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Jun 11, 2008
カテゴリ：ヅラが好きだーーーーーーー！
頂きました！！
松平肩凝子様から、素敵なイラストを！！ 本家サイトに掲載しているＳＳを読んでいただきましたところ、とても素敵な挿絵を描いてくださいました！！ 水彩画のような透明感ある色遣い。 子供たちの個性がそれぞれ表現されていて、とても素晴らしいイラストです。 あぁ・・・・・幸せ・・・・・・。 ついでに・・・・私のＳＳも掲載しちゃいます。（読まれた方もおられると思いますが） 挿絵が素晴らしいと、文章も少しは見栄えが良くなるような。 肩凝子様、本当にありがとうございました。  光の面影 空が真っ青に晴れ渡ったある日のことだった。 「今日は・・・・・・・外へ散歩に行きませんか？」 朝、俺達の顔を見るなり、先生はにこりと微笑んで みんなの答えを待たずにふわりと踵を返した。 一瞬キョトンと顔を見合わせ、慌てて先生の後を追うと すでに玄関の外へ出ていて、ゆったりと歩いていく後姿が見える。 置いて行かれまいと息せき切って後ろに続き、 いつの間にか塾生みんなで列を作って・・・・まるで雛鳥の行進のようだ。 「先生、どこに行くのですか？」 誰ともなく先生に尋ねると 「ついてくればわかりますよ。」 のんびりとした答えが返ってくる。 漆喰塗の壁が途切れ、いつも剣の稽古をしている河原を下に見ながら橋を渡り いつしか道は緩やかに上り坂になっていた。 夜ならば通りたくない寺の脇を抜け、木々がざわざわと風に揺れる音を聞きながら 先生の背中だけを見つめて、これから何があるのかと、好奇心を沸き立たせながら歩いていく。 「ここで、休憩しましょうか。」 先生が立ち止ったのは、街が見渡せる小高い丘の上。 みな一様に、丘の上からの景色を眺め、自分の家や塾の場所を探してはしゃぐ。 その中に入るつもりはさらさらなかったが、多少なりとも心躍ることは確かで。 丘の上の空気は澄んでいて、空を見上げると、こんなに高かったのかと改めてため息が出る。 爽やかな風が頬を撫ぜ、そのやってきた道筋を探るように頭を巡らせば 丘の上に一本すっくと立つ大樹の傍らに先生がいた。 先生はじっと大樹を見つめ、慈しむようにその幹を撫ぜていた。 「木は・・・・・・良いですねぇ。」 おっとりと紡がれたその言葉は、はしゃぐ塾生を鎮めるのには十分な響きで。 その一言で俺たちは皆、大樹の傍らに立つ先生を見つめた。 「地に根を下ろし、日の光を浴びて・・・・・そこにあるがまま、泰然自若として揺るがない。」 先生の口元には微笑みが浮かび、その頬にきらきらと木漏れ日が写りこむ。 「ただそこに在るだけで、時にさわやかな木陰を作り、雨を凌ぐ傘となり、 生き物すべてに実りを与え、鳥や獣の住処ともなる。」 その言葉に応えるように１羽のひばりがチチっと小さな鳴き声を上げ、枝から飛び立った。 「葉が枯れても、たとえ幹が折れたとしても、再び芽吹き・・・・・伸びていく。」 眩しそうに空を見上げ、先生が言葉を継いだ。 「・・・・・・・・・・光に向かって。」 先生の見つめる先を見たくて、一緒に空を見上げたけれど そこにはただ眩しい光があるだけで。 「大きく・・・・・・なりなさい。」 その言葉に先生を振り返ると まるで光に溶けてしまいそうに・・・・眩しくて。 「・・・・・・・この大樹のように・・・・・大きく。」 眩しくて・・・・先生がこのまま消えてしまうんじゃないかと怖くなるくらい ・・・・・・・・・・・眩しくて。 ただ無言で先生に駆け寄って、その大きな手を握り締めた。 それから数日後・・・・・・・・・先生は還らぬ人になった 大樹の葉影。 眩しい木漏れ日。 溶けていきそうな真白い光を振り仰ぐたび 先生の声が聞こえてくる。 大きくなりなさい この大樹のように・・・・・・・大きく それは・・・・・・・光の面影 ＜了＞ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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