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医療報道を斬る

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2012.01.31
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カテゴリ:医療
 腹痛を主訴として病院を受診する患者はいっぱい居ます。たいていはたいした病気ではなく、治療の必要もない患者が大半です。でも、中には命に関わる病気もあります。もちろん腹痛だけではなく、頭痛など、他の症状でも同様です。可能性だけなら、どんな可能性だってあります。

 時に命に関わるからと、何らかの症状がある患者がすべて救急車を呼んだら、日本の医療は崩壊するでしょう。崩壊するようなことを義務と認定する裁判所と言うところは、医療を崩壊させたがっているように見えます。記事からは分からないこともあるのかもしれませんが、以下のような判決を受け入れてまで医療を続ける必要はないのではないでしょうか。

子宮外妊娠の女性死亡 愛知・岡崎市に賠償命令
朝日新聞デジタル

 岡崎市民病院(愛知県岡崎市)での受診直後に子宮外妊娠による出血で死亡した同市の女性(当時36)の遺族が、市と医師に7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、名古屋地裁であった。堀内照美裁判長は、病院側が子宮外妊娠の可能性を伝えなかったため、処置が遅れて死亡したと認定し、市と医師に約6700万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2007年10月3日、妊娠を疑って同病院で検査を受けた。女性が帰った後の同日夕には検査結果が出て、担当した女性医師は子宮外妊娠の可能性に気づいた。

 翌4日朝に女性から腹痛を訴える電話があり、午前11時に来院することになった。女性が病院に来ないため、病院は何度も女性に電話したが通じず、午後1時に女性から「腹痛で動けない」と電話があった。病院が救急車を呼んだが、女性は自宅で意識を失っていて、5日に出血性ショックで死亡した。

 判決は、最初に腹痛を訴える電話があった時点で、女性は危険な状態だったと指摘。子宮外妊娠の可能性が高いことや危険性を具体的に伝え、できるだけ早く来院するよう勧める責任があったと結論づけた。

 堀内裁判長は「適切に伝えていれば、迅速な手術と治療で救命できた可能性が高かった」と述べた。

 同病院は「判決文を見ていないのでコメントは差し控える」としている。


 最近訴訟に関わることが多くなってきて、科学畑の考え方と法律家の考え方にかなりの隔たりがあることを実感しています。科学畑の人であれば、可能性は確率で考えるのに対し、法律家は、可能性があるか無いかで考えます。

 記事だけから判断すると、そもそもは単に妊娠しているかどうかを調べただけのようです。そして妊娠が分かった訳ですが、その時点で子宮外妊娠を疑うはずはありません。、翌日腹痛があるとの連絡を受けたときにはいろいろな可能性も考えて、受診の予約をしたのでしょう。でも、この時点で手遅れになりそうな子宮外妊娠を強く疑うというのは無理ではないでしょうか。当日に受診するように言ったのであれば、ミスとは言えないと思います。

 妊娠していれば子宮外妊娠の可能性はありますから、可能性を問われれば、産科医は可能性はあると答えてしまいます。そうすると、可能性があり、予見可能だったのに放置したことになってしまうわけです。実際には、妊婦の腹痛の原因は子宮外妊娠以外にもいっぱいあります。ここでは子宮外妊娠のことなど触れても居ません。また、子宮外妊娠だったとしても、いつ破裂して大出血を起こすのかを知ることはできません。

 屁理屈であることを承知で書きますが、妊娠すれば子宮外妊娠に限らず、いろいろな原因で死亡する可能性があります。それを承知で妊娠させたのであれば、死ぬ可能性を予見できたのに漫然と妊娠させたことになります。

 結婚すれば、いずれ妊娠する可能性は高いでしょう。それを止めずに漫然と結婚に同意した親族が居たのであれば、やはり死ぬ可能性を予見できたのに漫然と結婚させた落ち度があります。

 記事の判決は、蓋然性に差があることは認めますが、上の屁理屈と同じ種類の判断だと思われてなりません。

2月1日追記
 「記事からは分からないこともあるのかもしれませんが」と書きましたが、Yosyan先生によると、いろいろと記事からは分からない事情がありそうです。事実関係については留保とさせて下さい。それでも、ハイリスク・ローリターンの現状はおかしいと思いますので、高額賠償の判決に同意できないことに変わりはありません。





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Last updated  2012.02.01 03:50:01
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