東京地検特捜部
東京地検特捜部【電子書籍】[ 姉小路祐 ] 平成7年作。 30年近く前の作品だが、作者があとがきで地検特捜部に関してきちんと取材した旨書いている。 故に、その組織の中の動きは実にわかりやすいのだけれど、地検の幹部が次から次へと悪を働くものなのかね。 ちょいと疑問だ。 それはともかくそういうコンセプトで描いた作品だから、それはそれで受け止めるほかあるまい。 主人公の検事は大学助教授(当時)からの転身者。 株仕手絡みの話が続く。 この辺の話をずっと読んでいると眠気がさす。 そこは構わず読む他ない。 何しろ400ページ超えの大作だから、なかなか読了につながらない。 それでも、努力が大事だね。 いつの間にか話は終わっていた。 前読、文学入門、のせいもあろうか、本作をきちんと文学と認識して読めたのは素晴らしい。 ただこの手の作品はね、どうしても警察が中心になるので、検察幹部が警察からかき回されるのが困るようなことを作中言わせているけれど、これは多分取材先からのネタでしょうね、検察の本音が垣間見える。 これもまた作中なのだが、警察は捜査、検察は裁判とおぼえておけばほぼ間違いない、というのは名言だね。 その通りの観念でよろしい。 ただ特捜部は、政界汚職、大きな経済犯罪をターゲットにしているということは、普通の検察ではないと言うことになるということだろうね。 さて、姉小路祐の作品は、まだラインナップしているので、これから読み進めなければなりませんな。(2/12)