カテゴリ:青春時代「アメリカンシネマ」
SFホラーの傑作として忘れてはいけないのが「遊星からの物体X」’82年。
原題は「The Thing」 監督のジョン・カーペンターが、映画に目覚めた子どものころ見た、ハワード・ホークス監督による「遊星よりの物体X」’51年のリメイク。 こちらの原題は「The Thing from Another World」 30年の時間差が“よりの”を“からの”に変えたのでしょうか。 無意味にややこしくなっています。 ちなみに原作のジョン・W・キャンベルJrの小説は「Who Goes There?(影が行く)」 何かいい題名つけてほしかったなあ。 ジョン・カーペンターは同時期にメジャーになったルーカスやスピルバーグに比べて少し評価が下がる傾向にあります。 同じ南カルフォルニア大出身なのに。 理由は、作り方がチープなんですね。 安っぽい。 安上がりに作って、そこそこ売り上げればいいんじゃないかと思うのですが、ユニオンの国アメリカでは少し事情が違うようです。 でも、当時の日本の映画青年たちは大いに注目しました。 なぜなら、安い予算で作る工夫が満載に盛りこめられているからです。 日本の映画に掛ける予算はアメリカの10~20分の1程。 どんなにいい作品を作れる監督でも、金が掛かる監督は撮らせてもらえません。 安上がりに出来る企画を、予算内に、期間内に撮れる監督のみ、道が開かれるのです。 SFなんてとんでもない! でも、カーペンターの手法をとれば可能かもしれない。 一生懸命見ましたっけ、カーペンターの初期の作品。 「遊星~」はすでに実績を残し、予算をもらっているので、それまでの学生映画に毛が生えた感はないのですが、それでも安上がりにしようという工夫はかしこに見られます。 でも、作り方が巧みなので、ほんとに怖い。 今、日本のホラー映画がアメリカで評価されていますが、安上がりで怖い、というところが評価の対象なのでは? 怖い映画を作ろうと思ったら、“怪物”はなかなか出ない方がいいですね。 「エイリアン」も、なかなか出てこなかったし、「ジョーズ」も前半は見せなかった。 日本の「ゴジラ」だって、最初の奴は、不気味な足音だけで本体はなかなか姿を見せなかった。 予算の関係でしょうが。 でも、なかなか現れなくて、じわじわと迫ってくるのが、すっごく恐怖なんですね。 得体の知れないものがそこにいる、ってだけで怖いです。 誰もいないとわかっている夜道は怖くないけど、そこに人影が見えたら怖いですよ。 ゴキブリが怖いのも、いないと思っているところに突然現れるからでしょうか。 存在が、日常になってしまえば恐怖心はなくなるでしょう。 “心の免疫力”とでも言いましょうか。 逆に、“慣れ”が一番怖いってこともありますけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月21日 08時26分30秒
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