カテゴリ:青春時代「アメリカンシネマ」
日本好きのリドリー・スコットが本物の日本を舞台に撮った作品が「ブラックレイン」
撮影のため日本を訪れ『街が思ったより整然としてたので驚いた』って、来たことなかったんかい! 彼のイメージは猥雑な東洋の街だったのでしょう。 作品も猥雑さを求めています。 主演はマイケル・ダグラスと高倉健。 なのですが、この日米スターを吹っ飛ばした凄い芝居を見せてくれた役者がいました。 それは、松田優作。 この時彼は、すでに癌におかされおり、この作品が遺作となってしまいます。 “鬼気迫る演技”とはまさにこのことでしょう。 本当のことを言うと、僕は松田優作をあまり好きではありませんでした。 世間に初登場した「太陽にほえろ」は、突然降板した萩原健一の後釜でした。 ショー健はグループサウンズ、テンプターズ時代からのヒーローで、僕の中にかなり入ってました。 GS時代、ショー健派とジュリー(沢田研二)派がいて、僕は絶対ショー健でした。 そのショー健演ずる“マカロニ刑事”のポジションに新人が入ってきて穴を埋めようとしたのです。 ちょこざいな、おまえなんぞに、という否定感がありました。(結果は、穴を埋めた以上に大きな山まで作ってしまいましたが) はなからいい感情で迎えなかったと言うことです。 そして、もうひとつの理由は、その芸風が“原田芳雄”そっくりだったからです。 僕は原田芳雄が大好きでした。 あの頃の原田芳雄、かっこよかった(今でも渋くていいんですが) TVで浅丘ルリ子とやってた「冬物語」に凄く憧れていて、映画を観るようになってからも、「八月のぬれた砂」「赤い鳥逃げた?」等々しびれてました。 その独特の低音の使い方から、間の取り方からなにから、全部真似しているのが気に入りませんでした。 もともと似ているとか、似ちゃったではなく、明らかに似せていました。 それで、彼が画面に出るたびに、不愉快な感情が浮かんでいた訳です。 でも、「ブラックレイン」はそんなネガティヴな僕を驚嘆させる、突き抜けた芝居を見せてくれます。 ショー健も原田芳雄も完全に置き去りにした、世界レベルの演技、というか“存在”でした。 本人だけが知る、“死”を賭けた演技だったのでしょうか。 悪魔と取引をしたのかもしれない。 優作が天に召されたのは、「ブラックレイン」公開直後だったと思います。 僕は彼の死を知ってから映画を観たのですが、本当に残念でならない。 あの葬儀に写っていた幼い子ども、龍平・翔太兄弟は、今は俳優として活躍しています。 って、もしかしてこの二人の方が有名? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月14日 09時04分44秒
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