なんでそうなるの

[お遍路さんに行きたい] カテゴリの記事

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• マスクの中のため息

  先ほど　愛犬マリンさんに誘われて仕事場の前の堤防に出ましたポカポカと暖かな陽気です私のような寒がりでも今日は　屋内より外の方が暖かい　のがわかりますこれから　いろんな植物が芽を出し　花を咲かせる　ので散歩が　楽しくなりますただし　鼻が乾き　咳が出るので　マスクを外せません昨日　何気なく　付けているマスクを　指ではじいてみたら一瞬　マスクから　埃のようなものが　モヤ～　と目の前を　かすめるのが　見えました花粉でしょうか　黄砂でしょうか目には　マスクを付けてないので目がゴロゴロして　困るのですが白目が腫れるほどではありません知らず知らずの間に　人間の業が　自然界にも染み渡り人間だけでなく　犬や他の生物にも住みにくい　環境にしてしまっているのでしょう先日まで　環境を守ろうといっていたのに高速道路代を安くしますからドンドン　車に乗ってお出かけ下さい　ってその　豹変ぶりが　ちょっと理解できません早く　化石燃料を使わないですむような社会は来ないものかと嘆く私めも　実は　車の中他人の豹変を嘆くより自分の身勝手を戒めなければ　解決しないなあと赤信号の待ち時間　マスクの中で　ため息をつきました　　　　

  2009.03.17

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  四国８８ヶ所巡礼をしたお客様

  先日　１００才を超えている　お客様が亡くなりました最近こそ寝たきり状態でしたが ホンの２，３年前まで　何の介護も必要とせず　ご自宅で　悠々と生活されていた方でしたご仏前に　ご挨拶に行くと床の間には　四国８８ヶ所寺の朱印が押してある掛け軸が掛けられご本人が横たわっている掛け布団の上には四国８８ヶ所寺の朱印がある白衣が掛けられておりました話を聞くとご本人がお元気なとき　自分で廻られ満願されてきたものだそうです死に顔が　この世での修行を無事終えられた　という感じのする安らかなお顔でしたご遺族は　枯れていくように　落ち着いた最期だった　と話しておられましたこれも　お大師様の　お導きかも知れません私は　まだ四国８８ヶ所は成就して無くて　途絶えております途中まで戴いた朱印を押した白衣は愛犬リーさんが死んだとき　掛けてやりましたその後　巡礼を再開していませんぼちぼち　今年あたり　再開してみようかな　とお客様の　安らかな死に顔を拝見して思いました一方 住吉大社の月参りは　９年目に入りました月参りをして　その証に境内末社の初辰さんで知られる（一部に）楠君（本当は　王ヘンに君です）神社で小さな裃を着けた招き猫を１つ　もらってきますこれを４年繰り返すと　子猫が４８体貯まりますがそれを　楠君神社に返納するとやや　大振りな猫と交換してもらえます始終発達　という　上方らしい　かけことばです写真　奥側の大きな猫です前回４８月参りしたときに頂戴しました今回　子猫が４８体となりましたので今月１７日に　持っていって２つめの大きい猫を頂戴してこようと思いますよく　８年間　お守りいただいたものだと　感謝感激　でありますこの　大きい猫が３体になりますと更に大きい猫１体と交換で頂戴できるようでありますがさて　あと４年がんばれるかどうかいや　これだけは　ぜひともがんばってみたいものです　　

  2009.01.14

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  納髪と熊野三山詣で3

  １２月１１日南紀串本のホテルの露天風呂から南の大島の向こうに上がる　朝日を眺めて　私たち３人は次の目的地である新宮市へ向かいました叔父に案内してもらって私の祖母の生家を見るためです母の子供の頃は　船で行ったという話を聞いていたのでもっと　海沿いにあるのかと　勝手に思っていましたが熊野川沿いの　かつては新宮城域であったと思われるところにその家は存在しましたかつて　祖母が幼かったときに遊んだであろう新宮城址に有った石灯籠ですがこれは　そんなに古いものではなさそうです熊野川の堤防から　海を向いて新宮城祉の森を眺めましたかつては　この川も綺麗で　祖母も祖母の兄弟たちもこの川で　よく遊んだということでしたさて　ひとときの感傷的な時間を過ごして熊野詣での第二社目は　ここから道路で一直線のところにある熊野速玉大社であります新宮という地名の起こりですが熊野本宮に対する新宮かと　これまた勝手に思い込んでいましたがかつては　近くの神倉山にあった　元宮が　この地に新しく宮を造営したので　新宮となったそうでありますそれが　地名にまでなったことからかつては　隆盛を誇っていた神社であろう事は歴史的な宝物の多さでも　うかがうことができます　　　平重盛公お手植えのご神木といわれる梛の木です歴史の栄華盛衰の生き証人であります平安後期　時の権力と関係が深かった熊野三山は　源頼朝の挙兵以降　那智・新宮衆は源氏に味方し　平家に味方した本宮の人々と戦ったようですが最終的には　熊野三山揃って　頼朝方につき勢力を温存できたようですしかしながら　平家側からすれば　裏切られたということになりますが事態は　単純に進行したのでは無かったようで本宮から十津川さらには野迫川・西吉野にかけて平家の落人伝説が残っていることを思えば権力者の生き残るがための方策と配下の人々の思いは　決して　同一ではなかったのでしょうあるいは　三山の権力者でさえ時の中央政権によりそう顔と　地元生活者としての顔は違うものだったのかも知れません速玉大社で引いた　おみくじは　「小吉」でした前日那智大社で引いた　「吉」から上がったのか下がったのか私は　上がったと信じることにしましたいよいよ　熊野三山詣でも　あと一社を残すのみで楽しい旅というものは　あっという間に時間が過ぎてしまうものですさいごの　熊野本宮大社は　帰り道の国道１６８号線沿いです来た道を戻るという変化のない旅です最近　サッカーのシンボルマークに八咫烏が採用されていておまけに熊野古道ブームもあり若い人たちの参詣が増えたそうですこの近所にはその昔　平清盛の時代に生きた薩摩守　平忠度の生誕地といわれるところがあり 平家との強いつながりが　あったものと思われます 早い話が　平家の公達が　熊野詣での途中で　地元の女性と関係しその子供ができたそれが　忠度公なので　彼にとっては南紀は　母方の土地 源平の合戦の折　最初　本宮衆は平家についたのも　なるほどと肯けます朱塗りの那智や新宮の大社と違い　鄙びた感じでありますがこの地は　元々　王子社のあった場所で明治２２年　水害により川の中州にあった本宮大社が壊滅しここに移築された　という由来があります今から１００年以上前のことですここを　最後に私たちの　納髪と熊野詣での旅は終了しました母の遺言が実現できて安堵していますもし　叔父が先導してくれなければ　なかなか行けなかっただろうと思います息子を連れてきたのは私に万一のことがあれば　後を託すためです往復の道を　私が運転しましたが体力的にはかなりの疲労でした生涯に　もう１，２度　訪れることができれば　大出来だと思います息子には息子の考えがあるので　今後どうするかは彼に任せますができるならば　時々は　この日のことを思い出してもらいたいものです　本宮大社でひいた　おみくじは　とうとう「大吉」でした（笑）

  2008.12.16

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  納髪と熊野三山詣で２

  那智熊野大社に参詣し　吉のおみくじを引いた私は母の遺言通り　青岸渡寺に遺髪を納め永代供養のお願いをして那智の滝を拝観し叔父の案内で　宿泊先である串本に向かいましたストレートにホテルに入るには　時間が早すぎるからと串本の対岸である　大島を見物することになりましたトルコの人が　自分の国の作り方で　ソフトクリーム（アイスクリーム）を作っている店がありそれを食べようと言うことで私も　息子も　あの伸びるクリームにつられて　大島に行くことになったのです串本から　大島へ渡るのは　かつては狭い海峡を　北から南へ渡る巡航船でしたが今は　西から東へ渡る橋が架かっています　大島大橋とでもいうのでしょうか彼方の橋が　その橋です橋のおかげで　歌に唄われた巡航船は姿を消したでしょうあまり　大きくない島を道に沿って　ドンドン奥へ行きました駐車場で車を降り　進んでいくとトルコの軍艦「エルトゥール号」遭難慰霊碑がたっています１８９０年９月１６日　日本に親善訪問して任務を終えたエルトゥール号は台風に遭遇して　大島の岩礁に激突・座礁し　更に水蒸気爆発を起こし沈没　乗員５８７名が死亡しました生存者が　１８７０年に点灯した大島樫野埼灯台に救助を求め大島の住民たちは　台風下　総出で救助にあたり６９名の生存者に　自分たちの乏しい食糧や衣類を惜しげもなく提供し死者の遺体引き上げにも尽力した　ということでありますこの事件以降　政府間はさておきトルコ国民の親日感情は　大きなものが有り１９８５年の　イラン・イラク戦争時トルコが　イランの日本人救助のために救援機を飛ばしてくれて２１５名の日本人を　救出してくれて「エルトゥール号の恩返しです」と言ってくれたことは 私たちも　記憶に深いものが有ります慰霊碑脇の　トルコ記念館から　エルトゥール号が被災した岩礁を見ました穏やかな　海でありますがこんな狭いところで　歴史に残る大事件が起きそして　今なおトルコの人々が感謝してくれているほど大島の人々が献身的に救助したことに　私たちの頭は下がりました叔父は　この現場に私と息子を連れてきたかったに違いない　と感じました日本最初の回転式閃光灯台である樫野埼灯台の周囲には灯台技師の植えた水仙が咲いていました白く清楚な水仙は　私には　まるで遙か異国に沈んだトルコの犠牲者の人々への鎮魂の供花のように　思えましたそういえば　１１月に南紀白浜へ行ったときは季節外れの寒波で　真冬並みの気温と強風で半分　命掛けで露天風呂に入ったのですが今回は　１２月だというのに暖かく　１１月初旬並みの気温だということで南紀串本のホテルの露天風呂は大島を目前に見渡せ悲劇と　大島の人々の献身と　今なお感謝の気持ちを抱いてくれているトルコの人々の温情は夜といわず　深夜といわず　明け方といわず私たちの　心を揺さぶりました２日目の早朝　露天風呂につかりながら　大島の向こうから昇る日の出を拝みました暖かい朝でした

