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昨年暮に亡くなった立川談志をダダイストという人がいる。 難しいことを言うつもりはないから、まあ聞いてたもれ。 きっと目からウロコか鼻からナミダでも落ちるかも知れない。 ダダイズム(Dadaism)というのは1960年アメリカで起こった「反芸術」 運動で過去の芸術の否定と破壊を目論んだ動きであった。 ”芸術は爆発だぁ~” と言った岡本太郎などがこの運動に感応した 一人であった。 あの1970年の大阪万博に作った ”太陽の塔” は正にその象徴的 な作品で、「キレイではいけない」「巧くてはいけない」「心地良くては いけない」という既成の美術観念を全否定したつもりらしい。 ・・・が、未だに岡本太郎の代表作として残っている。 翻って立川談志はどうだろうか。 彼もそれまでの伝統的な落語を 否定して確か日本落語協会の柳家小さんにたてついて落語協会 から離脱して独立したのであった。 彼もまた全ゆる常識、価値を否定し普通人の神経を逆撫でし続け たといわれる。 アンチモラリストでありアンチヒューマニストで あり続けたのである。 勿論、彼の落語にはしっかりとした芸と センスの裏づけがあったから多くの人に支持され多くの弟子を持っ ていたのである。 彼の落語にはトゲがあったり辛口であったり、 それまでの納まりかえった居心地のいいものではなく何か刺激臭 の強い落語であったと言えるのではあるまいか。 その一番弟子が立川志の輔であり、以前筆者の近所に住んでいた 家人の友人の長男で今立川志の春という名で二ツ目かの辺りで 一本立ちしているのがいる。 この志の春はアメリカの名門エール 大学を出て三井物産に入って4~5年、海外駐在中、日本に帰国 した折、志の輔の落語にビビッときてオレの進むべき道はこれだ と一念発起した。 英語ペラペラのこの青年が華々しいキャリア を捨て、何故落語の世界を望んだものか、余程立川志の輔に魅了 されたのだろう。 このダダイズムの運動はその後6~7年経ってシュールレアリズム などに収斂して消えていったらしいが、既存のものを否定、破壊 し新しい分野を拓くというのは哲学でいうアウフヘーベン(止揚) に通ずる考えだからさして驚くことではない。 伝統的で正統派はそれなりの道があって多くの人達に支持される。 が、一方それを否定し乗り越える分派も立川談志の様に世の中には 判官贔屓もいるし、その能力を以って立派に弟子を作り繁栄して 行けるのである。 だからこの世の中は面白いのであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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