昨年の3位からV奪回が至上命令の巨人にとって、飛ばない統一球は致命傷になりかねない。
昨年6年ぶりに200本塁打台を記録したが、半減の危機に直面だ。
飛ぶボールと狭い東京ドームで特製ホームランを量産してきたツケは高くつく。 パワー自慢の中日・ブランコでさえ「40本打つのは大変なことだろう」と嘆いているという、今季導入された飛ばない統一球。
最大のダメージを受けるのは言うまでもなく巨人だ。
昨年の本塁打数を見ても226本と断然トップだ。
2位の阪神が173本、3位・ヤクルト124本、リーグ優勝した中日は4位の119本。
5位・横浜117本、6位・広島104本。 巨人のホームラン量産の源は、一目瞭然で「こすってもスタンドに入ってしまう、東京ドーム特製のホームラン」にある。
「東京ドームでは野球にならない。他の球場ならば、平凡な外野フライがスタンドインしてしまうのだから」と他球団の投手たちがどれだけ泣かされてきたことか。 その“ドームラン”を最大限に生かし、空中戦で相手投手を圧倒。
昨年は1ゲーム差の3位に終わったが、一昨年までリーグ3連覇している。
ホームラン王のラミレスの49本塁打を筆頭に、阿部44本、小笠原34本、坂本31本、長野19本、高橋13本と、打ちたい放題打ってきた。 が、国際試合にも対応するために、野球正常化を目標に導入された飛ばない統一球の効果は絶大。
西武相手に東京ドームで行われた2試合のオープン戦で巨人首脳、ナインは嫌というほど統一球の真価を味わわされている。
「去年までだったら、文句なく中段に入る中村のホームランがギリギリだった」と。 巨人の年間ホームランがどこまで減るか?
懸賞クイズの問題にもなりそうだが、ズバリ言えば、半減近くなるだろう。
昨年の半分だとすると、113本塁打になる。
過去10年間の巨人の最少本塁打数は、原第2次政権初年度の2006年の134本。
良くてもこのあたりの本数に止まるだろう。
ちなみにこの年は4位に終わっている。 もちろん、本塁打減は巨人だけに起こる現象ではない。
が、もともと広いナゴヤドームの中日、甲子園を本拠地にする阪神のライバル2球団は巨人のようにホームラン依存症にかかっていない。
一発に頼っていては勝てないからだ。 原監督は宮崎キャンプの時から飛ばない統一球対策として「つなぎの野球」への方向転換を強調してきたが、長年のホームラン依存症は一気には解消されない。
ラミレス、阿部が30本台。
小笠原、坂本は20本台。
一発激減ショックで、巨人のV奪回は前途多難、展望が開けなくなる。 |