなく、外のベンチ。連中が焼きそばや焼き鳥を買ってきて、少しもらったけど食欲なし。アイスモナカとスポーツドリンクみたいなやつだけ買ってきた。常磐自動車道を北上、高速を降りて、やがて山道を走っていく。くねくね曲がりくねった道路。スピードが出過ぎないように路面がでこぼこになっていたりするそうで、がたがた揺れる。胃のあたりが気持ち悪くなってきて、生あくびが止まらない。守谷でなにか食べてたら、たいへんなことになっていた。15時過ぎ、到着。筑波山に登るロープウェーのふもと、つつじヶ丘という駅のすぐ近くに食堂があって、食堂とその背後の山とが一体となって、異様に迫力のある空間が広がっている。クルマから見えてきたキッチュでカラフルな全景に興奮。だだっ広い駐車場にクルマを停めて、まずひとり、トイレへ。便器のなかで蛾がたくさん死んでいた。戻りながらさっそく写真を撮る。目に留まるものすべてに独特の愛嬌がある。戻るとすでに、ガマ洞窟のチケットを一緒に買ってくれていた。500円。食堂の1階の土産物屋で販売している。土産物屋があって、そのすぐ脇にガマ洞窟の入り口はあった。いよいよ入場する。ずっと暗闇を歩かされることになるのだが、食堂の建物から、裏の自然の洞窟へとつながっているようだ。早い話がこれはお化け屋敷か。中高生ぐらいが学園祭でやるお化け屋敷のような、あのクオリティを思い浮かべる。ありとあらゆるがらくたが、壁面に貼りつけてあったり、頭上からぶらさがっていたりして、この洞窟につめこまれている。民芸品的なものがあるかと思えば、子どものおもちゃ、人形やお面、マネキンの首、ジャンボマックスやミッキーマウスが混在する分け隔てなさで、濃縮されたさまだけを目にすれば奇怪にも見えるが、人間の意識がコントロールされないままにそこに露わになっているといった具合。なんとなく怖さを演出すると、そういうことになっていくのか。しかし、暗闇を歩くだけでもそれなりに怖いことは間違いない。「巨大イノシシ」と書かれた看板の奥に進むと、「奉納」という看板が出ていて、金網で囲われていてそれがなんだったのかよく見なかったのだが、岩の窪んだところに小銭が溜まっていたからしかたなく10円玉を置いていく。すいすい進めば折り返して終わりというたわいのなさだが、写真をばしゃばしゃ撮りながら進んだので、時間をかけてなかなか満喫した。最後のほうにもまた「奉納」と看板があって、ガマが祀られていた。出口は建物のなか、1階の土産物屋へと通じていた。2階の食堂へ行ってひと休み。ところてんを食べた。客はわれわれだけ。窓からの景色、広い駐車場の向こうに見える山と青空が気持ちいい。店内には、やけに相撲取りの色紙が飾ってある。休憩後は建物の上のエリアへ。建物の真上ではなく、隣りの屋外に作られたスペース。ところが、写真の撮りすぎでスマホが早くも充電不足に。クルマに戻り、予備バッテリーを持ってきて復活まで少し時間を食う。建物の上は、かつてのデパートの屋上にあったようなミニ遊園地が広がっている。といっても、遊具は動かない。コインを入れるところはガムテープでふさいである。かつてはこれらの遊具がきちんと機能していた時代もあったのだろう。それらが時代を超え、放ったらかしになっている。ナイーブな視点でもって哀感を読み取ることもできようが、ここではすべてが無頓着で、妙に明るい。髭面の男が描かれたでかいパネルが金網に貼りつけてあって、その裏側から音声が流れている。この男はガマの油売りを描いたものだ。なんの音声を流してるのか、よく聴いてみたらただのラジオだった。それも、FMヨコハマだったのでずっこける。なぜだかぜんぜんわからない。さらに階段を登っていくと、大きな鳥居があって、ガマ大明神が祀られている。駐車場から見てもよく目立っていた、そのくらいに大きい。さらに進むと、その先は登山道となっているようだ。下から登山道を見上げたら、上から犬が降りてきた。こんなところに犬がいるのか。展望台と称して、双眼鏡がいくつか設置されている。その横には「無料ジャンボスベリ台」なるものがあって、せっかくだから滑ってみようと思う。金属製だったら熱くてたまらないだろうと心配していたが、コンクリートむき出しで、こんなところをまともに滑ったらズボンの尻が破れてしまう。