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カテゴリ:日々の仕事雑感
Eさんは胃がんの末期で、予後一カ月と家族には話がされているという。 長期の化学療法や放射線療法の結果、寝たきりになり腰痛の圧迫骨折のために一時入院されていた。自宅療養中突然の腰痛でトイレから立てなくなり救急車で受診したところ腹水や胸水が見つかり、その治療のためにまた入院。 本人には胃がんとは説明されているが、予後については家族にしか知らされていない。 今日で訪問看護は2回目。ご本人の希望は日常生活に不自由しないくらいに体力をつけたいということ。両下肢はむくみ、ご自分でもびっくりしてしまうほどのむくみだという。 普段はトイレとお食事以外は寝たり起きたりの生活。簡単な首の体操だけでも、疲れてしまう状態。それでもご本人はリハビリを受けたいとの強いご希望。 現在では終末期でも日常生活が送れるようにリハビリをしている。そのリハビリがまた生きる希望でもある。 他動的にストレッチや関節可動域訓練をして、体調を整えることで心も体もすっきりするようだ。 先週は初回の訪問なので体の状態を看させていただいて簡単な体操をどこまでできるか、関節の動きの状態はどうかを確認させていただいた。ご本人の末期だと伝えていない方に対して、どんなリハビリが適当か悩んだが、ご本人が気持ちよくなれることが第一だと考えて訪問看護計画とリハビリメニューを立ててみた。 血圧などを測ってから、ご本人に説明するととっても喜んでくださった。こんなに丁寧に自分が受ける看護のことを説明されるのは初めてだって。先週の訪問のあとからご自分でも体操をしておられるとのこと。 お話を聞いていると、溶接工として100分の1ミリの自動車のブレーキの製造から大きな工場の機械まで作ってこられたという。仕事は毎日楽しくって楽しくって仕方がなかったってお話された。男の方なのに、小さな優しい手をされていて私の太い指を見て笑っておられた。 帰り際、「食欲を出すために何か美味しいものはありますか」ってご質問。「しょうが醤油やニンニク醤油で豚シャブはいかがでしょう、そろそろカツオが美味しい時期ですね」などと話をしていると、ご近所ののみ屋さんで河岸から新鮮なネタをさばいてくれるお店があり、病院の帰りに奥様と一緒に良く通っていたという。 奥様もそのことを思い出して、今度その店によって刺身を買ってきて、ちょっと一杯してみようか、という話になりお二人で笑いだした。 訪問看護でこんなに感謝されるのは久しぶり。「ありがとう」という一言で私たち看護師はとっさに元気になってしまう。 先週の初回のときは、あんた誰?なんて言われてしまったけど、今日は大違い。 2件目の方にも大感謝されて、「あなたには幸せになってもらいたい」なんて言われてしまった。 私たちにとって最大の報酬は感謝の言葉かもしれない。 この言葉によって、励まされ勇気づけられ、また明日も元気で仕事をしようという気持ちになる。 昨日、長徳寺ではこんなゴージャスなチューリップが咲いていた。 こんな色も。 八重の桜も咲いていて、薄緑色の桜も。 薄ピンクの桜は枝が手の届くところにも在ってちょっとアップでも撮れた。 「blog1000flowers」 被災地に花を! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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