  2008.12.15

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  納髪と熊野三山詣で１

  １２月１０日に　いつも通い慣れた十津川路を経由して南紀に入り　母の遺髪を納髪のため　叔父の案内で　息子を連れて　那智山青岸渡寺を目指しました以前　子供たちがまだ幼かった時分　このルートを通り那智山経由で紀伊勝浦温泉に泊まったことがありますがその時と比べると　すごく道路が改良されていて時間も　短縮されたし　なにより　一部の未改良区間を除き車酔いしにくい道路になっています 街道に馴れた私が運転して十津川から　熊野川沿いに　熊野本宮脇を通り熊野路をひた走りました　トイレ休憩した場所に　世界遺産　熊野川　という標識がたっていました 車は　熊野川沿いに　国道１６８号線を新宮市まで南下し　国道４２号線を西へと走りました途中　那智勝浦新宮自動車道路に入りおやもう着いたの　と思うくらい予想より早く　那智山に到着しました石段をフウフウいいながら　３人で上りましたがこれも　母の供養のため　いやなに　うっかり車を下に置きすぎたのですまず　青岸渡寺の横にある那智熊野大社に詣でることにしましたおおきな　おみくじの筒があり　抱えて竹を取り出します「吉」でありました私の運勢は　まあ　この程度のものですそして　次にいよいよ　母の遺言を実行すべく隣にたっている　青岸渡寺に向かいましたここが　西国３３ヶ所　１番札所　青岸渡寺の本堂です私が訪れたのは　先述の通り２度目ですがその時には　母の遺言により　又来ることになるとは夢にも　思っていませんでした私は　母の髪を納髪し　永代供養をお願いしました叔父は　私の父母も含めて　自分の係累一同の供養を依頼してくれました私が　来られなくなったら　息子が引き継いで　供養に訪れてくれるものと期待しています　お参りが終わり　私たちは余り光の差し込まないうっそうとした林の中の石段を　下り那智の滝の傍まで　歩きました遠くから見ると　水量が少なく　上で三筋に別れやや　か細い感じがしましたがこうやって近くから眺めると　それでも　なかなかの迫力でありましたこうして　那智山でかなりの歩数を歩いて目的の青岸渡寺へのお参りは　済ませることができましたその夜は　串本泊まりです串本へ向かう車中 叔父の提案で　串本の向かいの大島へトルコ人が作るソフトクリーム　を　食べに行くことになりました　また　せっかくの機会なので熊野三山詣でをしようということになりましたおそらく　叔父がいなければ　こういう機会は得られなかったと思いますが母の遺言が　私たちを熊野詣でに　導いてくれたのであります感謝　感謝でありますが　明日は　深酒忘年会であります続きは　次回ということにいたします   　

  2008.12.12

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• 殺すより殺される

  昨日の夕方6時過ぎ　お客様の家から仕事場に帰る途中明るい東の空に　真っ白な大きなお月様が　浮かんでおりました夜に見るような　冴え冴えしさはないけれど穏やかな　やさしい　月歴2月14日の丸いお月様でしたさて　私は最近　というか毎晩　新発売の糖質ゼロのアルコール飲料を飲み比べておりますが昨夜は　少々量が過ぎたようでWiiの数独が　さっぱり進まず風呂にも入らず　こたつの中で　うたた寝をして朝を迎えてしまいましたそれも　いやな夢を見て目覚めました夢というのは　人を殺した夢でした私は大小の刀を差していました誰か2人を　金で雇われた追っ手から逃がすために連れて逃げ追いつかれた追っ手を切り捨てましたここからが　格好悪い私は　証拠の隠滅を測り　鞘はそのままにして刀の中身だけ換えて表面何食わぬ顔して　その実　いつ犯罪がばれないかと　びくびく暮らしましたその　びくびくしているところで　目を覚ましましたこんな夢を見て　気分いいはずありません夢は正夢といいますから　これからの自分にこんな事が自分の身に降りかかるのか　とか思って　目覚めてからも　しばらく　鬱々しておりましたこれは　うつ病の前触れか　とか考えて夢でも　うつの　引き金になりうるのかな　とかびくびく逃げ回る　卑怯な自分が　私の正体か　とか今の生活の延長線上には　こんな事が待ち受けているのか　とかこんな自分を鍛え直すには　どういう修行をしたらいいのかな　とかまるで　新しい数独の問題を　与えられたような気分でしたそこで　ふと気がついたんですもうそんなときは　自分が殺さずに　殺されればいいんだと誰も見ていないと思っても　神様や仏様は見ているんですから神仏の前に　身を捨てる　事が　今回の正解なのかも　とそれで　気分が楽になりました実は　一瞬ですが　実際にこんな気分になった事が一度だけありましたお遍路さんに行って四国を歩かせていただいていたときですまあ　ホンの一瞬でした今の生活には　その体験のかけらも　生かされておりませんそういえば　お遍路さんにも　長く行かせてもらっていません愛犬リーさんの死で　車の日帰り遍路の途中から帰ってきてからすっかり　足は止まってしまいましたあの時は　私の血圧は　毎日２００を超えていましたがまだそんなに症状も自覚せず　自分の体は特殊なんだと勝手に思いその後　そうはいかなくて　通院し出しましたからあのまま　自動車で廻っていたら　何か私の身に異常が起きたかも知れません　　　　それも　因縁めいたことですひょっとすると　この気分悪い夢は再び　私をお遍路さんに呼んでくれるためのお大師様の　試験問題だったのかも知れないそう自分に都合よく解釈して　右から左へ受け流す　事にしました

  2008.03.22

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• 四国のお接待に感謝

  先日　四国の紙製品の取引先から新製品の紹介に来ました私は　彼とは　久しく出会って無く　行き違いばかりで最後に出会ったのは　世界がまだ２０世紀の頃でした私と仕事の話をしても仕方ないので話題は　私がしていた　お遍路さんの話へ身の程知らずに　気の赴くまま歩いて　初日で脱水状態になった話遍路道をへろへろで歩いていたら　お接待を受けて　力を頂戴した話　などなど四国の人は　ホントに親切だと　感謝を込めて話しました四国出身の営業マン氏は　それを当たり前のように頷いて　一つ一つ理解して　聞いてくれていたように思います聞けば　彼の　お父さん　お母さんも　お遍路さんしている　ということでした「ただ」　と彼は言いました「ただ　四国の若い人は　あまり関心無いようです」「そんなものか」　そんなものだろうな　と思いました戦後の　豊かさが当たり前の社会に生まれてきたのですから無理もないかな今朝　毎日新聞が　高松の遍路道で　ミカンの木とかを植えてお遍路さんに食べてもらおう　という地元NPOの試みを紹介していました有り難い話です四国を目指すお遍路さんは　何か理由があってそれを行うのですがそれを迎える　四国の人々の暖かさはどれほど　お遍路さんを励ましてくれることかそんな魔法のような力を　四国に人々は持っているのだと言うことを四国の若い人々も　あらためて認識していただき誇りを持っていただきたいな　と今朝の新聞を読んで　あらためて　自分が頂戴したお接待の一つ一つを思い返しながら　感じました「今度　会社の傍を通るとき　日にちがわかったら　教えて下さい」別れ際に　紙製品の営業マン氏は言いました「お接待をしてくれるの？」　と聞くと　「はい」　という返事「ありがとう」　と返事しました彼なら　必ず都合をつけて実行してくれるでしょうが話だけでも　有り難く　嬉しいことじゃありませんか打ち止まっているところから　彼の会社の付近にたどり着くまでには相当厳しい道のりなのですが一丁　都合をつけて　歩きに行こうかと　いう気になりましたでも　彼の会社の前は通らないでしょう歩き遍路コースから遠回りになって　とても　足に余裕がないでしょうから話だけで　もう十分　お接待を受けたような　有り難い気分ですよホントに　四国は　不思議な　いいところです　

  2008.01.20

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• ８４歳で４２Km歩く人

  以前　ご紹介した　ジョシュア君の　おじいさんのその後の話です先日　ひょこっと来られて　話を伺いました大正12年生まれの　８４歳の男性ですが一昨年　奥さんが難病で闘病1年足らずであの世に帰られたあと独居で　自立されておられますそれどころか　難病の方に　絵画指導のボランティアまでしてくれているのですこれは　前から続いている話なのですがびっくりしたのは　その後の話昨秋　市のウオークラリーで　４２．１９５Kmを60位で　歩き通されたとのこと参加総勢は300人程度でしょうか84歳にしてこの快挙　びっくりしました奥さんが闘病中は　看病しているご自分が大腸ガンの手術直後で　下肢筋力も衰え階段の昇降もままならず　訪問リハビリを受けておられましたそれが　奥さんを看取った後　一念発起で介護保険利用返上　自発的に　歩く訓練を続けとうとう　４２．１９５Kmを歩き通したということであります「いよいよ　お遍路さんいけますね」と水を向けるとまんざらでもなさそうでした「でも　歩き遍路の道は　起伏の激しい道が多いですから」　と今度は水を差すと「月に１回ずつ　金剛山登って来ようかと思っているんです」　というお答えどこまでもお元気な　８４歳でしたどうか　今年も　お元気で歩き続けて下さい　

  2008.01.10

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  ジョシュア君のおじいさんがお遍路に行く

  ジョシュア君親子が　ジョシュアママさんやおねえさんと　年末に　おじいさんのおうちに　帰ってこられました私は　ちょうど　預かり犬花子ちゃんの　闘病介助中で　会えなかったんですが　その時の画像を送ってくれましたジョシュア君親子は　どちらも　元気そうで　何よりでしたその時にジョシュアママさんが電話をくれて　おじいさんが　お遍路に行く　といって張り切っているとの事でした私にも　その前に　ご本人から連絡があって　お遍路さんの話をお尋ねになっておられましたもう一昨年になりますが　私の父が亡くなる二ヶ月前に　難病で闘病中の奥さんを亡くされ　一人暮らしになってしまわれましたジョシュアママさんはもとより　家族の皆さんが　一人暮らしの生活を心配されておられましたが　今や　介護保険要介護認定返上のうえ　若い難病生活を送っている女性に週一回ボランティアで絵を教えるという　表彰もののご活躍ぶりです　　きっかけは　ＮＨＫのドラマで　四国お遍路に興味を持たれたとのこと今は　毎日最低一万歩　歩いているという　お元気ぶり奥さんが亡くなる一年前に　お腹にメスを入れた元病人さんとはとっても思えない方です昨日　お遍路さんの本を持って　久しぶりに　お邪魔いたしました亡くなられた奥さんが　植えたと思われる花が咲いていました  って　いくら何でも　少し咲くのが　早くない？ジョシュア君のグランパパですが　お遍路に　行く気満々で　今年に入ってから一度　バスに乗って一番から六番まで　お参りを　試してこられたようですやることが早い　　私はママさんから　二月に予定しているようだ　と聞いておりましただから　お接待第一号に　お遍路の本をプレゼントしようと思ったのですがもう　この調子だと　春の訪れと共に　四国に旅立ってしまいそうな勢いですでも　一人では行かないで　と　娘さんには止められているようです昨日は　余り時間がなかったので　ゆっくり話ができませんでしたが　今日の病院の検査も良好ということで　もっとゆっくり時間をとって　お遍路のことを聞きたいとのことでありますできる限りの情報は　お伝えしますが　話を聞けば聞くほど　お遍路の虫がうずいて　行きたくなりますよ季候が良くなれば　誰かが遍路道を歩いているから　一人でも大丈夫とは思うのですがこんなこと　けしかけると　ご家族に怒られそうですねでも　元々一人じゃないですよ　お遍路はちゃんと　お大師様が同行してくれるし　亡き奥さんだって生前のように一緒に旅してくれますよ　　無理せず頑張って下さい　８３歳の歩き遍路さん 

