銀の裏地

　開幕戦をやっと見る。どきどきしすぎた亭主殿が見られなかったんである。で、やっと見たレースはびっくりするほどつまらなかった。
　予選の放送は30分しかなく各選手紹介に終わった感があってこれも実にあっけなかったのだが、本選はまったくもって見るべきところが無かった。
　ポール・ポジションはベッテル。アロンソ、マッサのフェラーリ勢が続く。ベッテルがその速さを見せつけてポール・トゥ・ウィンと行くか、フェラーリがマシンの強さを発揮するか。オーバーテイクしづらいバーレーンのサーキットで見るべきものはこれくらい、後は予選で沈んだカムイがどこまで上がれるか、で、なんだか暇な見物になりそうだねと夫婦で言い合っていたら案の定、トップの3台以外は勝負にならない感じ。
　カムイはスタートの混戦で3台抜きをして12位に上がったのだけれど、大きく映してもらえるようなタイミングではなかったので楽しめず。今季からポイントのつけ方が変更になり10位までが入賞になるから、カムイのそれを期待してのんびり見るかという体制になったところであっけなくマシントラブルでリタイヤ。油圧系らしい。同僚のデ・ラ・ロサも同じ理由で止まったのでこれはザウバー、深刻やもしれぬ。大きいスポンサーもまだつかないし。トヨタが撤退し後継のステファンは参戦を認められなかったのだから、パナソニックはカムイを応援してあげたらいいと思うんだが。てか、してください。ナショナルやめて商標をパナソニックに統一した分、今が国際的なアピールどきでない？
　ベッテルは点火プラグのトラブルで後半パワーが上がらずずるずると後退、労せずアロンソが前に出て、そのまま気持ちよくゴールイン。せめてマッサと1位争いをしてくれないかと思ったが、マッサもトラブルで失速、まるで見せ場らしいものはなかったのであった。まあベッテル視点で見れば、｢パワーが！」と無線で泣きついたあたりから、１周あたり２秒見当でタイムが落ちて行く車をだましだまし、耐えるレースを展開して４位を死守、とそれなりにドラマティックと言えないこともなかったけれど(これなら最終周までに喰えると５周前だかに言っていたシューマッハたちに追いつかせなかったからね。加速がきかない分、コーナーを丁寧に走っていた)。速いだけじゃなくて、ほんとに強くなった。天才ライコネンがラリーで留守の今季、やはり本命ドライバーはこのセバスチャン。もちろんハミルトンもいるけれど(アロンソは去年まったくいいところなしだった上、この開幕戦では彼の強さの質をどうこうは言えない)。
　給油ストップがなくなって尚更ピットでの抜き抜かれがなくなった分、マシンのコンディションにレースのほとんどの部分が支配されてしまいそうな今季だが、できれば手に汗握るバトルをいくらかは期待したいところ。そうそう、シューマッハに先を行かれっぱなしだった昨年王者さん、意地を見せてくださいよ。去年の勝利は実力とは言えないなんて言われっぱなしは癪でしょう？　きれいだけど強い走りじゃないんだよね、バトン。ところでジェイソンなら金羊毛のイアソンだけど、ジェンソンって？　ジョンとかジャンとかの息子ってことでいいのかな。