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カテゴリ:日々の仕事雑感
Mさんは85歳、脳卒中の後遺症で右上下肢に不全麻痺がある。自宅はエレベーターのない民間アパートの3階。週3回のディサービスに通うときは杖を片手に56段の階段を使う。 今週の月曜日、利用している介護保険のサービスの担当者が集まって「サービス担当者会議」があった。もちろんご本人も参加する。その会議で「歩けるようになりたい」というのがご本人から出された。 ディサービスでは車いすで移動されて、歩行は平行棒の中で行われただけであったよう。自宅ではトイレまで歩いて行かれている。転倒、転落は老人の事故では最も多いものの一つ。安全を重視するあまり、歩ける方でも車いすを使いたくなることもある。この施設でもそうだったようだが、ご本人のご希望を聞いて昨日からさっそく施設内での移動を杖歩行に切り替えたようだ。 一ヵ月半ぶりに訪問してみると、開口一番「歩けたんだよ。今まで車いすだったものだから、(ご本人の)歩く姿を見て、みんなに驚かれたんだ」と嬉しそうに話される。自宅では歩いておられるので訪問看護でのリハビリも歩くことはしていなかったのだが、今日から歩行機能を高めるメニューを追加してみた。 嚥下障害もあるので、肩や首、顔の筋肉をほぐして、姿勢がよくなるような体操や関節の柔軟性を増すような体操をしていく。普段は寝たり起きたりの生活をされているので体力はまだまだない。すぐ息が上がってしまうので、途中頭の体操などを織り込みながら行っていく。 歩けるようになりたい、というご希望なので今日から立位での体操を加えた。歩きたいという気持ちが強いのだ。一切根を上げずに頑張っておられた。立位での姿勢をよく見てみると右ひざがまっすぐ伸び切らない。左右のつま先も上がりにくい。寝た姿勢で脚を確認してみるとやはり膝が伸び切らない。ご本人が希望するような歩行は望めないだろうが、歩くことをあきらめないご本人の姿勢がきっと不安定でも歩くことは続けられるだろう。 座る、立つ、歩くことを毎日行うことが寝たきりを防ぐことになる。 Mさんにはこれからもがんばっていただきたい。 そのためにもリハビリメニューももっと楽しく出来るものを行って行きたいものだ。 本当はリハビリの専門家でもない看護師がリハビリの指導をするのではなく、理学療法士や作業療法士などのリハビリの専門職にもっと地域で活動をしてほしい。 菊の花があちらこちらで見かけるようになってきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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