しゃがんだ姿勢で、靴底で滑ろうとしたけれども、滑らないから、結局、スベリ台を歩いて降りた。土産物屋も探索。ガマの置き物がずらっと並ぶ。食べ物関係は納豆味のものが多いようだ。ハエたたきが50円で売ってたのは妙に安いと思った。しかし、ここで買うべきはガマの油だろう。700円。お店のひとに、なにに効くんですかと訊いてみたら、外傷に効くとの答え。但し書きを読むと「肌荒れを防ぎ、キメを整える」と書いてあった。17時前、ロープウェーで筑波山の上のほうへ行ってみることにする。いや、むしろ、ここへやってくるのは筑波山を目指しているひとびとが大半なはずで、われわれのようにまっしぐらにガマ洞窟を目指してやってくる人間がはたしてどれだけいることか。地図を見ると、「女体山」「男体山」となっていて、よくわからないんだけど、筑波山というのはこのふたつの山から成っているということだろうか。女体山にはロープウェー、男体山にはケーブルカーが走っていて、それぞれの頂上は少し距離があるが、歩いていけるコースになっている。ロープウェーとケーブルカーを往復するチケットがあって、それにしようかという話でまとまりかけたが、それにするとどうやらロープウェーの最終便に間に合わない。しかたなく、ロープウェーの往復のみ、女体山だけにする。女体のほうが好きだから、さほど問題はないです。筑波山ロープウェー、往復1070円。20分間隔で運行。けっこう混んでいた。家族連れと老夫婦と、外人とビッチのカップル、そして、われわれ。全員は座れない。眺めを楽しむには立ってたほうがいいかと思ったが、窓ガラスには薄く色が入っていて、きれいに見えない。日差しを防ぐ役目か。ロープウェー内は冷房があるわけでもなく、とても蒸し暑い。駅員さんも乗ってガイドしながら走っていく。ちょうど真ん中の鉄塔ですれ違い。ここですでにスカイツリーよりも高い標高だという。女体山駅に到着、とびらが開いたら涼しい空気が入ってきて気持ちがいい。山の上は涼しいのだ。さっそく山頂を目指して歩いていく。道が整備されているところをすいすい進む。最後に少し岩だらけの段々を昇っていくと、こじんまりした社殿があって、その先はもう山頂だった。山頂を示す、四角い石杭がある。「日本百名山」の石碑が立っている。筑波山ってそうなのか。そんなことも知らずにひょいひょいやってきた。登山というものをろくにしたことがないのだが、日本百名山のような山でも、こんな軽装で来れてしまうんだね。絶景なり。爽快。時間的にこれより先に進むと帰ってこれなくなってしまう。女体山駅に戻る。つぎの便までパーラーでのんびり。かき氷、350円。時間が遅いのでもう食事はやってなくて、ソフトクリームだけって言われたんだけど、かき氷も頼んだらOKしてくれた。ここで働いてるおばちゃんもロープウェ-の最終便で帰るのかもしれないな。登山道に犬がいたのでびっくりした。さっき、ガマ洞窟の上で見かけた犬がここまでやってきたのかと思って驚いたのだが、駅員さんに訊いたらその犬とは似てるけど別の犬なんだそうだ。まるっきり同じ犬に見えた。この山頂にいる犬は人間に慣れてるから飼い犬じゃないかと駅員さんは言っていたが、そんなにあいまいなのか。こんな狭い範囲で駅員さんすらはっきり知らないとは、なんとも不思議な感じがする。しかし、下のガマ洞窟の犬は野犬だろうと駅員さんは言う。そっちは自信があるのか。18時ちょうどの便でつつじヶ丘駅に戻る。下の土産物屋を軽く見ていく。ガマ洞窟の土産物屋よりも半端な洗練があって、かえって野暮ったい。この野暮ったい土産物屋で、ダイサクは水戸黄門のストラップを買った。そういうセンスのやつだ。帰りはまっすぐ東京へ。帰りもまた守谷サービスエリアにちょっとだけ寄るが、改装工事をやっていた。出るときに端のほうは営業していることに気がついたが、わからずにベンチで休憩していた。20時過ぎ、新宿に帰ってきた。和民でご飯。新宿駅の近くでみんなとお別れ。JRは俺だけか。東横線で熟睡、ひと駅寝過ごす。目覚めたら、今度は逆にからだじゅうが鈍い痛みに覆われてるようで、じっと座ってることがつらい。関節か、筋肉か。たまらず、そのあとはずっと立って帰る。帰宅。疲れてぐったり。横になって、からだをほぐしながら寝る。◇8月14日のツイログ◇Facebookアルバム