  2007.01.25

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• 介護認定の審査にご用心を

  現在　大雨で　各地に警報が出ていますが　どうかお気をつけ下さい 昨夜　仕事場に遅くまで居残りました 残業ではありません　エアロバイクをこいで居りましたその後　石垣パインの小さいのを　半分　スプーンで　ぺろり筋が歯に引っかからず　唇にぴりっとも来ず　甘く　おいしかったです沖縄で台風に追われた悪夢のような出来事が　早くも　甘い思い出になりそうです ところで今年４月から　介護保険の　認定審査(調査ではありません）結果が　私の住んでる地方では　訳わからんほど　低い介護度で　決定されてきますこの審査で　要介護度が決まり　福祉用具が制限されたり　１割負担の範囲内では　今までほどのサービスが利用できなくなったり　あるいは　要介護度が上がったがために　同じサービス利用でも　利用料が上がったりします　大事なのですが　それがどうもおかしいたまたま　友人のお父さんが　要介護３から１に下がったので　このケースを取り上げますこの人は　現在８１歳で　慢性腎不全で腎臓臓機能障害１級・２度にわたる脳梗塞で右片麻痺が有り　週３回透析に通っておりますが　今回そこに肺線維症が加わり夜間酸素吸入しています主治医の意見書を見れば　透析時　時々　血中酸素濃度が９０を下回るときがあるようです昨年末　妻が急死して　とても独居できず　息子さんが　本人を説き伏せ自宅へ連れ帰り　同居していますが　息子さん夫婦も　軽度の慢性病持ちで　無理をさせられない状態ですそこで　本人の起居動作を考え希望もあったので　介護ベッドをレンタル　透析に行かない平日の週２回をデイケアで　入浴と訓練にあて　土日は　療養食を準備してくれる老健施設へショートステイを利用してもらう　ということで様子を見ています　　　　　単位的には　要介護３で　１月あたり上限２６７５０単位の内　平均２００００単位の利用で綺麗に枠内に収まっておりましたでも８月からは　要介護１なので　上限１６５８０単位で　毎月大体３５００単位の不足です今までの利用料に加えて毎月３５０００円を支出しなければなりません加えて　１０月からは　介護ベッドの貸し剥がしが待っていますこんな事って　絶対　変です当然　友人は疑問に思いますそこで　審査の元になった　訪問調査を　要介護３の時と要介護１になった今と比べてみました移乗や移動で　調査ミスがありますが　電話や聴覚視覚で　状態が悪くなっているので　とんとんだのに要介護３から１になっているのです今年の春　N県で認定調査員の研修がありましたが　認定内容は変わっていないと言いましたが　N県庁の人　この現実どう思う？審査会で認知症がないと　要介護度を下げるという　けったいなグループも存在するようですしここで　週３回通っている主治医の意見書を　見てみると　短期記憶問題有り・意志決定を行うための認知能力いくらか困難・意思伝達能力いくらか困難　　とありますが　認定調査では　いわゆる認知症関係の部分は　綺麗に問題なしになっているのですそこで　友人に　だれが　調査に立ち会ったか聞くと　友人の奥さん同居間もない　息子の妻は　義父の面前で　その問題行動を言えなかったのです友人に　物事うまく行きかけたら　いつも　手を抜く　悪い癖のせいだ自分で　立ち会って　実態を　きちんと伝えないからだ　と　苦言を呈したもののこの調査票　おかしいな　と　保険者も審査会も　何も思わなかったのかな～　と　これは　友人の疑問そりゃそうです　訪問調査の結果が前回と一緒なら　今回も同じ認定結果が出てくると　普通は思うもの私の見るところ　このお父さん　認知関係のところで　４つや５つ　引っかかるところがあるので次回は　しっかりと　調査員に伝える必要があるね　と　優しくアドバイス面前で言いにくければ　別室ででもそしたら　４月以降のけったいな審査でも　要介護２や３には　なるはずです皆さんも　家族さんの介護保険の認定調査の時には　「問題行動」を隠さずにきちんと伝える方法を工夫してくださいね４月以降のけったいな審査に対する自衛策は　これですね　さて　雨の中　久しぶりに十津川路を　終点の十津川村まで　走ってきますどんな１句がひねり出せるやら

  2006.07.19

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• 四方の海　みな同朋と　思う世に

  「四方の海　みな同朋と　思う世に　など波風の　立ちさわぐらん」明治天皇の和歌ですが　日本海を挟んだ　昨日今日の騒擾に　これを　思い返しておりました私は　若き日にベトナム戦争でベトナムさえ勝利すれば　国際間に少々の紛争はあっても　基本的に世界は　平和に向かうと思っていましたそんな甘い見通しは　ベトナム戦後　すぐに　打ち砕かれてしまいました社会主義勢力が　平和を求めているなんていうのは　幻想だと　思い至りましたけれども　私たちは　やがて21世紀を振り返ったとき　平和の世紀であった　といわれるように　戦争を防ぐ努力をする責任はあると思います北朝鮮の指導者が　むちゃくちゃをするからといって　在日の市民を責めたりするのも　フェアではない　と思います早く　解決して　元に戻って欲しい　と思いますでも　間違って　日本の国内に　一発落ちたら　こんな理屈は粉砕されるに決まっていますから　　北朝鮮の指導者も　次は　撃たないで欲しいと　切に願っていますこんな時は　何もかも捨てて　お遍路さんに出でて　平和を祈って歩きたい　気分です平和だからこそ　福祉も　充実させられるのです　　　

  2006.07.06

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• もうお遍路さんにいけないと嘆く人

  先日　左右の脳梗塞を患われ　自発的に退院してきた　お客様の家を訪問しましたとりあえず屋内移動に　車いすを　お貸ししてあったので　その適応性と　座位保持の状態を　ということでしたが　生活全般の話になりましたお客様の　主たる介護者は　奥さんお部屋には　西国３３カ所の掛け軸や　四国８８カ所の額等が　飾られており　相当の　熱心な巡礼者と見受けましたそこへ話を向けると　奥さんは　私が何度行こう行こうと行っても　そんなもの要らんといって　四国には行かなかった　　もう行けない　と言って　嘆かれました私は　ホンの少ない回数ですが　区切り打ちで　まわっているときに　何回も車いす遍路の方を見かけましたので　そんなことはないですよ　といって　出会った車いす遍路の方々の話をしました私が　今までに一番心に残っているのは　去年　愛犬リーさんが死んで　お参りを中止する　直前回にお参りしたあるお寺でしたお参り道に　老婦人がその方よりは若い男性に　車椅子を押して貰って　お寺の方に　進んでおられるのが見えました私は　車でしたので　すぐに追い越し　狭い駐車場に車を置きました最低限の作法で　本堂で　お参りをし始めたのですが　その時　追い抜いた老婦人がやって来られました途中で車椅子を置き　段を一段一段　それは　苦しそうに上がられました私は　はらはらしながら　それを見守りました登りきられたので　安心して　もう一度読経をやり直しましたが　やはりご婦人のことが気になり　何か　ご婦人に　お経を捧げているような気分になりました一生懸命　読経しましたお互いにお参りが終わり　私は　大師堂に　ご婦人たちは　段を下りて行かれましたそして　何段か　おりられてから　戻ってこられたようです後ろから呼び止められました振り向くと　幾ばくかの　お金を　お接待いただきましたそして　また　苦しそうに　段を下りて行かれました私は　大師堂で読経しましたが　涙が出て止まりませんでした私には　この方は　お大師様か　お大師様の使いだったように　思えますリーさんの死亡以後　お遍路を中断していますがそれも　　時期でないからだ　と考えていますいく時期になれば　お大師さんが呼んでくれる　と思っていますそんな話を　お客様にしましただから　体を治しながら　お大師様が呼んでくれるのを　待ちましょう　と言いました過去　もっと重症でも不思議でない病歴の人ですから　きっと　お大師様は　チャンスをくれると思います　　

  2006.06.16

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• ロード88出会い路、四国へ

  さる有名なお遍路さんのサイトで　映画「ロード88出会い路、四国へ」が　GyaOで無料でみれると教えてもらい　仕事さぼってみました話の筋は　他愛のない青春もの＋お遍路さん紹介＋骨髄バンク呼びかけ　なんですが（詳しくは　是非実写をご覧下さい）　私めのような　お遍路さんに行ったものにとっては　とっても懐かしく　ついつい映像に見とれてしまいました私どものお客様にも　お遍路さんに行きたいけれど　体がこんな状態では　もう行くこともできない　と　嘆かれる方もおられますそんなとき　私めは　厚かましくも　お大師さんのお使いになったようなつもりで　「そんなことはありません　お大師さんは　その時期が来れば　ちゃんと　お呼び下さいますよ」と　無責任にも　お答えいたしますでも　私は　本当にそう信じているのです私自身　去年　四国に入りながら　愛犬リーさんの死の知らせで　お参りすることなく引きあげて　それ以来行く機会に恵まれていません私自身　今はお遍路に行く時期ではないのだ　時期が来れば　また呼んでいただける　と　思っています思い返せば　私は　愛犬リーさんの死後　その数日後に高血圧で倒れましたしかし　大した後遺症もなく　元気に　仕事させてもらっていますあの日　そのまま　お遍路に行っていたら　私は　そこで倒れていたかもしれませんひょっとしたら　リーさんが　身を以て　私を救ってくれたかもしれないのです倒れた夜　犬たちの幻を見たのも　マリリンやパトラッシュやリーさんの　魂だったと　思っていますだから　それから　お遍路には行けてませんが　お参りに行くときには　愛犬たちと行くつもりで　神仏にお祈りしておりますもし　私が　お前の命と引き替えに　リーさんの命を　助けてやろうと言われたら　私は　そうすることができたろうか犬は　私に無償の愛を　与えてくれるのに　私は　自分に都合良く　犬を利用しているだけではないだろうかマリンさんを　膝の上で寝かせながら　そんなことを考えます是非とも　マリンさんには　長寿を全うしてもらいたい　です　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

  2006.05.26

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  お遍路に行けなかった日

  私は　父とは　あまりいい関係ではありませんでしたが　親が死んだときぐらい　四国８８カ所の印の入った　白衣を着せて　見送ってやろう　ぐらいの気持ちは持っておりましたですが　８８カ所を回りきらないうちに　昨年４月に突然死なれて　着せてやれませんでした私は　父の追悼をかねて　愛犬リーさんの病気平癒の祈願に　８８カ所参りを　再会しようと考えました昨年５月２１日　早朝まだ暗い内に　自動車で　四国へ向け出発しました四国の高速道路で　もうすぐ愛媛というところで　電話が入り　「リーさんが死んだ」と　獣医から連絡が入ったと　いわれました私は　自分自身が　このまま空気にとけて　無くなってしまうような　思いでしたただ　車をまっすぐ　走らせていましたこのまま戻らず　まっすぐ行こうどこかのお寺で　リーさんの冥福を一心に　祈ろう　祈り続けよう　と思いましたけれども　喪主がいなくてどうする　という思いも　一方で　湧いて出て次の　インターで　Uターンして　リーさんの遺体の元へ　戻りました急ぎも休みもせず　ただ　リーさんの遺体に会うため　車を走らせました家に着くと　すでに同僚たちは　来てくれて　リーさんに　一杯お供えをしてくれてありました私は　リーさんの体を撫でながら　すでに硬直が始まり　舌が伸びて　口の中に収まらず　死期は昨夜であったろう事を悟りました油断した　私が　馬鹿だった　　昨夜　どんな手段ででも　リーさんと会っていれば良かったリーさんが　誰にも看取られず　寂しく死んでいったことに　責任を感じました今は亡き苑長に　リーさんを預け　施設で苦労をさせ　苑長の死とともに　引き取ってきたのは　もうこれ以上　リーさんを不幸にしないという　私の決意でしたそれが　マリリンとともに　不注意から　事故に遭わせ　命を助けてもらったものの　今度は　病気にし　挙げ句の果ては　寂しく死なせてしまったのです私は　リーさんになんといって謝ったらよいのか　１年後の今も　わかっていませんリーさんの幸せを願う　私の祈りが弱すぎたのか　私の命と引き替えにと　強く願えば　リーさんは　助かったのか　いまも　自問しています家の仏前で北枕に寝かせたリーさんのそばで　私は少し眠りましたそして　リーさんの葬儀は　マリリンやパトラッシュの時と同じように　仕事場に少し安置してから　霊園へ向かいました同僚たちも　付き添ってくれました霊園には　広いドッグランがあって　リーさんの遺体が　白骨になるまでの間　幼い　マリンさんが　一生懸命　走り回っていました　 

