岡本知高コンサート(2度目)
会社の取引先からお菓子をもらった。
のし紙に「松の葉」と書いてあるが、何のことかわからない。
ネットで調べて「寸志」のことだと知ってびっくり!
奥ゆかしい言葉だなあ、と皆でうっとりする。
夜は同僚とシンフォニーホールの岡本知高コンサートへ。京都から友達も駆
けつける。
今回のツアーは、2月の神戸公演に行ったので、2度目。
次の金沢公演で千秋楽ということで、歌もトークもノリノリだった。
天井の高いクラシック専用ホールの、何万立方メートルという容積の空気を、
彼の波動が揺らしていく。
その波動が私の体の7割の水を揺らし、瞳からあふれさせる。
前回はぽろっとこぼれた涙が訪問着の胸にシミを作って往生したが、今日は
洋服、ハンカチも事前に握りしめ、2曲目から泣きたい放題。
なんと美しいんだろう!
ガラスのように透き通り、絹のようになめらかで、鋼のように強靱な声。
その存在感に、ひょっとしたら手で触れるのではないかと錯覚するほどだ。
しわぶきひとつない大空間に響く歌声、ここは大聖堂か、オペラ座か。
怪獣のような風貌で、「CATS」の娼婦猫を、四季映す日本唱歌を、
トゥーランドットのお姫さまを、歌い演じる。
ラストの「誰も寝てはならぬ」………金の龍が吐かれた、と思った。
見本として置いてあったファンクラブ会報に、「白龍が昇天するイメージ」
だと書いている人がいた。
奇しくも岡本さんは辰年なのだと。
同じことを思う人がいるものだ。
…いや、本当にそうなのかもしれない。