VIVID Audio G1 Giya:Original Nautilusの後継スピーカー
KEFがこのご時世にペア2000万円というバブリーな値段のスピーカー「MUON」を発売して話題になっている。エンクロージャーのデザインはミネラルウォーターのペットボトルやデスクライトなどのデザインで知られるインダストリアルデザイナー,Ross Lovegroveが行ったということだが,高級スポーツカーを思わせる写りこみがおもしろい。分解図を見てもKEFの技術の粋を集め作られていることが想像できる。「私が作ったオブジェは、小さなものでも30万ドル程度するものがあり、それでも購入される方がいる」というLovegroveの話からは,この2000万円の中にはデザイン代もかなり含まれているのでは,と思わせるが・・・最近の高級スピーカーの中でMUON以上にその音が気になっているのが,南アフリカのオーディオメーカー,VIVID AudioのG1 Giya。ホームページでカタログ(pdf:2MB)をダウンロードできる。何より気になるのが,設計者がB&Wのオリジナルノーチラスを手がけたことで知られるLaurence Dickie(写真右の人)であること。これまでとりあえず値の張るスピーカーとしては,B&Wの800DやSignature Diamond,JBL S4600,GERMAN PHYSIKS HRS120 Carbon,LINN AKURATE 242,Pioneer S-1EXなど,オーディオの試聴会でいくつか聴いたことがあった。もちろんそれぞれすばらしい音を出すのだが,その中でも「次元の違う音」だとはっきりと感じることができ,値段を聞いても十分納得できたのがオリジナルノーチラスだった。黒光りするボディの質感もさることながら,何より後ろに突き出た丸いツノとカタツムリのような下部が強烈な印象を与えるが,それぞれ見栄えではなくあくまで内部共振を徹底的に消去するためにデザインされているようだ。確かに,強烈なアタック感のある音が次の瞬間には見事に掻き消えている感じが,音に独特の存在感を与えていたように思う。Laurence Dickieはその後,全ての工程を思い通りにできる場を求めてB&Wを離れ新進のVIVID Audioに入った。そこで作ったV1などのスピーカーは,音は高く評価されているようだが,一つ目小僧が驚いているようなそのデザインが私にはどうにも好きになれなかった。しかし今回のG1 GIYAは楽器を思わせるそのデザインが個人的に好み(「elf's hat」などと揶揄する人もいるが・・・)。内部にはノーチラスのようなサイレンサーが内蔵されているという。またノーチラスよりも魅力的なのが,1台のアンプでも鳴らせる仕様になったこと。ノーチラスはマルチアンプ駆動で,モノラルアンプだと8台,ステレオアンプでも最低4台は必要という特殊な仕様だったため,一般人にはとても手の届かないイメージがあったが,それが1台でOKとなると少し身近になった感じはある。もっとも$54,000(570万円弱)という値段とこれを完璧にドライブできるアンプ,これを入れるスペースや反射音対策などを考えると,相変わらず私には遠い存在であることは間違いないけれども。しかし音だけでもいつか聴いてみたい・・・これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらJoshin web オーディオ試用レポートスピーカー新製品情報【楽天トラベル】あきらめるのはまだ早い!ゴールデンウィーク直前予約特集