  2006.05.21

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• 幸月さんのこと

  春　暖かくなると　日常の何もかもを捨てて四国遍路に旅立ちたい　という願いが強くなりますこれを　お四国病　というんだそうですもっとも　私は　続きを歩くとなると　足摺岬を目指すことになるのでかなりの体力と休暇日数が必要となりますそこで私は　お遍路サイトで　皆さんのやりとりを　のぞいたり過去ログを見ながら　自分が　歩いたり車で廻って　出来たご縁の思い出に浸ったりして自己満足しております最近　妙に消息の気になる老遍路さんがおられて　その名は　幸月さんといいます幸月さんは　遍路途上で　死ぬことを願い　終生遍路することを決めて　まわっておられました私は　室戸岬付近の休憩所で　２，３言葉を交わしただけでしたその方は　今　お元気でおすごしなのだろうかと思います幸月さんは　今刑務所にいます実は　お遍路の出る前　仕事上のもつれから包丁で人を刺しそのまま　逃げていたことが判明しました私は幸月さんに興味を持ち　大阪地裁の初公判から結審まで　毎回仕事を休み　傍聴いたしました実刑の厳しい判決でしたが　状況的にやむを得ないことだと思いました幸月さんと検察との感情的なやりとりを見ていて　兵士として人生を戦争に取られて以来　社会の底辺を歩んできた人の　国家権力への不信感に深刻さには　共感できる部分がありましたこの裁判を　宗教と現俗の　軋轢の象徴ととらえる人もいましたが　私は　この裁判も含めて大いなる者の　幸月さんへの慈悲であるような気がしました幸月さんは　生きて現世で自分の罪を償える　チャンスをもらえたのですからはやく　幸月さんが　出所できて　お遍路に戻れればいいなと　願っています幸月さん　お大師さんの懐で　死ねればいいですよねその為にも　あなたにこそ　獄中で筋トレは必要ですよ今度　遍路道で出会ったときは　こちらは避けませんからねでも　もうあの時のような　あくの強いうさんくささは　もう無いかも知れませんねそれはそれで　少し寂しい気もしますが早く　元気で　遍路出来る日が来ることを祈ってますよ　「花吹雪　幸月の雲　吹き飛ばし」 

  2006.04.13

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• 鶴林寺への登り遍路道　再挑戦

  　２００１年８月１０日　バスで鶴林寺の麓まで行き　そこから　前回　掛け連れのお坊さんにご迷惑を掛けた　遍路道を　再び登り　鶴林寺を目指しました。　　前回は　足が上がらず　背負ったリュックの後ろから　引っ張られているような感じだったのが　段々思い出されて　えも言えぬ　いやな気分におそわれました。　歩けるかな　という恐怖心が湧きました。　ここまできたら　下がれない　行くしかない。気分は重かったです。　ところがどうでしょう　今回は　何か　リュックの後ろから　おして　くれているような気がしたのです。軽々と歩けるのです。　本当にテンポ良く　何かに背中を押してもらっていました。　お大師さんが　押してくれている。　もったいないことですがそう感じました。　前回のお遍路は　色々　迷い迷い　疑い疑い　歩いていましたが　今回は　歓迎されている　そんな気分になれた登り道でした。　やがて山頂の　お寺に近付いたころ　さっきまで晴れていた天候が　怪しくなり出し　ぽつぽつ　雨が降り出しました。　お堂で　お遍路再会のご挨拶をするころには　雨は　雷を伴い　本格的に降り出しました。　前回なら　進退窮まった　と考えたかも知れません。　この時は違いました。　私がもし　歩いていて　雷に打たれ　死んだなら　こんな幸せなことも　又ないのかも知れない。　なぜなら　ここで　お大師さんが　きっと手を広げて　待っていてくれるに違いない。　こんな　遍路冥利に尽きることはない。本気でそう思いました。　わたしは　宇宙で手を広げて待っていてくれるお大師さんの　懐に　思い切りジャンプするように　雷雨の中を　飛び出しました。　ついさっき　落雷して　黒く焦げた幹が裂け　煙が上がっている木の横を通りましたが　不思議と恐怖心はありませんでした。　雨でずぶぬれになりながら　２１番太龍寺へと向かいました。　　

  2006.03.05

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• 靴を調整して再度挑戦

  　２００１年７月　一度目の区切り打ち遍路から帰ってきて　私は　助けていただいたお坊さんお後を追って再度　遍路旅に出たいと思っていました。　歩けなかったのは　靴のせいにして　ネットで遍路のお先達に教えていただいた　スニーカの工夫と　ソルボの中敷きを使い　足下を出来るだけ軽くしました。　　携帯で　件のお坊さんに　連絡を取ると　もう１巡めは仕上げの段階とか。　石鎚のお地蔵さんはどうでしたか　と尋ねると　　いやあ　四国には　すごい仏様が　たくさんおられて　という返事でした。　ああ　この方も　初期の目的達成で　仏様と話が出来たんだな　と感動しました。　もうこうしてはおられない。　　仕事を急ピッチで仕上げ　出来ないものは　放りっぱなしにして　８月１０日から１週間から１０日間ぐらいの予定で　再度　四国へと旅立ちました。　自分も「お四国病」にかかったと思い苦笑しながら　フェリーに乗り込んだものです。　さて　徳島港へ着いてから　バスで　鶴林寺に向かいました。　ところが お寺の麓に近づくバスの中で　恐怖が湧き　足がすくんで止まってしまうんではないか　今度は助けてくれる人はいないぞと　プレッシャーがかかり　だんだん　気が重くなってきました。　

  2006.02.21

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• 慈眼寺から鶴林寺へ

  　慈眼寺のお不動さんのお堂での　野宿の朝は　雨も止み　山中独特の　すがすがしい空気の中で　おつとめをさせていただけました。　朝食は　山の水だけです。　ご住職は　下の麓暮らしなので　誰もいないお寺に　感謝を残して　鶴林寺へと　２人で出発しました。　途中　穴禅定の　導師のおばあさんにお出会いしたので　感謝を伝え　私が　見つけ損ねた遍路道を　下ることにしました。　「ちょっと　危険です。橋の真ん中に穴が開いてますから気をつけて」と、前日一度通って　経験有りのお坊さん。　あの距離歩くくらいなら　少し危険でもＯＫ　は私の心の中。　寺に入る　尾根伝いの　部分が　ちょっと　やばかった程度でした。　お坊さんは　朝露で　足を滑らせ　もう少しで谷底へ。　とっさに私が掴まえてました。　一人だと　大けがしてたね、と二人で言い合いながら進みました。　難所という　橋も　注意して渡れば何ともなし、ただし、疲労の極みで渡となると　これは　要注意以上かな？　ともかくも　穴あき橋　２人で渡れば怖く無い　でした。　案外　すんなり下まで下れてびっくりしました。　前日　なんと自分は　遠回りしてしまったんだろう。やれやれ。　ここで　お坊さんが　托鉢をしようと言い出しました。　またとない修行の機会だったのですが　お断りしました。　私は　人前で　お経を唱えて　お布施を頂戴するに値するものを持っていません。　恥ずかしさもありましたが　詐欺をはたらくようなものだと思ったのです。　お坊さんも無理には勧めず　一緒に下で　朝食なり　昼食用の弁当を下の町で仕入れようと言うことになって　鶴林寺の麓の町まで　たどり着きました。　本当に距離も短く　着くのが早かった。　お坊さんに　速く歩く方法を教わりました。　あんまり歩幅を大きく取らないこと。　これがコツだそうです。　ところが　朝早すぎて　店が　どこも開いてませんでした。　やむを得ず　飲料水だけ　確保して　鶴林寺へ上がろう　ということになりました。　山道の　登りは　歩くテンポがいつもと違うせいか　昨日の昼以降　何も食べて無いせいか　段々きつくなって　足が　上がらなくなりました。　　リュックも重く　何者かに　後ろから引っ張られているようにさえ感じました。　お坊さんに　少し先に行ってくれとお願いしましたが　彼は　私の側を離れず　リュックの後ろから　私を押し上げてくれました。　延々　１時間ほどそうしていただいたと思います。　　鶴林寺にたどり着けたのは　このお坊さんのお力によるものでした。　お大師さんは　このお坊さんを　私に差し向けられた。　私一人では　鶴林寺にお参りすることは　許されてなかったのだと　理解しています。　鶴林寺の山頂　お参りを済ませて　太龍寺に向かうお坊さんに　御礼を申し上げ　ひとり来た道を下り　帰途へつきました。　帰りは　徳島駅まで　バスに乗りました。　途中　２人ほど　歩く遍路さんを見かけました。　私のように　へとへとにならず　颯爽と歩いているように思えました。　思えば　罪深き人生を永く送ってきたものが　そんなにすんなりと許されるはずはない。　想像以上に　手厳しく　不思議なことに出会えた第１回目の区切り打ちでした。　その夜　遅く　仕事場にたどり着きました。　そのころ　仕事場には　愛犬リーさんが　独りで寝起きしていました。　電話でも　帰りを待っている様子だと聞いていたので　一刻も早く出会いたかったのです。　ところが　私を見たとたん　しっぽを丸めて　部屋の隅に　小さくなって　怖がって　寄りつきません。　何かを　私は連れて帰ってきたのでしょうね。　翌る日からは　普通の愛ある日常だったんですが。　　

  2006.02.12

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• 慈眼寺で野宿したお坊さん

  　野宿のお堂の中で　若い天台宗のお坊さんは　私にいろんな事を教えてくれました。　そして　私に　いろんな質問をしました。　瞑想などをしていて　仏様を見たことがあるか？　偶然にせよ　２回あったので　その状況を話すると　うらやましそうな様子でした。「天台宗のお坊さんて　そういう修行するんじゃないの？」「するけど　結果が出るとは限らない。」　そういえば　お四国に来る前日　浄土真宗のお坊さんに出会って　門徒としてのマナーを教えてもらったけれど　その時　そのお坊さんの友人の話を教えてもらいました。　瞑想して　極楽を見たら合格なのだが　地獄を見た　と正直に答えたそうな。もちろん　修行は一からやり直し。　あまり　霊的なものを深追いするなと言う彼の　婉曲なアドバイスだったのだけど。　仏様の存在を信じる世界も　ことプロフェッショナルとなると道は厳しいようです。　「あなたの周りに　そういうものが見える人はいないの？」と　聞くと　「いるんです。」　これまたうらやましそうに答えてくれました。　「だから　こうして　仏様に出会う修行をしているんです。」　仏様は　このお坊さんを　成長させるために　試練を与えておられる。　私は　この方の修行の無事達成を　お祈りしました。　思えば　私の人生だって　いろんな試練の分岐路が　あったのでしょうが　それが不合格の方にばかり歩んで　ずいぶん余分な歩み方を　してきました。　現に　今歩いている　遍路道も　すんなりと歩ける人よりは　大分　苦労しています。それだけ　罪の深い人生を歩んできたのです。　私は　反省しました。　ちょっと　罪滅ぼしをせんといかんな。　でも　過去形で反省するのは　少し　早すぎたようです。　区切り打ちの最終日　翌日も　まだ試練が待ちかまえており　私は　このお坊さんに　大変助けていただくことになりました。　

