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前の投稿に続きまして。
あまりの悲しい美しさに感傷的になってしまったN響定期公演:ブロムシュテット指揮 マーラー交響曲第9番でしたが、10月22日(土)に同指揮シューベルト交響曲第1番&第6番を聴きに行きました。 ここで白状しますと、マーラーよりさらにひときわ輪をかけて、シューベルトとは全くご縁がありませんでした。あの『のだめカンタービレ』ののだめちゃんも言っていましたが、シューベルトは気難しくて仲良くなれないのです。ピアノ五重奏「ます」とか野ばらとか魔王とか、それくらいしか知りません。どちらかというと避けて通る感じでした。 ただ、寝てしまってはもったいないので、一応、予習としてネットに上がっているマエストロ指揮ではない過去の演奏をちょこっと聴いてみたりしたのですが。 うん・・・正統派なザ・クラシック。大丈夫かな? でも、マエストロの指揮ならきっと素敵な側面が見られるはず。そう期待して公演に向かいました。 結論から申し上げますと、 シューベルトって天才✨ そして、その「天才性」を余すところなく引き出したマエストロの指揮の素晴らしさに、とにかくひたすら感動しました。 マーラー交響曲第9番が人生の最終盤を表現した曲であるのに対し、この曲は若々しい生命の躍動感を表現していて、それを95歳のマエストロがとても若々しくエネルギッシュに指揮されたのには、とても驚きました。お怪我の影響を全く感じさせず、身体全体を使って力強く、またユーモラスな部分は軽やかに指揮されました。 交響曲第1番と第6番は、あまり演奏会で演奏される曲ではないそうなのですが、シューベルトがそれぞれ16歳と20歳のときに作曲した曲で、ひたすら明るく若々しくエネルギーにあふれた音楽です。 ただ、全体的な曲調としては、演奏の仕方によってはとても凡庸に聞えてしまいそう(”正統派なザ・クラシック”と表現したのはそういう意味でもあり)。第1番の冒頭などは、ネットで拾った音源で聴いたときもヘタをすると間延びした演奏になりそうな感じで「んー」と思いました。 ところが。 この曲がマエストロ・ブロムシュテットの手にかかると、音色豊かなキラキラとした音になりました。 NHK FMのベストクラシックで放送されたときに解説としてご出演された舩木篤也さんがおっしゃっていたのですが、シューベルトの交響曲は同じフレーズが何度も繰り返されるので、やり方によってはのっぺりとした演奏になってしまうところ、ブロムシュテットは曲調を細やかに調節してメリハリを変えながら演奏する、とおっしゃっていました。なので、「堂々巡りではなく美しいらせんを描くような音楽」になっているのだそうです。 それにしても、第1番などは、これを高校生が作ったのね・・・と驚くほど完成度が高く、どうやったら人生経験が少ない人間がここまで高度な音の重なりを築けるのか、とても不思議な気持ちになりました。 そして、第6番なんかは本当にかわいらしいフレーズがたくさんちりばめられていて、聴いているだけで笑みがこぼれてきてしまうようなユーモアがあふれていました。 初めてたった一回聴いただけなのに、今でも頭の中で特徴的なフレーズがくるくると止まらなくなって、ああ、それだけ印象的で素敵なメロディーにあふれていたんだなと、思い出をかみしめています。 16日に拝見したときには少しお疲れが見られた気がしたのですが、この公演では指揮に衰えなどみじんも感じさせず、目にもはつらつとした光が宿っており、ひょっとしたらまた来年も来日していただけるのではないかという一縷の希望を感じました。 10月26・27日のBプログラムを聴きに行かれる方がとてもうらやましいです! ぜひ演奏を堪能してきて下さい。 私は26日のラジオの生放送で聴きます♪ そうそう、音楽に対する印象がこれだけ良かったのにはもう一つ理由があります。 少し人気度の落ちる曲目だったせいか、チケット争奪戦に出遅れたにもかかわらず1階席の前方中央よりの席が取れたのです。そうしたら、聞こえてくる音の反響の豊かさが全く違いました。オーケストラの演奏は音が大きいから、どこの席でも関係ないかな、と思っていたのですが、こんなに違うものかと驚きました。 この演奏は10/28(金)くらいまではNHKらじるらじるのベストクラシック聴き逃しで聴くことができます。そして、Eテレのクラシック音楽館では11月13日に放送予定だそうです。 シューベルト:交響曲第8番≪未完成≫&第9番≪ザ・グレイト≫ [ ヘルベルト・ブロムシュテット ] ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命 [ ヘルベルト・ブロムシュテット ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 25, 2022 08:00:07 AM
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