以前, 国交相が発表した道路特定財源使いきりの計画の一因として, 自治体から道路建設の要望があるとのことである. 個々の案件について詳細を知っているわけではないが,腑に落ちない気がする.
個人的には, 道路建設は手段であり目的ではない考える. 道路が無いから, というだけの理由では納得できない. たとえば道路の先に工場や観光地を整備し, そのための輸送能力を確保するために必要である. その場合でも, その計画が理にかなっているのだろうか. 夕張市の例を見るまでも無く, 箱物さえ作れば観光地としてやっていけるわけではない. 工場の場合はさらに, 原材料の搬入, 製品の搬出の費用を考えると単に道路さえあれば良いというものでもあるまい.
この点について, 興味深い記事があった. これによれば, 交通が便利になれば, 従来観光地に宿泊していた客も日帰りで訪れるようになる. さらに, 高額商品は品揃えが豊富な大都市に行って買うようになる. さらに考えれば, 大都市間の移動が便利になるばかりで, その中間の地域は単に通過するだけになるとも考えられる. こういったことも考えると道路が出来たから地方が活性化するどころか却って衰退する可能性さえある.
にもかかわらず, 道路建設を要望するのは, 建設に携わる業者とそれに癒着する勢力の私腹を肥やすためでは, と勘ぐりたくもなる. 道路建設に税金を投入することは, 他の分野にしわ寄せが行く. 福祉の切捨てなどに繋がる訳だ. また, 一般市民から見れば高い税金を強要される事になる. にもかかわらず, 道路建設の必要があるというのだろうか. それでも必要だというならば, 目的, 見込みを明示して欲しいものである.