|
テーマ:最近観た映画。(37965)
カテゴリ:映画 ハ行
『ヒトラーの贋札』を観ました
![]() 国家による史上最大の贋札(がんさつ)事件と言われる、“ベルンハルト作戦”を 題材にしたヒューマンドラマです ![]() ![]() >>『ヒトラーの贋札』関連 原題: DIE FALSCHER THE COUNTERFEITER ジャンル: ドラマ/サスペンス/戦争 上映時間: 96分 製作国: 2007年・ドイツ/オーストリア 監督・脚本: ステファン・ルツォヴィツキー 原作: アドルフ・ブルガー 『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』 出演: カール・マルコヴィクス アウグスト・ディール デーヴィト・シュトリーゾフ 【ストーリー】 第二次世界大戦の最中、ナチスはイギリスの経済を混乱に陥れるため 精巧な贋ポンド札の製造を計画する。 この“ベルンハルト作戦”のため、ザクセンハウゼン強制収容所には、 世界的贋作師サリー、印刷技師ブルガー、美校生のコーリャなど ユダヤ系の技術者たちが集められた。 収容所内に設けられた秘密の工場で、ユダヤ人でありながら破格の待遇を受け、 完璧な贋ポンド札作りに従事することになったサリーたち。 しかし彼らは、自らの延命と引き替えに同胞を苦しめるナチスに荷担する ジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく。 ![]() ![]() ![]() ![]() 完璧な贋札。 それは俺たちの命を救うのか。 それとも奪うのか── ナチス・ドイツ時代の映画は数あれど、この作品は一味違っていました。 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが英米経済の混乱を招こうと 大量の贋札を製造した作戦=“ベルンハルト作戦”の内情を、 強制的に贋札作りに従事させられたユダヤ系技術者の視点から描いているので、 贋札がバレ無かった事に、ナチス将校と一緒に大喜びしたり、将校の家に招かれたり、 壁1枚隔てた隣の収容所とは違って、キレイなシーツの柔らかいベッドに眠り、 祝日には歌だ、演劇だと将校たちと楽しんだりもしているわけであります。 一方で、この作戦のせいでナチス・ドイツの戦況を有利に運ばせ、 ユダヤ人の同胞たちが次々と虐殺されていくことに対する罪悪感、 贋札のおかげで生きながらえている自らの命は、 ナチス・ドイツが勝利してしまったら一体どうなってしまうのかという不安と恐怖、 生きたいという純粋な思い、仲間の命に対する責任、 同胞に対する思いや正義感がごちゃ混ぜになった極限状態の中での 彼らの生き様に目が釘付けになりました。 そんなスリリリングに展開するストーリーがドラマチックで見応えがあるんですね。 強制的に贋札作りに従事させられたユダヤ系技術者の間でも、 ナチス・ドイツに手を貸すことが正義に反するとするものは、仲間の命を危険にさらし、 生きながらえたいとナチス・ドイツに全面的に協力するものは、他の同胞たちや、 世界中の人々の命を危険にさらすわけで、なんともやりきれません。 特に、生きるために仲間の命のためにナチス・ドイツ兵に媚を売り、 家族が殺されて自ら死を選ぼうとするものを踏み止まらせ、 病に倒れた仲間のために、薬を手に入れようと試行錯誤する、 そんな元世界的贋作師として悪の道に生きていたサリーと、 仲間にボコボコにされようとも正義を貫こうとする アドルフ・ブルガーとの対立は、息苦しいほどの緊迫感を呼びます。 正義がエゴに変わってしまう瞬間と 生きたいと思う気持ちが卑しく見える瞬間に皮肉さを感じずにはいられませんでした。 目を覆いたくなるような戦争の悲惨さを訴えかける力強さと、 無残に殺されるもの、解放後に命を絶つものなど 生と死、人間の本質に迫ったシーンが印象深い秀逸な作品でありました。
[映画 ハ行] カテゴリの最新記事
|