  2006.02.10

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• 慈眼寺での野宿

  　いつものようにくたくたになって　たどり着いた　慈眼寺さんでは　野宿用に　お不動様の　お堂を貸してくれました。　建冶寺へ行く道中　食堂の女将さんに　教えてもらった　お不動さんに　宿を貸していただくことになったわけです。　雨も降ってきました。　　同宿する若いお坊さんは　茨城県の　まじめそうな天台宗のお坊さんでした。　お坊さんは　穴禅定に行ってこられたとかで　白衣が　汚れておりました。　私は　予算と体力が限界に近づいていましたので　翌日　鶴林寺にお参りをした後　帰ろうと思ってましたので　その話をしたら　せっかく道連れになったのに　と残念がってくれました。　彼こそ　本格的な修行の旅で　その話を聞かせてもらえたのは　本当に　嬉しいことでした。　　お遍路に来てからは　１回だけ以前出会った宿で　お金を出して布団に眠っただけで　後は　善根宿とか野宿ばかりだったようです。　あの日は　かなり疲れていて　その上　にわか雨にすっかり　何もかも濡れたてしまったため　やむなく投宿したらしいのです。　その上　前夜は　私が泊まった宿の傍の　山門の脇にある屋根付きバス停で野宿したというのです。　食事は？　と聞くと　前日昼以来　ほとんど口にしていない　というので　びっくりしました。　私は　残っていた食料をリュックからすべて出しました。　巻き寿司１本半と　カロリーメイト１箱ほど　氷砂糖少々　程度しかありませんでしたが　何か　仏様にお供えするような気持ちになり　食べるように進めました。　彼は遠慮して　口にしようとしませんでしたので　一切れ先に食べて見せ　早い夕飯を滝のところで取ったから　もう入らない　といって食べてもらいました。　ぺろっと彼は食べました。　若い彼には到底足りる量ではなかったと思います。　仏様にお守りいただいて眠るのだから　これほど心強いものはない　と励まされ　初めて　塗香を塗ってもらい　お堂での野宿の眠りにつきました。　その夜　見た夢も　はっきり覚えています。　男の人の亡霊らしきものが　お堂に入ってこようとするのですが　お不動さんが　入ってきてはならん　と守ってくれておられました。

  2006.02.05

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• 慈眼寺の滝

  　仕出し弁当屋さんのようなところが開いていて　巻きずし　なら直ぐ出せるというので　念のため３本買ったと思います　非常食のカロリーメイトは　２箱手つかずのまま　爽健美茶を買い足して　慈眼寺を目指しました。　今　あらためて　資料を見ると　車で行くなら　登り１２キロの道程です。　うっかりと　ショートカットする遍路道の案内を見損ね　人に尋ねる事もせず　延々歩いてしまいました。　予定していた宿を断られ　動揺していたのだろうと思います。　想定外の事態が起こると　よりよい方法を　選ばねばなりませんが　私の胆力が足りない証拠でした。　登り勾配はかなりきつく　歩道のないトンネルも歩きました。　工事用の大型ダンプが　横をすり抜けますが　風で煽られます。　遍路笠をしっかり抑え　そろそろと歩みます。　かなり大きな峠にさしかかり　広いところで　遅めの昼食にしました。　歩いていくと道は工事中でまだまだ　お寺に近づいたとは思えません。　３時頃　左に折れると　リゾート地のようなところに行ける道との分岐にさしかかりましたが　そこに行くのも案内板に　１０キロとあった様に思います。　自動車の１０キロはほんの隣へ行く感覚ですが　歩いて１０キロは辛い　と考えたのを覚えています。　仕方なく　後は野となれ山となれ　今までどうにかなるようになってきたんだから　途中　民宿でもあれば　泊まらせてもらおう　と考えていました。　　結論を言うと　途中には　見事に何もありませんでした。　それでも　やっと人家が途絶え　山道にはいると　登り勾配は　きつくなりましたが　お寺に近づいたという気はしてきました。　歩いて　休み　歩いて　休み　するうち　飲料も切れました。　口は　はあはあ　のどは　からから　とにかく寺に着いてからのこと　と思ってあると思って歩き続けると　見事な滝に出ました。　滝壺の方には　別の方角へ登りだったので　あきらめ　道傍から滝を眺めるところに近づくと　飲み水を引いてくれてありました。　この時のお水も又おいしかったこと。　本当に有り難く　感謝感謝で胸が一杯になりました。　たらふく力水を頂戴してから　お寺を目指しました。　後ろから軽トラがやってきて　乗るように進めてくれましたが　丁重にお断りし　それから　まだ　急な山道を　３０分ほど上り詰め　慈眼寺さんにやっと到着しました。　もう夕暮れが迫っていました。　お参りを終えた後　お住職に　泊まるところを紹介してほしい　とお願いすると　うちのお堂で良ければ　泊まりなさい。　お坊さんの連れもいるから　と若いお坊さんを　紹介してくれました。　お互いに顔を見合わせ　あっと言いました。　４日目　不思議な夢を見せてもらった日に　同宿していたお坊さんだったのです。　

  2006.02.03

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• 番外・慈眼寺をめざす

  　６日目の朝　団体遍路さんとの混雑を避けて　早めに宿を出ました。恩山寺の　山門の前で一礼し　１９番立江寺へ向かいました。　道中　お京塚へ立ち寄り　改心して生涯を終えたお京さんの一生に思いをはせ般若心経を上げましたが　正直　あまり良いとは思えない雰囲気の場所でした。　あまり　長居はしたくない　と言う気分でした。　立江寺には　１時間かかるかどうかと言うところで　直ぐ着きました。　団体さんが到着していて　その中に　若いお母さんに連れられた　小学生低学年程度の　男の子がいて　一心に般若心経を上げていました。　もし　自分も　あんな時分から　お参りをするような人間だったら　少しは違った人生を歩んだだろうか　なんて　少し考えました。　予定では　これから　鶴林寺に向かい　麓で宿を取り　慈眼寺さんに足を伸ばし　お参りをして　宿でゆっくりする　というつもりでした。３時間ほど歩くと鶴林寺の麓なので　川沿いの道はさほど苦になりませんでしたが　泊まりたいと思っていた肝心の宿が　「今日は休みです」　と玄関でバッサリ。　「他に泊まるところは？」「この近くには無い。」　困った。　とにかく　予定通り　慈眼寺を目指そう。いやな予感。仕方がない。とりあえず食料の準備をして　先を目指そう。ここから又　誤算続きの　苦しい道中が始まったのですが　その代わり　プライスレスな体験をすることができました。

  2006.01.31

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• 巡礼５日目の午後

  　お遍路も５日目で　ずいぶん擬似飢餓体験をさせてもらったこのころになると　もう気の向くままなんて　ご立派な考えは　自分にはまだまだ通用しない　と言うことが　身にしみてわかりましたので　用心深くなりました。　水分補給は５００ｍｌのペットボトル２本。もうポカリは選びませんでした。　どういう訳か　爽健美茶は　比較的ｇｅｔしやすかったし　塩分も適当に入っているように感じて　ほとんど　甘いものがほしくなったとき以外は　それを２本持って歩くようにしました。　そして保存食を１食　さらに非常食には　カロリーメイト１～２箱　持って歩くことにしました。　昼食に立ち寄った食堂の女将さんにお接待を受けたりしながら　有り難く歩かせてもらいました。　峠越えのコースを選びましたが　途中　遍路道保存協会の方々が　復元された山中の遍路道を歩かせていただきました。　１カ所　お約束のように　足を滑らせまたしりもちをつきましたが　整備された方々のご苦労に　感謝感謝の道中でした。　以後　かんかん照りの国道を　延々歩いて疲れはありましたが　昨日までの苦しさとは違う　心地よい疲れでした。夕方　遅速ながらも　宿に着き荷物を置かせてもらい　１８番恩山寺にお参りさせていただきました。　その夜は　この時期珍しく　団体遍路さんと一緒でした。前夜とは違い　何事もなく　穏やかに休ませていただきました。　

  2006.01.30

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• 巡礼５日目の朝

  　はっきり見せられた夢の余韻を残したまま　朝食のため食堂へ。　若いお坊さんは　旅支度で　食べたら　即　出発の風。　車遍路のご夫婦は　宿の人に　その日のコースの　道の確認をしていました。　こちらは　正式なお坊さんの　正式なお参りの仕方を　学ぶため　そっと　このお坊さんの後を追おうと決めていました。　ぱっぱっと　ご飯をかき込んで　勘定を済ませ　車遍路さんにご挨拶して　部屋の荷物をかついで　大急ぎで　出発しました。　ここからは主として　徳島市内巡りで　１４番常楽寺　１５番国分寺　１６番観音寺　１７番井戸寺　と割りと近いところにあります。　ちらほらと　前を行くお坊さんの姿は　目に入り　一生懸命　追いかけましたが歩く速度が全然違い　追うのをあきらめました。　１４番さんは　大きな岩盤の上にあり　横にお寺さんが経営していそうな福祉施設がありました。　死んだ人ともう一度話がしたいと祈らず　先祖や知人と同様にこの方の冥福をお祈りする事にしました。　ちょっと気分が軽くなって　同時に足も軽くなり出しました。　１５番国分寺は　いかにも古そうなお寺。昔の大きな建物の敷地がそのまま残っています。　１６番観音寺は住宅街の中。ここで　初老の女性に着き添われた若い男性の車椅子遍路さんを見かけました。　１７番井戸寺は少しだけ離れていましたが　今までの歩きに比べると　そんなに苦にはなりません。　恐る恐る井戸をのぞき込みました。影が映ってほっとしました。　自分は　今死にたくないのだ　と再確認しました。　歩き始めの計画では　７日間で　徳島１県を打ち終わり　とりあえず　戻って仕事を片付けるつもりでした。　でも　この調子では　どう考えても　徳島県最後の２３番薬王寺まではたどり着けません。　期間を延ばして　２３番さんまで行くか　７日間で行けるところまで行って　一旦　帰るか　ぼちぼち決める　必要がありました。　　事務所には　７日間で戻るからと言ってありましたが　信用されてませんでした。　　さてこれからどうしようか。いつまで歩こうか。　　井戸寺から　小松島の１８番恩山寺までどのルートで歩いても半日かかります。　その間に　ゆっくり決めることにして　恩山寺の傍の宿に電話を入れ　寝る場所だけは確保しました。　　　　　　

