カテゴリ:読んだり見たりする話
批判を書いた後に山本弘の小説を借りた。で、ああ、やっぱりああいう人なんだなあ、と。
多分この人、凄く真面目なんだよね。で、SFを理詰めで書く。とにかくいろんなことを勉強して、理論とかできるだけ穴の無いように、それでいてエンターテインメントとして成立するように、物凄~く気を使って、丁寧に書く。だから結構面白いのは事実。ついていけなければ難しいけど。 こういう人だから、結局「ろくに調べもしないでいい加減なことを書く人」が許せないのかと思う。彼のとんでも本批判にはよく「ちょっと調べれば解ることなのに初歩的な間違いをしている」とか、そういう文章を見かける。なるほど、自分は一生懸命調べて調べて、勉強して文章を書いているのにお前らはなんだ、と。しかもそういう安易な本にかぎって売れるんだからそりゃあ面白くないだろう。 あと全体に正義感が顔を出す。勧善懲悪的ではないのはこういう人の特徴ではあるけど、でもここで見える正義感、表現は難しいけど、とんでも本に対して怒りを表す時の正義感と同質のものに感じられる。ところどころで宗教批判などが顔を出すのも「ヘッ」って感じだ。 実は小説としては比較的面白い。って言うか、読める。設定とかも科学的裏付けがしっかりしていて、嘘の配置の仕方が上手いから、正しい科学知識と嘘の間にある「サイエンス・フィクション」に奇麗に収まっている。オタクの書く本(漫画)にありがちな「自分に都合良いファンタジー」に着地するのは自分の中の生真面目さがそれを許さないんだろうな。 ただ唯一、表題作の「シュレディンガーのチョコパフェ」だけは流石に元々同人誌に載せたもののリライトだというだけあって、「オタクの理想世界」にオチを持っていってしまってガキっぽくなってしまっている。なんか筒井康隆の「パプリカ」と「夢の木坂分岐点」を足してオタクワールドに持ち込んで2か3くらいで割ってしまったらこっぱずかしい物になってしまいました、って感じの。いや、科学考証とかは相変わらずちゃんとしてるんだけどね。 この先はオチ丸ごと書くから注意して欲しいけど。「ルックスは悪いけど理想的な女」が俺ワールドに行って「ルックスも良くなっちゃいました。名前も変わっちゃったけど。でも本質とは関係ないよね」ってなぁ・・・所詮その程度かよ。やっぱルックス大事なんじゃん(嘲笑)って、そこまでの女性の描写台無し。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.19 21:48:36
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