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2015年08月16日
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カテゴリ:日々の仕事雑感
 金曜日の夕方、肺がん末期の方を担当しているケアマネージャーが慌てて事務所に飛び込んできた。初めての訪問入浴の日で、本人もとても楽しみにしていたのに、ゼーゼーと息が荒く訪問入浴が始まる段になって口調が荒く興奮して入浴を拒否されたとのこと。

 1週間前から咳で眠れぬ夜が続いているとも聞いていたので、ひょっとして肺炎? 心不全? 胸水の増加? と色々と気になり急遽、帰宅の道沿いにお家があるので雨の中寄ってみた。

 ベッドに横たわっているものの、玄関を開けただけで ゼーゼーという荒い息づかいが聞こえてくる。全身汗がびっしょりで奥さまが体を拭いても拭いても汗が止まないという。

 肺炎や心不全など胸郭内の臓器が障害を受けると、体を起す姿勢のほうが呼吸がしやすくなるので、ベッドの上で胡坐をかいていただき、背中に座布団をあててタオルケットを丸めたりして姿勢を整えた。10分、15分と経過するうちに呼吸が落ち着いてきてゼーゼーと荒い息づかいもなくなり、汗も完全にひいた。

 やっと本人に笑顔が見られ、心配そうに眺めていた奥さまも少し安堵された様子だった。

 「お風呂はもう金輪際嫌ですか」と尋ねてみると、「そうじゃないよ、今度は入りたいよ」との返事。

 「呼吸が苦しくなって、血液の酸素の量が少なくなったことで脳に届く酸素の量が少なくなって、少し気分が変わってしまったのかもしれませんね」と説明すると「俺もそう思うよ」って。

 両胸に手を当てると気管支の中を痰が移動するときに発生する振動が伝わってくるし、右肺の呼吸音が弱く、バリバリと音も聞こえる。

 「ずっとベッドの上で座っているのは疲れてしまうので、疲れたら横になって、またゼーゼーしてきたら座って呼吸が落ち着くのを待ってくださいね。夜中、奥さまだけでは手に負えそうもないと感じた時には遠慮しないで携帯電話に連絡をください。すぐに飛んできますから。」と、駐輪場まで見送ってくださった奥様に念を押した。

 あんなに苦しい呼吸状態なら、何が起きてもおかしくないし、夜中でも連絡があったらすぐ出かけるつもりで布団に横になったものの殆ど眠れないまま夜明けがきた。

 二人で頑張って夜明けを迎えられたのかと思っていたときに、携帯電話が鳴った。息子さんからの電話で、「5時半に息がとまった。お袋が少し横になって眠っていた間に亡くなったようで、目が覚めたときにはもう息をしていなかった。呼吸が止まった時どんな様子だったか家族はだれも見守れなかったんです」と。

 「御父様は昨夜は眠ることができたんでしょうか」と尋ねると、「いびきをかいて寝ていたようです」と返事が。

 何日も眠れぬ夜が続いたので、最後の夜に奥さまがそばにいてぐっすり眠れたのなら、それはそれで良かったのかもしれないが、もう長くは無いと知っていたものの、そういう日を迎えたご家族の深い思いは計り知れないはず。

 最期まで、おむつをつけずにトイレに行くことを希望していた。

 脳梗塞、心筋梗塞、肺がんと辛い病気を色々されてきて、最後は進行がんで亡くなってしまわれた。

 

 今年はどういうわけかお見送りする場面が多い。少しでもご本人やご家族が希望する自宅での生活を続けられるようにお手伝いをしたいが、生活全体を支えるような体制を整えたり、ご家族の介護方法の相談に適切に答えたりするのは非常に難しい。

 
 そして日曜日(今日)の深夜、「咳が止まらない」と携帯電話に連絡が入った。分娩時の障害で脳性マヒで50年以上自宅療養をされている方のお母様。「痛いことはしないでほしい」と吸引機を購入したのに、目にしたくないと器械にカバーをかけてカーテンの陰にしまっておられる。「痰が多いんですね、お母さんとりあえず吸引をしましょう」と伝えて、電話を切る。

 深夜2時半から4時まで。姿勢を整えたり、脈拍数と酸素飽和度をモニターしながら、吸引をしたり背中や腰をマッサージしたり。何とか呼吸数も脈拍数も落ち着いてまた午前に訪問することを約束して帰ってきた。この方も肺炎を起こしたようで、痰が動く時の振動も胸で触れるし、バリバリとした呼吸音もなくならない。

 かかりつけのS病院なら入院をしてもいいけど、でも延命治療はしてほしくないし、わたし(母、83歳)が無くなる前にこの子を見送りたいし、どうしたらよいか結論を出すのは難しいわね。

 と、迷っている様子。「また、連絡しますので、お母さんのお気持ちを一定整理しておいてくださいね」と話す。

 午前中に訪問すると、深夜に比べると呼吸も脈拍も落ち着いているが、痰が貯留している状態は変わらず。

 「明日に、往診を受けてどんな結果になるのか、入院するかどうかについてはもう少し考えたい」と。


 終末期をどのように迎えるかについては、いろいろな議論があり非常に難しいが、癌に限らず色々な病気で終末期を迎える方に対して、食べられない、息が苦しい、痛い、吐き気がするなどなどさまざまな苦痛を和らげながら、のんびりゆったりと自宅で最期を迎えるような方法はきっとあるはず。


 二日続けての眠られぬ夜だったけど、日々のケアの中でご本人やご家族からお話をよく聞く中で、どう暮らしていくかは、みつけられるはずとの思いを強くした。

 





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最終更新日  2015年08月16日 22時28分22秒
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