  2006.01.29

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• 死んだ人と話をした（３）

  宿での出来事の続き。４．死んだ人と話をした。　夜中寝苦しかったし　火傷したところもひりひりするし　隣の苦しそうな咳と重なって　もうこれは　徹夜かな　と思い思い　いつの間にか　うとうと　したようです。　夢を見ました。廊下の方から庭を見てました。細い竹を広い格子状に編んだ生け垣で　朝顔らしい花が　生け垣一杯にからみついて　咲いていました。　その生け垣全体が　花火の様に　ザーと下へ光(火花？）を散らし出しました。　すると　和服姿の　死んだ人が出てきました。　その人は、「あなたも　こちらへ一緒にいらっしゃい。」と言いました。　私は　すごい恐怖を感じました。あんなに話をしたかった人なのに　もう怖くて怖くて　「あなたはもう死んでいる。怖いから逃げます」といって　廊下へ出て　玄関の方に走って逃げると　もう一人　苦しそうに　うつむいて座っていました。　「俺を死なそうとするのは　お前達の仕業か」と言いながら　駐車場に　逃げたところで目が覚めました。　せっかく　何かがくれたチャンスなのに逃げ出してしまったんです。　もう明け方でした。自分は、死ぬのが怖いんだな。死んだ人と話をするなんて　もっと修行を積んで　胆力が座らんとダメだとつくづく思い知らされました。　溺れる自分が　藁にすがるような気持ちで　お遍路を　始めたのですが　　この宿での出来事が　真剣に　遍路で人間としての修行をしたい　と考え始めるきっかけとなりました。　その後も　時たま　この死んだ人の夢を見ますが　穏やかで　こんなに凄まじくこんなに　怖いことはありません。

  2006.01.28

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• 死んだ人と話をした（２）

  　宿であった出来事の続きです２．若いお坊さんと同宿した。　問題の風呂に入浴しに行くとき　若いお坊さんが到着しました。本格的な　遍路旅のいでたちで　荷物は至って軽装　手っ甲脚絆に　草鞋か地下足袋。　自分のような　にわか遍路と違い　さぞ修行を積まれた人だろうな　と思い何とか　お近づきになりたかったのですが　すごく疲れた様子で　話しかけも出来ませんでした。　　この翌る日から　私は　この方を　歩く目標に据え　追いつこうとしたのですがともかく早くて　とうとう見失いましたが　やがて　食堂の女将さんに勧められた　慈眼寺さんで　野宿を　共にすることになります。そして　忘れられないほど　山道の遍路道で助けてもらうことになりました。　　食堂で話しかけられなかったのは　もう一組の車遍路さんの雰囲気に お互い話しするのをためらったからです。３．車遍路さんと同宿した。　風呂に入ろうとしていたとき　電話で宿泊申し込みがありました。　宿の方は　車の道順を　丁寧に　教えてあげていました。　３組そろったところで　食事なんですが　車遍路さんは　初老の男性が　奥方であろうご婦人に支えられ　狭い食堂に入ってこられました。　男性は　顔色も悪く　食事も進まないようです。　女性が　進めますが　反対に　女性の方に　しっかり食べるように話してたと思います。　話しかけは出来ませんでした。　お坊様と私は　それぞれ黙々と食べ　さっさと自分の部屋に　ひきあげました。　この車遍路さんとは　ふすま一枚隔てた部屋でしたが　夜中　男性が激しく咳き込み　女性が　介抱していました。　７月のど真ん中の日の真夜中に　激しく咳き込む病気って　と考えると　あまり良いことは思い浮かびません。　少なくとも　私よりは　この方々は　必死に　縋る思いで　まわってらっしゃる。歩き遍路こそ修行　という方もおられますが　車遍路でも　命をかけて　修行されておられる方もいる。　遍路を歩くも車で行くも手段は違っても　修行するのは　その人の資質と言うか力量というか　本人次第なんだ　ということを実感として学ばせていただきました。　雨が　降り足らなかったのか　大変寝苦しい夜でした。　

  2006.01.27

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• 死んだ人と話をした（１）

  　今思い起こせば　この宿での出来事は　４つに分けられます。１．立ち小便の罰が当たった。２．若いお坊さんと同宿した。３．車遍路さんと同宿した。４．死んだ人と話をした。これらの出来事が相互に絡まって　心の糧となり　私にとって　お遍路は自分の生活の一部になったような気がします。１．立ち小便の罰が当たった。　宿へは　いつものように　一番乗りで　これまたいつものように　洗濯をして乾燥させている間に　一番風呂へ。　大きい風呂で気持ちよさそう。まず掛け湯をすると　アッアッツう　　その大事なところが　火傷したんです。ろくに入浴できず　身体を洗って　すぐ退散。　以降　３，４日　歩くたびにひりひりするし、小便が通過するたび　痛みが走るし　風呂に入ればしみるし　オロナインぐらいしか持ってないし。　今日はこれぐらいにしといたる(吉本新喜劇調で）と建冶寺の　お不動さんが　目をむいているような気がしました。もうしませんと　心の中でお詫びしましたが本当にどっきりしました。　　　

  2006.01.26

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（8）

  　建冶寺への　遍路道は　山裾を縫う　細い道でしたが　草を刈り込んでくれて歩きやすくなっていました。　遍路が歩くためと言うよりは　細い農道を管理するため　なんでしょうけど。　あんまり遍路が歩いた様子はありませんでした。　やがて、少し大きな車道に出ました。ここを横断して　また細い遍路道に入るよう教えてもらっていたのですが　さて、横断した後の道が見あたりません。　今から考えると　そんな時って　引き返すか　本来の遍路ルートにとりあえず降りるか　すれば　ほんの回り道で良かったのですが　お寺は　上にあるはずだからと思い　車道を　上の方に　歩いて　横断して抜ける道を探しました。　延々と　続く車道でした。やっぱり　一旦　広い道に降りようかとも思ったのですが　もう少し、もう少しと思って歩き続けました。　だいぶ歩いたのですが　それらしき道は　見あたりません。　それに、今歩いている道が　どこへ通じているのかさっぱり解らなかったのです。　どこへ行くのか解らぬ道を　歩き続ける不安は　自分の人生を象徴しているようにも思えました。　途中　公園への案内表示がありましたので　少なくとも　公園へ着けば　事態は少し好転すると思いました。　そこから　いくらか歩いたところに　公園近道　公園まで30分　と案内のある地道があったので　とにかく入っていきました。　ここでやっと横断したことになります。　この道は　また　急な山道で　普通のハイカーはまず通らない　全くの登山道でした。　この登山道の中頃で　水はなくなりました。　また水に飢えながらの山道です。　動物の死臭もしました。　もしここで倒れたら　発見されるのはいつのことだろうか　なんて考えながら　小1時間歩いて　やっと広い公園の真ん中に出ました。　右側　遙か向こうに　管理棟が見えます。　左　その半分ほどの距離で　小さい休憩所が見えます。水があるかどうかは解りませんが　とにかく　距離の短い方を選びました。　ありました。水もトイレも果物も。　トイレで顔を洗い　頭を冷やし　休憩所脇の水栓で水をがぶ飲みし　休憩所のベンチで　ごろ寝しました。ほっとして　眠ってしまいそうでしたけれど　昼寝をすると　夜まで寝込んでしまいそうだったので　仮眠するのはやめました。周囲は　山桃も木が　一面に植えられており　実がいっぱい付いてました。　それを　誰も収穫しないようで　実は落ち放題でした。　これなら　頂戴しても良いだろうと思い　落ちた方でなく　木になってる方を　取っては食べしました。　この時ほど　自分の方向音痴を悔やんだことはありませんが　持っている地図にも載ってない場所なので　どこをどういったらいいのか　さっぱり解らなかったのです。　そこでお遍路の禁じ手　携帯を取りだして　かけることにしました。通じました。向こう様はこちらの位置が正確にわかってるようで　そこから少し　奥に進み　案内板を見つけて池の横を通れ　と教えてくれました。　ここはどこか尋ねると　もう傍まできているとのこと。勇んで休憩所を飛び出しました。　言われたとおりに歩いていくと　なんと　そこはもう建治寺の裏山。誰も歩いていないであろう細い山道を　おそるおそる　下りました。　足を滑らせると　お寺の屋根に　落ちそうでした。何でこんな道を来た？と不思議がっておられました。　あまり　道を間違える人はいないようです。　さすがに　他の　お寺と違い　ひっそりとした　神秘的なお寺で　お祀りしてある　ご本尊さんに手を合わせ　般若心経を唱えていると　心が落ち着くような気がしました。　すんなりとたどり着かせてはくれなかったけれど　来させてもらって良かったと思いました。宿坊があるようですがどうせ予約制でしょうし　出来れば一晩行をさせてもらいたいとも思っていましたが　先に進むことにしました。　それまで　かんかん照りだったのに　雨雲も出てきました。　ぽつぽつと小雨が降り出した中　降りる道を聞き進むと　鎖の行場があり　下りですので　難なくそこを降り　辰濃さんが　行をされたところであろう滝に行き着きました。　ひっそりと　薄暗い　滝の脇にお不動さんが祀ってありました。雨の中　軽く会釈をして通り過ぎようとすると　何か　変な気がして足が止まりました。　手抜きせず　ちゃんとお参りする様　指示された様な気になりました。そこで　普段の作法通りで　お参りを済ませ　ひどくなってくる雨の中　滝の流れる川沿いに　降りていきました。　身体が冷えてきて　もうお不動さんの守備範囲の場所を出たであろうと　勝手に判断し　やむを得ず立ち小便いたしました。　因果応報　後で　ひどい罰が下されました。 雨の中　川沿いの平地を　歩き　１３番大日寺へ着いたときには　雨も止み　お参りを済ませて　すぐ隣の　宿に飛び込みました。　その夜　こちらでの宿で体験した出来事は　今でも　繰り返し　思いだし　自分にとって　何を意味するのか　繰り返し　考えさせられる出来事でした。　　　　　

  2006.01.25

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（７）

  　３日目の夜も　すんなり歩けなかったちょっとした敗北感で　布団に入ってもすぐに寝付ませんでした。　苦しかったことは　思い出したくなかったけれど　みんなが霊気を感じるというところでは　何にも感じず　ただの石仏さんに　何か不思議なものを感じたことが印象深く　これをどう解釈すればいいのか　なんて　結論の出る筈のない事を考えつつ　眠りにつこうとしたのですが　なかなか眠ることは出来ませんでした。　明日は、１３番大日寺に行く途中　建冶寺に寄ってお参りさせてもらおうと考えてました。役行者さんがひらいたお寺と言うことで親しみを感じたのと　辰濃さんがお滝の行をなさったと書いてあったので　是非　お参りさせていただこうと思っていました。　夜中　何回か　目覚めては眠りを繰り返し　朝を迎えました。　明け方に　寝入ったようで　目覚めて　食堂へ行くと　もう昨日の　まじめ遍路さんは　旅だったあと。　びっくりして身支度を調え　後を追いましたがとうとう追いつけませんでした。　ま　自分のペースで歩こうか　と思い　１時間に１０分休んで水分を十分に取る　食事も　きちっと計画的に摂る　と決めました。　本能のままになんて　遍路か人生に　十分馴れた人のやることだと　おもいしらされましたから。　昨日までと違い　山中の遍路道の傍らに佇んでいる石塔や石仏さんがいとおしい親しみのあるものに思えてきました。小さなお遍路さんの案内板もあるけれど　この石仏さんに　案内してもらえば　次にたどり着ける。　遍路の志半ばにして　野に朽ち果てた方々の　成仏をお祈りしながら　先に進ませていただこうと　思うようになっていました。ずいぶん幅の広くなった　鮎喰川を北側から南側に渡って　橋のたもとの食堂に入りました。案内本には　ここからしばらく食べるところがないと書いてあったので　時間は早かったのですが　建冶寺への道を聞きがてら立ち寄りました。そのお店の女将さんは　信心深い方らしく　番外さんへ行く気があるなら　慈眼寺さんにもお参りしたら　とすすめてくれました。　穴禅定で有名なお寺らしいのですが　初耳でした。　腰が痛くて　どうしても歩けなくて　最後の神頼み(仏様頼み？）で　親戚の人に連れってもらって　すがりに行ったのだと言いました。　お不動さんが祀ってあって　その前で　一生懸命　お経を上げて　お祈りしてふと気がつくと　嘘のように痛みが取れていたのだといいました。　少なくとも　この女性は　私よりずいぶん若い。作り話をしているとは思えないリアリティがありました。　四国の人々には　素朴な　信仰の歴史がＤＮＡに残っていて　そういった信仰を実体験をとおして　現在も内容を豊かにしつつ次世代に受け継がせるんだろうなと思いました。それで　その慈眼寺さんがどこにあるかも知らず　一度行ってみようと決めて　とりあえず　教えてもらった道を　１３番大日寺に行くコースを外れ　建冶寺さんへと向かいました。　ここでまた　悪夢のような道中が待ってました。　　　

