カテゴリ:証券実務/経済時事
【新株予約権の付与に関する契約(2)】
前回の記事はこちらです:ストック・オプション実務~その6 権利行使されていない「新株予約権証券」のままの状況下では、 いかに権利付与対象者本人(証券の持ち主)といえども、 本人の自由意思で処分(証券を他人に譲渡、契約にない条件で勝手に行使等々)できない、 という実務環境にしておかなければなりません。 もちろん、新株予約権の所有権は権利付与対象者に帰属しますので、 民法上は原則本人の意思によって譲渡が自由なはずです。 ですが、役員・従業員を対象としたストック・オプション目的で新株予約権を発行する場合、 実務的に契約でもって譲渡を禁じるなり、制限を加えておかないと 意図しない者≒招かざる者に権利が渡ったり、発行の公正性・妥当性を欠くおそれが出る等 いろいろと不具合が出ます。 譲渡を要す場合は、取締役会の承認が必要、といった具合に契約中に定めます。 管理を厳格にすることで公正性を保つことを重視しているということです。 いわば内部の利害関係者への発行に際しては、 会社がその権利を一定期間拘束して権利者の手から自由権利を奪わなければならないほど より慎重に取り扱わなければならない、ということですね。 これは、証券取引所等から出されているガイドラインにも定められている手順です。 若干発行会社と証券管理委託する証券会社の間で実務フローのアレンジはしますが、 法制とガイドラインの範疇は絶対的に遵守されていなければなりません。 でないと、インサイダー取引抵触で逮捕者続出、 または企業実態が伴わない「スタンドプレー経営」による株価の意図的な吊り上げ (これも証券取引法に違反)が横行すれば、企業信用失墜・資本市場崩壊となりかねない。 ストック・オプションが本来持つ、高尚な趣旨を曲解した愚行が発生する余地を 何としても阻止しておかないといけないのです。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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