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2011年03月21日
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カテゴリ:心に残る言葉

ずいぶん昔のことですが、アメリカのある病院の病室に 7人の患者が入っておりました。

彼らは、死の宣告を受けた結核患者たちで、自力では歩けない末期症状の者たちばかりでした。

 (当時のアメリカでは、結核といえば死に至る病だったのです)

その病室は細長い形の病室で、横の壁の一番奥の方に、小さな窓がありました。

そして、一番奥の窓際のベッドからのみ、その窓の外が見えるのでした。

窓際のベッドに寝ていたのは、ジミーという男でした。

ジミーは毎日、窓から見える外の光景を、他の患者たちに明るく語って聞かせるのでした。

「おーい、みんな、今日は公園のチューリップの花が咲き始めたぞ。チョウチョウも嬉しそうに飛んでるよ。」

「おーい、みんな、今日は子ども達が遠足だよ。
みんな楽しそうだなー。
あっ、手をつないでる子もいるよ。かわいいなあ。。」

死を待つばかりの患者たちにとって、ジミーが教えてくれ外の様子だけが、唯一の楽しみでした。

そんな中、一人だけ心がすさんでいた男がいました。
入口から2番目のベッドに寝ているトムという男です。

「ジミーのやつ、いつも外の景色を独り占めしやがって!」


ある朝、みんなが目覚めてみると、窓際に寝ていたはずのジミーがいません。


実は夜中のうちに、ジミーは亡くなっていたのです。

トムは「しめた」とばかりにほくそ笑み、

「俺を窓際のベッドに移してくれ!」
と看護師たちに頼みました。

しかし、看護師たちが顔を曇らせて、頼みを聞いてくれないので、トムは声を荒げて怒鳴りました。


そこで、看護師たちは、仕方なくトムを窓際に移すことにしました。

移してもらう間、トムはこう思いました。

「これで、外の景色を独り占めできる!俺は、お人好しのジミーのように、みんなに話してなんか聞かせないぞ。」


そして、窓際のベッドに移され、窓の外に目をやった瞬間、
トムは愕然としました。


窓の外に見えたのは、公園でもチューリップでもなく、隣のビルの灰色のコンクリートの壁だったのです。


トムは一瞬にして、すべてを理解したのです。


「そうだったのか!ジミーは、俺たちの心を励ますために、
この灰色の壁を見ながら、外の世界を想像して語って
くれてたんだ。」


その日から、そうその日から、今度はそのトムが、ジミーに負けないくらい想像力を働かせて、外の光景をみんなに語り続けたのでした。












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最終更新日  2011年03月26日 15時12分45秒
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