オリーブ油の効用
クレタ島の人々は、世界中で最も多く脂肪をとっている。彼らは摂取するカロリーの45%を脂肪でとっていて、33%はオリーブ油からの脂肪である。それだけ多くの脂肪をとっていたのではクレタ島の人には心臓病が多く、寿命も短いはずだ。ところが、事実はそうではなく、心臓病-脂肪摂取量の相関を図にしたとき、飛び離れたところにプロットされる地域であり、クレタ島は心臓病とガンの死亡率が世界でも最も低いところの1つなのである。そして、この島の「長寿因子」を捜していくと、科学者はオリーブ油に行き着く。クレタ島では、オリーブ油はワインのように消費されており、それは一人当たりにすると他のどの国よりも多量である。食用脂肪研究の先駆者であるミネソタ大学のアンセル・キーズによる最近の研究は、オリーブ油を主たる脂肪源としている人たちは、心臓病による死亡率のみならず、総死亡率までもが例外的に低いことがわかったのだ。厳密に対照群をとった二重盲検法によるいくつかの研究で、オリーブ油には血液に対して驚異的に働く物質が含まれていることが明らかになった。血液の凝固傾向に歯止めをかけ、善玉のHDLコレステロールの比率を高め、コレステロールの血管への沈着を阻止するのである。それで現在では、心臓発作や脳卒中とその再発のリスクをなくす優れた方法として、オリ-ブ油を処方する専門家がいる。人の細胞内に注入されたオリーブ油は、細胞膜をより安定させ、フリー・ラジカルによる破壊をより許さなくさせる。それが意味するのは、オリーブ油には抗酸化物質が含まれているということであり、十分にその物質が細胞内に吸収された場合には、細胞をイキイキとした状態に保って老化を遅らせる助けをすると同時に、細胞を混乱させてガンを起こさせる諸攻撃に対抗すると思われる。心臓に最もよいタイプのオリーブ油は?いろんなタイプがあるオリーブ油の中で、抗心臓病に働く物質を最も含んでいて最も力があるのは、エクストラ・バージン・オリーブ油である。これは、最高品質のオリーブをつぶして圧搾するだけの過程で抽出した油である。ベラ博士は、原料のオリーブ油そのものに近い油ほど、心臓を守ってくれる物質を高濃度に含んでいる、といっている。精製の度が高くなればなるほど、有効成分が減っていくわけだ。「食べるクスリ」/ジーンカーパーより抜粋