日本原産ツツジ、ヨーロッパで活躍
ツツジは日本原産で、自生のものも多いが、江戸時代中期に栽培が流行し、多くの品種が生まれた。19世紀に長崎から、オランダ、イギリス、ベルギー、ドイツに広まり、その後イタリアにも伝わったようだ。日本では品種改良技術も高く、庭に植えられることが多いが、海外では鉢植の人気が高く、特にベルギーの生産量は世界一という。明治初期にはヨーロッパで品種改良されたツツジが、アザレアと呼ばれ日本に逆上陸している。ツツジは日本では万葉の時代にも歌に読まれ、また各地で長い栽培の歴史を持ち、品種改良も盛んで、元禄5年(1692年)伊藤伊兵衛により刊行された「錦繍枕」は、世界最古のツツジ、サツキ専門書である。樹齢800年から1,000年に及ぶ古木も日本各地にある。風林火山で有名な武田信玄の「躑躅(ツツジ)が崎館」は、信虎・信玄 (晴信)・勝頼3代の本拠・居館となり、現在では武田神社として遺構が残されている。武田氏が権勢を誇った戦国時代、皐月には、ツツジに囲まれた居館が目に鮮やかであったろう。