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カテゴリ:映画 ア行
『オテサーネク』を観ました
アニメと実写を組み合わせてチェコの民話を映画化した 異色のダーク・ファンタジーです >>『オテサーネク』関連 原題: OTESANEK ジャンル: ドラマ/ファンタジー 上映時間: 132分 製作国: 2000年・チェコ/イギリス 監督・原案・脚本: ヤン・シュヴァンクマイエル 出演: ヴェロニカ・ジルコヴァ ヤン・ハルトゥル 【ストーリー】 子どものいない妻を慰めようと、夫ホラークは木の切株を赤ちゃんの形に 削ってプレゼントする。 夫人はその切株に本物の子どものように接し、かいがいしく世話をする。 しかし、隣に住む少女アルジュビェトカだけは、夫婦のこの奇妙な行動に、 チェコに古くから伝わる民話“オテサーネク”との符号を感じていた。 それは、子どものいない夫婦が切株を育て、最後にはその切株に食べられて しまうというもの。 やがて、ホラーク夫人の切株も民話と同じように生をうけ、周りのものを どんどんと食べ尽くしていく……。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を 父性という過剰さ- 母性というエゴイズム- 無邪気さという暴力- 残酷なのは、 人間なのか?自然なのか?運命なのか? こりゃあ、凄いものを観てしまいました。 非常に不思議で不気味な映像のてんこ盛りで恐怖心を煽られる 他の作品にはない怖さがありました。 ダークなファンタジーなので、夢も希望も見当たりませんし、 夜中に観たので悪夢を見そうな・・・そんな余韻が残る映画でございました。 子供のいない夫婦が木の切株を子供として育てると、 その子供オテサーネクは大鍋のおかゆを平らげ、 犬や豚や農夫、果ては両親まで飲み込んでしまうというチェコに伝わる怖い民話と 不妊に悩む夫婦、さらには隣に住む妙に大人びた少女アルジュビェトカが絡んで、 狂気に満ちた世界観が繰り広げられます。 水槽にプカプカ浮いている赤ちゃん、スイカの中からも赤ちゃん、 子供が欲しくてたまらない夫婦の極限状態の妄想や、 ただの切株の人形だったオティークがホラーク夫人の強い想いから生をうけ、 うにょうにょと動き出す滑稽さ。 アニメーションで描き出される切り株オティークの伸びてくる根と ギロギロしている目、舌、立派な永久歯が恐ろしい事この上なく。 チェコの食事は質素なんだなって思えるスープ主役の食事風景など 普通の事をクローズアップさせて見せる事で、 不思議さと不気味さを効果的に演出していて 摩訶不思議ワールドに迷い込んだ気分にさせられるのも凄い。 近所に住む変態おじいさんの奇怪な行動にも毅然として対応する 少女探偵のようなアルジュビェトカの鋭い視点がストーリー全般に効いているのも面白い所です。 あんな事やこんな事の大人の世界にやけに詳しくて、 幾度と無くパパが驚愕してしまう可愛げの無さには、若干興ざめさせられますが・・・。 そんな摩訶不思議な恐怖の世界の裏側には、人間の欲求や欲望などの本質的な部分を 垣間見てしまった気分にもさせられてしまうんですね。 不思議と目が放せなかった恐怖映画でございました。
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