  2006.01.23

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（６）

  　地図で今見ると　焼山寺すぐ下に　休憩した場所があります。　けれど　その時は　あとどれくらい歩けば着くか　見当がつきませんでした。　足が上がらなくなりって来ました。　足を引きずり　引きずり　この急な登り道を 永遠に歩かされるような気がして 口の中も干からびて　道ばたの小さな溝にたっぷり流れる水を　寝ころんで飲んでしまおうか　とか気の弱いことを考えながら　登っていきました。　と　前方に石垣の間から　出ているところがあるのを見つけました。飲めます　と言う札のかかった　お大師様の水でした。　お大師様は見捨てなかった　と　オーバーな喜び方で　有り難くがぶがぶ。車でお参りに来ているらしい　グループが　何か　変わったものを見るような目で　こちらを眺めてましたが　かまわずがぶがぶ。どれくらい飲んだら気がすむんや　と思われたでしょうね。地獄で仏、地獄巡りにお灯明。遍路転がしに水。　ひとごこちついてから　ふと　私がもう一度話がしたい　その人の魂は　死んでからもしばらくは　身体が熱く水を求める思いが抜けなかったと　想観した先生に聞いたことがあったのを　思い出しました。　私の遍路道での脱水症状は　この飢餓の追体験なんだなあと感じました。　　焼山寺で　残りの弁当で遅い昼食をとり　先へは進まず　すぐ下で宿をとることにしました。すぐ下とはいえ　５キロぐらいありますが　もう下りオンリーですから　濡れた敷石に滑ってしりもちをついても　平気で下っていきました。　途中　衛門三郎を祀ったお堂にお参りをしました。強欲を後に悔い改めた方ですが、今までの強欲さでは　私も引けを取りませんでしたから　ぜひ　お参りしたいポイントの一つでした。　お堂の左手に　何体かの石仏さんを祀ってあったので　事のついでに　お参りに行きました。　手を合わせ念じていますと　何か　自分が　自分に手を合わせているような　不思議な気持ちにとらわれました。　もしかすると自分は　その昔　お遍路さんをまわっていて　この地で朽ち果てたのかも知らんな　と　しばし　感慨にふけっておりました。　　宿は　鍋岩というところで　新しい民宿でした。　一番風呂に入れてもらい　洗濯をして　呼ばれて食堂に行くと　もう一人　お遍路さんがおられました。私が宿に着いてから　１時間もたたないうちに　ご到着のようです。「いつ登り始めました？」と尋ねると　「藤井寺を出たのは　昼」　と簡単に　答えてくれました。　いかに雨が止んでからの　歩きとはいえ　早すぎる。そういうと　「いや　あんたが遅すぎる。」ごもっともです。恐れ入って　ビール瓶とグラスを差し出すと「お遍路中は　飲みません」ああ　心の　構え方が違う　　　このまじめ遍路さんに幸あれ！　　　　　

  2006.01.22

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（５）

  　３日目の朝は、早くから目が覚めました。他の人が元気な人なら１日で巡るところを２日も掛けてしまったのですから　何もかも　段取りがくるっていました。　だから　遅れを取り返そうと　すぐチェックアウトしました。周囲のお店はまだ眠っていましたが　お弁当屋さんだけ　開いていました。　今日は　遍路転がしの難所と　ガイドブックに書いてあった　１１番藤井寺から１２番焼山寺への尾根づたいの道を歩くため　念を入れて　朝と昼の２食分をＧＥＴしました。　　背中の荷物が軽くなったせいか　足は快調で　割りと早く　１１番さんに着きました。あいにく　藤の花は見れませんでしたが　何か藤の花の香りが漂って来るような雰囲気を持った境内でした。ベンチに座って　朝ご飯を食べ　お参りを済ませ　納経所が開くのを待ちました。朱印を押してもらったあと　脇の細い道から　いざ１２番さんへ。　すぐに　展望台のようなところにたどり着けました。　オッ　今日は楽勝じゃん。　でもそのころから　天候の方が怪しくなってきました。　濡れないための準備は一応してありましたが　ともかく　ピッチを上げて　距離を稼ごうと思いました。　登り道も段々急になってきました。　道の行く先々に　遍路を励ます小さな目印があって　道は　迷いようがないけど　息が上がってきました。　途中　泊まれる通夜堂のような祠があり　さっきまで誰かが居たような気配がありました。　ここで　雨宿りさせてもらおうかとも　思ったのですが　いつ止むかもわからず　よく見ると　おおきな蟻がうじゃうじゃ　これはかなわん　と思い　先へと進みました。薄い　ポンチョのような　簡単なレインコートだったんですが　身体が蒸れて　雨より汗でずくずく。　それでも　山道の温度は低く　仕方ないから　水分補給しながらだらだら歩く。　持ってきた小さなペットボトルはもう空。一日目の脱水の悪夢がよみがえる。前後に　歩く人はいません。　「山道をたった一人、目標に向かうと言うこと。山頭火気取りで歩く。けれど山頭火のように何もかも捨てて歩けるのだろうか。似て非なり。似而非遍路。　同じなのは　今が孤独と言うだけ。」なんてことを延々考えながら　自動的に足が進むことを願い、時間が過ぎ去ることを願いつつ　あえぎあえぎ進んだ。　この山道を行く似而非遍路を助けてくれるものは何もない。とにかく自力で進め。そういわれているような気がした。　道が下りになった。祠があり　湧き水がありました。有り難く空のペットボトルに水を補給させていただきました。柳水庵にたどり着いたのです。ポカリか何かを買いますと　お接待と仰有って　ビニール袋に入った梅干しを頂戴しました。　こんなにもたくさんと思ったのですが　せっかくなので頂戴して出発しました。　やっと雨は小降り　道も下りと思っていたのに　また登り。まるで８チャンネルのジェットコースタードラマのよう。うんざりする自分を自己分析しながら歩きました。　おおきな木と　大きな御大師様の像のある場所にたどり着きました。　ここでは何の感動もなく　みんなが感じたという不思議な感覚にはとらわれませんでした。雨はやっと止み　とにかく　早くたどり着いて　この苦痛から解放されることに必死でした。　　時折、雲の切れ間のむこうに　谷を隔てて　お寺らしい瓦が見えました。ゴ～ンとお参りの人が突くらしい鐘の音も聞こえます。　でも　まだ遙か向こうでした。　谷底へと歩いていきました。途中　一人の逆打ち遍路さんと出会いました。大きなリュックでした。和歌山から何度も来ているということでした。偉いなーと感心しました。　谷底に集落がありました。犬が鳴いていました。また水が切れたので補給したかったのですが　道側の家には声を掛けても誰もいません。　やむなく　水を小さなボトルに三分の一ぐらいしか持たないまま　谷底から　上まで一気にあがる急な山道を歩きました。　雨が止んだので何度も立ち止まり休みました。地面は雨で濡れていたので座るところがありませんでした。　ボトルにあるだけの水をいつのむか、辛抱しながら少しずつ歩きました。　途中　大きな畳３畳分ぐらいの岩がありました。　「休んでいけ」といわれたような気がしました。有り難く　その上に座り　休憩させてもらいました。座ったとたん　その大きな岩が　ぐらぐらっと　揺れたような気がしました。　思わず　飛び降りました。　そして　まず　残っていた水の内　いくらかを地にまき　いくらかを岩にかけ　岩にもたれさせてもらって　休憩しながら　残りの水を　飲み干しました。　　「自分を祭れ」　と　岩が言ってるような気がしました。　「とても大きな岩で持ち帰りも出来ないし　１回の遍路の身ではどうにもなりません　申し訳ありません。」一人芝居の様なことをしながら　休憩させてもらったことに感謝しながら、参上のお寺を目指しました。　　大きな岩がぐらっと来た話は　今では　違う　解釈をしています。　たぶん　疲れで　血圧が上がってたんじゃないか　って　　　

  2006.01.20

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（４）

  　２日目の朝も　快晴でした。うわべは意気揚々と宿を出発しました。でも女将さんは　まるっとすっきり　お見通しで　「無理せんと帰る勇気も大切ですよ」と　泣けるような心配をしてくれ　「脱水を防ぐには　水分補給だけではダメで　塩分を一緒に取りなさいよ」と　塩を　お接待してくれました。　　御礼を申し上げ　先行きの目算が狂ったまま　行けるところまで行ってみようと覚悟を決め　歩き出しました。すぐに６番安楽寺に着きました。簡単に着けてラッキー　お参りを済ませ　涼しい間に数を稼げとばかりすぐに次に向かいました。７番十楽寺もすぐ近く　やれやれ　今日は　身体も持ちそうと思ったら靴の中の足が痛い。あわてて座って足を見たら　蒸れにくいかなと思って履いた５本指の靴下が　しわになって　早い話が　床ずれ状態。おまけに　足を伸ばし損ねてふくらはぎがつった。ふくらはぎの痛みの治まったあと　兼ねて容易のテープを貼り　足のサイズに合っていない靴下を履き替え　足を引きずり引きずり。　早朝のことで　畑に若い農婦が一人。　こちらの一部始終を見ていました。　何が起きたのかと心配してくれてたんでしょうが　朝早くから　この程度でもう故障か　と　あきれられているような気がして　痛みになれるまで　足を引きずりながらも　スタスタ。もちろん７番さんでお参りを済ませたあと　座って　靴下を脱ぎ　しばし休憩　もう２度と　指の分かれた靴下は　履いて歩かないと　決めました。　　８番熊谷寺まで　登りで　時間がかかりました。痛む足に石段は　大変　こたえました。　９番法輪寺の前には　知る人ぞ知る　お遍路さんの中では有名らしい茶店。お腹も空いていたので飛び込みました。いろんな話を聞かせてもらい　とにかく　お参りだけ済ませ　腹ごしらえ。　鳴門金時の芋と氷　おいしかったです。　　世話好きの人の良さそうな女将さんが　「その足では　今日は焼山寺は無理やからその手前で泊まらんとあかんけど」と　２，３軒電話をして今夜の宿を世話してくれました。女将さんによると　時期的にお遍路が一番少ないときで　遍路宿も休んでいるところが多いらしいのです。　その日は　あと１０番１１番　歩くとして　１１番の前に宿があるらしいのですが　やっぱり休んでいると言うことで　ルートからは少し　離れますが　鴨島駅裏のビジネスホテルを　予約してくれました。　１０番切幡寺までは　１時間前後　鴨島駅までなら　もう一度ここへ戻った方が良いからと　荷物を預かってくれ　軽装で　１０番さんに向かうことが出来ました。　背負っている荷物を軽くすること。　お四国病院といって　お遍路をすると　身体のオモリが溶けていくとは　聞いていたけど　背負っているものが軽くなる。　そんな予感がしてきました。　１０番さんのお参りを済ませ　戻り道を歩いていると　軽４車に乗っていた年配のご夫婦が降りてこられ　お遍路さんと呼び止めてくれました。　桃をお接待すると言うのです。躊躇していると　「キズ物だから遠慮は要らん。ほら。」と見せてくれました。成る程　確かにキズが入っていました。それではと有り難く合掌して頂戴しました。　　　荷物を預けたお店に戻って　また注文した氷を食べながら　話をして包みを開けると　上は確かにキズ物でしたが　下には立派な　桃が入っていました。ご夫婦のお心配りが有り難く　涙が出ました。　昨日のことも思い出し　帰らず進んで来て良かったと　つくづく思いました。　さて宿まで歩こうとすると　お店では　色々と持たせてくれた上　２度目の氷代は　お接待といって受け取ってくれません。　でも　この感謝の気持ちを　誰かにお分けしたいという気持ちになってましたので　次に歩いてきた　お遍路さんにお接待を　とお願いして　お金を置かせてもらいました。　　正規のルートを外れたので　有名な潜水橋は　通りませんでしたし　宿まで予想以上の距離もあり　体力的には　きついと感じましたが　やっぱり　何かしら来て良かったぞ　と思いいつつ　紹介されたホテルにチェックインしました。　そして、心の荷物はまだまだ背負ったままですが、とりあえず　着替えとか　十分すぎる備えを　リュックから出し　宅急便で送り返しました。　あるがまま　あるがままが大事。　明日からは　あるがまま歩こう。肩肘張っても　できの悪い人間が　そんなにすっと変われるはずがない。　ゆったり歩こう。そう思い　レストランで夕食を取ることにしました。　「すみません。　グラスワインの赤と　ビーフカツ」　えっ　それが　慎ましやかな　歩き遍路のすることか？　　　　　

