カテゴリ:'70 エーテルのころ
時間の無い土日の日付は、以前ワケあって書き溜めた思い出話をぼちぼちupしてきます。
◆ ◆ ◆ 築八十六年の木造校舎は、上から見ると、平らに潰れた「日」の形をしていた。 校舎の設計というのは、敷地面積を有効に使う都合や、採光、通気性、利便性への配慮、そして校舎を見渡すことができるという利点から、普通Lやコの字が選ばれるらしい。マンガやドラマでおなじみの形だ。 その後通った中学も高校も「校庭を囲んでコ」の字はしていなかったから、土地にゆとりのある東北の片田舎ならではの創意であったのかもしれない。もうひとつ、校庭が真正面にないのはおそらく、雪かきが大変なせいではないか。 「日」の一角目には、低学年用トイレと体育館、高学年用トイレが並ぶ。二画目の曲がり角が低学年用の昇降口で、その先に職員室や保健室が続き、書き終わりが高学年用の昇降口。おおまかにいえば、上半分が低学年の校舎、下半分は高学年の校舎ということになる。 そして日の字の中にあいた四角い空間ふたつが、低学年と高学年それぞれの、中庭だった。 休み時間になると、老朽化した木造校舎は、児童らの駆け回る振動で悲鳴を上げる。そこにキンキン響く子どもらの嬌声が溢れたら、これはもう真昼のお化け屋敷だ。きゃあきゃあ、みしみし、そのうちホッピングして移動を始めるに違いない。 とくに昼休み時の低学年用の中庭ときたら、子ども嫌いの人間が見たら何のダークサイドかと怯えそうなほどの、支離滅裂ぶりを呈していた。おそらくは低学年児童約三百名のほとんどが、一気に集まっている。衝突事故がそこここで起きる。ブランコはいつも行列ができ、ジャングルジムはたわわに子どもを稔らせて、次のひとりがつかまる隙間もない。 対称的に、高学年用中庭の静かであったこと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 17, 2013 08:20:41 AM
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