徒"然草　～づれづれなるままに～　　ｂｙ　整体処　明響庵（めいきょうあん）

先日、長女に、塩はあんまりとらない方がよいのか、という質問を受けた。

小学校も中学年になれば、様々な情報にさらされる。

そう言えば、某地方新聞にも、減ら塩作戦なる減塩の取り組みを書いた記事を見たばかりだ。

多くの人の頭には、塩の取り過ぎ→高血圧、という方程式が知らず刻み込まれている昨今だ。

が、自分たちの摂っている塩のことをよく知る人、調べる人は案外少ない。

多くの人が、塩と信じて摂っているものは、驚くことなかれ、実は塩モドキである。

またの名を、精製塩。本来の塩（天然塩）から、ミネラルをこそぎ取られた、いわゆるNaCl、塩化ナトリウムである。これは、味こそ塩辛く、天然塩と酷似しているものの、身体への作用はかなり異なる代物なのだ。

味は似ている、とはいえ、気をつけて比べれば、違いがわかる。精製塩は、鋭く押しの強い塩辛さ、対して、天然塩は風味のあるやわらかい塩辛さ。これだけでも、身体への作用の違いは想像できそうなものだ。

高血圧による（と考えられている）害と関連するのは、精製塩の方だ。

これは、一つに精製塩の方が排泄されにくく、身体にたまりやすい、ということが関係しているようだ。

試しに、天然塩を多く摂ってみると、身体はちゃんと拒否反応を起こし、吐き気を催す。これは、私の場合、体験済みだが、皆さんも自分の体で追試することをお勧めする。

ここからは、想像が入る話、仮説の範疇だが、精製塩というのは、ほぼ99%の塩化ナトリウム、自然界では存在せず、明らかにバランスを欠いた代物である。自然物に対しては、マッチしにくい異物と考えられる。長い歴史の中で、自然塩に対する機構は体の中に遺伝的に組み込まれているとしても、精製塩に対する機構はまだまだ未発達なのではないか（ちなみに日本で精製塩が普及したのは昭和40年代と実はごく最近である）。それでも、人体という自然物は、何とかやりくりしようとするのだろうが、負担がかかることには違いない。

時に、精製塩に限らず、純度が高いもの、というのは自然の調和を崩しやすいように思う。白砂糖こと精製糖はもちろん、化学添加物然り。また、化学肥料たっぷりで作られた野菜は肥大するものの、虫や病気の浸蝕を受けやすい。余談としては、アルコール分96%のウォッカを飲んだことがあるが、これはなかなか破滅的なしろものだった。

人間でも、純粋培養で育つより、いろいろもまれて、雑味をつけて育った方が面白い、と今更に思う今日この頃である。

ちなみに、治療の際に、塩の話をすると、どの塩が良いか、と問われることが多い。製塩法の表示を見て、浸透膜、とあるものは精製塩である。浸透膜というものでミネラルをこしとり、塩化ナトリウムの純度を高めるのである。浸透膜、と書いていないものは天然塩に近いはずだ。

こんな話をすると、もったいぶらずにおすすめの製品名を教えてくれ、となるのだが、私からすれば、そんなことだから、情報に流されるまま、塩の摂りすぎ→高血圧の方程式を疑いもしないのだ、となる。ヒントから、自分で考えたり、調べたり、実験したりする、そんな癖をつけることをお勧めしたい。自分と大切な人を守るには、およそ、自分が強く、賢くなるよりほかない。

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