最後の乗客
昨日、午後8時10分のフライトを予約していたが、空港カウンターに5時27、8分に着いたため、ひょっとして前便に乗れるかもしれないと行列の後ろに並んだ。掲示板を見ると前便は赤字で満席の表示、だめもとで前便への変更をお願いしたがまず無理でしょうとの返事にかかわらず、キャンセル待ち6番札を貰い右サイドで少し待った。 順番に1番、2番、3番、4・5番まで呼ばれ発券手続きに入ったが、6番目がなかなか呼ばれない。一人取り残され、だめだと諦めかけたとき声がかかり発券され滑り込みセーフ。キャンセル待ちも、ラストワンも初めての経験である。 昔伯父がガダルカナルで傷病兵引き揚げ船の最終の一人で乗船し、日本に引き上げた後、島に残った兵士は全員戦死したという話を母に聞かされた記憶が蘇ってきた。昨日の場合、そんな深刻な話ではなかったが、ラストワンの紙一重の気持ちが少しわかったような気がした。 搭乗手続きで前の人が少し時間がかかったため、少しあせったのか、搭乗口番号とシート番号の数字を見間違い、目の前の16番ゲートに行ったがすでにクローズされていた。取り残されたと思ったが、周りは無人で問いかけもできない状態だった。1,2分後別カウンターの人が通りかかったので声をかけると、片言で「神戸便は38番ゲートでまっすぐ突き当たり階段を下りた先です。」と言われ、歩く歩道を駆けてゲートに急いだ。ゲートに滑り込む10秒くらい前に、他の2名の人とともに名前を呼び出されてしまった。5時56分の出来事である。 最新鋭のボーイング737-800にやっと乗り込み、汗を拭き落ち着いたところで、やっと、戦地で亡くなった先人たちに思いを馳せ、しばし黙祷。はずかしい経験をした。いつも教訓にしているはずだが、あせりは禁物。自戒した。