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テーマ:映画レビュー(889)
カテゴリ:映画 サ行
『人生は、時々晴れ』を観ました
『秘密と嘘』の巨匠マイク・リー監督が、退屈な日々の繰り返しの中で、 いつしか互いの心が離れてしまった家族の姿を見つめたドラマです >>『人生は、時々晴れ』関連 原題:ALL OR NOTHING ジャンル:ドラマ 上映時間:128分 製作国:2002年・イギリス/フランス 監督: マイク・リー 出演: ティモシー・スポール、レスリー・マンヴィル、アリソン・ガーランド 【ストーリー】 タクシー運転手のフィルは、スーパーで働く妻ペニー、老人ホームに勤める娘レイチェル、 そして無職の息子ローリーの一家4人で、ロンドンの集合住宅に住み、質素な生活を送っている。 娘は決して心を開こうとはせず、息子は反抗的な態度を崩さない。 結婚生活の長い妻とも深い溝を感じてしまう今日この頃。 すっかり、家族らしい会話もなくなっていた。それはフィルの家族だけではない。 同じ集合住宅に住むフィルの同僚やペニーの同僚もやはり家庭内に問題を抱えていた。 そんなある日、予想もしない悲劇がフィルの一家を襲う…。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を 見つめ合えれば、明日はきっと、幸せ 同じ集合住宅に住む3つの家族の日常が描かれるのですが、どの家族もトラブルを抱え、 それがまたよくありそうな身近なトラブルだったりするから観てはいけないような、 興味深いような複雑な気持ちになりました 変わり映えのない日常、貧しい生活、心が通わなくなっている家族、満たされない心、 どんどん卑屈になっていく主人公のタクシー運転手フィルの気持ちがひしひし伝わってきて こっちまでどんよりとしたやりきれない気分になります ちょっと無線と電話の電源を切ってどこかに行きたいと思う気持ちは良く分かります。 でも、そんなときに息子が心臓発作で倒れ、緊急入院 連絡が付かなかったフィルに妻ペニーが激怒するわけです。 これがきっかけで久々に衝突した夫婦は、互いに疎外感を感じていた現実に気づき、 無口な娘も心のうちを打ち明け、離れていた家族の心が再び繋がりはじめるんですね。 静かでリアルな家族の再生にはほっとしました 人間関係には、時には衝突してガス抜きすること、思いやり、 それからユーモアも必要ですね。 僕も含め単純な生物な男にとって尊敬と愛情って本当に大切な事です。 妻に、子供に、尊敬されればそれだけで勇気と元気、やる気が漲ります その二つがなくなっていると感じると、家族に遠慮して恐る恐る生活するはめになり、 フィルのようなことになってしまうんだろうなと思います。 同じ男として、そんな気持ちが痛いほど良く分かるので、 フィルを演じたティモシー・スポールが涙するシーンはかわいそう過ぎて 悲しくなりました 128分の間、題名通りほぼ8割、9割どんよりとした曇りで、出演者も含め 非常に地味で暗い映画なのですが、マイク・リー監督が脚本を用意せずに、 俳優たちの即興を通じて自然でリアルな人物像を作り上げていったという そのリアルで繊細な描写は秀逸です リアルな現実を見せられるので、映画を観ながら現実逃避はできないけど、 たまにはこういう作品で家族のあり方を考えるのもいいもんです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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