  2006.01.20

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（３）

  　しこたま　水を頂戴して　人心地つけて　身なりを整え　お参りしました。　はじめて　お金を頂戴するという　思いがけないお接待をしていただいて　その余韻の中で唱える般若心経は　感謝・感謝・感謝　感謝することを学べ　と反射して身に帰ってくるように感じました。　納経所で納経をすませると　これも手慣れた様子で　「お遍路さん　今日の宿は？」と尋ねてくれました。「いや決めてません」と答えました。　正直なところ　もっとスタスタ歩けると思っていたので　何にも考えてなかったのです。一応　野宿も覚悟してましたが　疲労困憊で　もうその勇気も消え失せてました。　「では紹介しましょうか」「お願いします」「頑張ってもう１カ所行きなさい。その次のお寺の手前でとってあげるから。　明日は楽やから」と電話してくれました。その電話に励まされるように（追い立てられるように？）大日寺をあとにしました。　あの案内してくれた犬が　待っていてくれているかな　と期待してたのですが次の仕事に忙しかったようで　待ってはいてくれませんでした。　大きな道をまっすぐにくだって　５番地蔵寺につきました。この寺の前に自販機があり　ともかく　水分補給をしました。このお寺の前には　宿もありましたが　私の目指す宿は　ここからまだ１時間以上歩かねばなりませんでした。　宿までの道のりは　国道を歩く　案内が無くても迷いようのない道でしたが　かなり苦しいものでした。やはり　この１年間の出来事が頭の中をぐるぐる駆けめぐり　歩みも遅くなり　１時間　かかっても　まだ宿には着きませんでした。　予定より遅くなる旨電話を入れ　現在地を知らせ　あとどれくらいか聞くと　３０分もかからない　といわれましたが　まだ３０分歩くのかと　かなりぐったりしました。こんな事では　この先思いやられるぞと自分を叱咤激励し　やっとの思いで民宿に到着しました。　宿で　コインランドリーに洗濯物を放り込み　風呂に飛び込みました。足が痙攣しそうでしたので　良くもみ　ゆったりと疲れを取りたかったのですが　のどがからからで　水を飲んではトイレ　という有様で　ともかく　食事まで　畳の上でごろ寝して休息を取りました。　夕食に呼ばれ下に行くと　他に２組ほど相客があったようです。　膳が並んでおいしそうな川魚が焼いて出されてました。　とりあえずビールを頼み　ぐっと飲み干すと　ムッ　にがい。　２，３口　魚を食べる。　口の中がおかしい。　箸が進まない。気分が悪い。中座して　トイレに駆け込みました。軽い下痢と吐き戻しで　そのまま食堂に行かず　部屋でごろ寝をしました。食あたりの筈はありません。何も食べてなかったのですから。　そのまま　どれくらいかわかりませんが　そのまま眠ってしまったようです。　心配して、宿の人が声を掛けてくれました。周囲はもう真っ暗でした。「大丈夫です。」と見栄を張り、もう一度食堂に下りていきました。他の人の膳はもうありませんでした。心配そうな民宿の人に状態を聞かれ　話をすると　そうめんを湯がいて持ってきてくれました。　「遍路初日から脱水ですね。」「他にも居てるんですか」「時々」　「そんな時どうします」「帰って出直したらと勧めてます」　「いや大丈夫ですからまわります。」こんな事で帰ったら　修行をして　神秘体験をする目標が泣く。今更帰れるか。　「もう　ビールはやめて　そうめんだけでも食べて」と親切に　勧めてくれ　デザートの　スイカも一口。　ポカリを部屋に持ち込んで　水分補給をすることにした。　なんせ　特養では　いったん危篤に陥った入所者を　ポカリだけで　遠くの親戚のが来るまで　命を支えたのを　目の当たりにしているので　これさえあれば大丈夫。　でもポカリを飲むどころか　その夜どんな夢を見たのかさえ　覚えてはいませんでした。　ぐっすり眠って朝を迎えました。　そして　朝　気がつきました。　ぬるくなったポカリほど　飲みにくいものはない！！　

  2006.01.19

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった（２）

  　徳島駅から１番霊山寺の付近まで行くローカル車の窓から　大きな蓮池が見えていよいよ仏様の世界に来たななどと　勝手に感じ入っておりました。　私は　御大師様の開いた真言宗の家系でなく　いわば修行の道場だけお借りする都合の良い遍路者ですので　仏教や宗派の作法などは全然知らないけれど　装束など最低限のマナーは守ろうと決めていました。　また　せっかく修行に来ているのだから　その妨げになるような掛け連れはつくらない、一人でまわる。　そしてもうひとつ　辰濃さんのように　自分も時間や予定に縛られず　歩きたいだけ歩き　食べたいときに食べる　出来るだけ自然人に近い歩き方をしたいと思ってました。　で、１番さんの門前で装束等一式そろえ、印を揃えたあかつきには　掛け軸は息子に遺産として残し　印衣は　父母の内　早く亡くなったほうに掛けてやろう　と皮算用して　お参りを始めました。　お参りの人が多く　恥ずかしくて　なかなか　大きな声で般若心経を上げられなかったです。　早々に退散して２番極楽寺へ。距離も近かったし境内は閑散としていてほっとしました。お経の声も少し大きくなりました。　お遍路にでるきっかになった出来事や　この１年間に起きたいろんな事やそれに伴ってめまぐるしく変わってしまった環境など　色々と頭の中がぐるぐる回りしていました。　少し遍路道の案内があって　段差のついた田と田の間の細い畦道で　田から水があふれてました。そこを通らないと行けませんのでやむなく歩く。ズルッと滑る。下の田に落ちそうになる。あわてて　杖を下の田に差し込んで　身体を支える。間一髪　靴とズボンは早速汚れる。杖の先は　もう真っ黒。　　３番金泉寺までは少し時間がかかりましたが　お参りの方は　少しづつ馴れてきました。となると腹が減ってきました。考えると朝から緊張して何も飲食してません。　山門を出て食堂へ。　なんと　暖簾かけたまま不在。　ま　いいか　他行こうと　気楽に歩いた。小さなスーパーがあったけど　ここで弁当やパンもいらんなーと思い　水分補給も考えず　気楽に　歩き続けた。　だが　それから　もう店はありませんでした。　遍路道を歩き続ける。　お日様がまぶしく　色々詰まったリュックが重い。汗びっしょり。何せ本能のままに歩こうと思ってたから　水筒なんて無い。　次の自販機で水分補給をと考え歩く。　ところが　ハタと気がついた。この遍路道　空を見上げても　電線が無い　ぐるっと見渡しても　電柱がない。ということは　ここには　自販機が存在するはずがない。　行けども行けども　何もない。道の下を横断して流れる小川のきれいそうな水を　思わず飲みそうになる。　いや、自分は今試されてるのだ。飢えを体験することに意味がある　なんて考えひたすら歩きました。　桃畑に出ました。売ってもらおうと思いましたが　こんな時に限って　畑に人はいません。まだ試されている。キズ物の桃が　これ見よがしに　落ちてました。　黙って取ってはここでもう失格　そう思って　やむなく歩き続けました。ぼちぼち人家が見え　大きな道に出ました。　一頭の犬がお出迎え。伴走してくれました。　これが噂の案内犬か、と嬉しくなって　せめてこの遍路道を歩いた区間だけでも　罪を犯さなかった自分にほっとしました。　犬に案内してもらって４番大日寺へ。後ろから　団体遍路さんを乗せたバスが何台も追い越していきます。くたくたになって境内にたどり着きました。　境内の小さな橋のたもとで　団体遍路さんが通るのを待っていたら　一人のご婦人が　すれ違いざま　「お遍路さん　これ」といって千円握らせてくれてスタスタと行ってしまわれました。突然のことにあっけにとられましたが　何かこの方が　お大師様のお使いのように見えて　本当に有り難く　深々とお辞儀をして　お見送りしました。　そして　お参りする前に　納経所に飛び込み　聞きました。「飲める水はどこにあります？」　お寺の人は　手慣れた風で「この裏手」。こちらも　すぐ飛び出して　がぶがぶ　ごぼごぼ。　お参りのことは　しばし　吹っ飛んでました。

  2006.01.18

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• 死んだ人ともう一度話がしたかった

  　２１世紀の初めの年。どういう修行をしたら　死んだ人ともう一度話が出来るだろうかと　真剣にそればかりを考えていました。　とにかく　話をしたかったのです。　いろんな本を手当たり次第に探っていきました。そんな中　辰濃和男さんの「四国遍路」という本に出会いました。　一度に８８カ所まわらず　区切って歩いていること　いろんなお遍路さんに出会ったこと　少しだけの神秘体験。元新聞記者らしく　簡潔にご自身の遍路体験記を記されてました。あと　かなりネットサーフィンして情報をかきあつめましたが　串間さんのやっておられる掬水へんろ館にアクセスし皆さんの体験記を貪るように読みました。　自分の中で　どんどん遍路熱は高まり　毎月１週間だけ遍路に行こう。歩こうと決めました。　仕事も今ほどは　忙しくなかったし　行くと七夕の日に決めて７月１０日から１６日までの第一回目の区切り打ちに出ました。　朝早く　友人に駅に送ってもらいました。　歩く目的は　やはり　死んだ人ともう一度話がしたい　ということで　その為の遍路でしたが　何か違う世界が見つかれば　それもいいかなとか　そんなことを　だんだん人が込んでくる　通勤時間帯の電車の中で　ぼんやりと考えていたのを覚えています。　

  2006.01.17

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