銀の裏地

　しばらく留守にしてました。というわけで遡り書き。
　2日は早朝の船に乗る予定だったので、1日深夜のＦ１決勝のＴＶ放映は観ないつもりだった。ところが寝る間際にうっかり亭主殿がヤフーのトップニュースで「小林９位」の文字を目にしてしまう。ええっ？　小林ってカムイ？　他のスポーツの人じゃないよね、というか他じゃ9位で見出しにはならないか。予選18位でＱ１脱落、更に赤信号無視で５グリッド降格ペナルティ、決勝は23位スタートじゃなかったの。最下位の山本左近と並んでの最後尾スタートに、それなら新規チームの車を抜くくらいで国際映像にはろくに映らないかとあきらめて、というか安心して（？）眠るつもりだったのに。
　2人顔を見合わせて、見るしかないか。亭主殿がチャンネルを合わせている間に私は眠気覚ましのアイスコーヒーを入れにいく。放映はもう始まっていたがまだ前フリ。さて。

　フォーメーションラップの間、今日の解説・片山右京がめずらしくカムイにキツイお言葉。降格ペナルティのことだ。気のゆるみとか自業自得とか、期待してるだけに、ということだろうけれど。逆に山本については驚くくらいコメントが無い。触れもしない。豊富な自己資金持ち込みで「乗せてもらっている」という噂はほんとうということなのか。アナウンサーでさえ彼の名を読んだのはスタート順紹介のときだけだった。ここまで無視だとさすがに気の毒。完走してるだけでもそれなりの技能の持ち主という証明ではないの。最下位といっても似たような順位のドライバーより決定的に遅いわけでもない。→この日も山本は完走。でもやっぱり最下位。地味な苗字とちょっと変わった名前の組み合わせ、という日本人F1ドライバーの条件（中島親子除く）は満たしてる（笑）のになあ。
　スタート。早速ヴェッテルが出る、アロンソが2位のウェバーをかわす、そして後方ではカムイがするすると6，7台を一気に抜いていく。画面の遠くに映っているだけだが、今季のザウバーの純白のマシンは遠目にも探しやすいので、すぐにあれがカムイだとわかる。レッドブルはもう予選から他チームが泣きたくなるほど速くって、抜かしにくいこのハンガリーではこのまま１－２フィニッシュもありかと思われ、そのあたりも見る気を失わせていた一因なのだが、このところ強気のアロンソは押せ押せである。前回のチームオーダーでの優勝はいただけなかったけど。その前のハミルトンへの文句のつけ方もね。強い人はもっと堂々としててくれなくちゃ。王者らしく。ドライバーもチームも。裁定に関してサイトでファンを煽るとか、オーダーは出してないと言い張ってみたりとか、フェラーリは相変わらず目に余ることが多い。
　15周でセーフティーカー。これで順位が動く。ヴェッテルがドライブスルー・ペナルティーをくらったのだ。なんというつまらないミス。勝てる試合をみすみす逃した。ピットではスーティルとクビサがぶつかり、ロズベルグのタイヤが外れるという大混乱。追突はルノーのゴーサインを出したスタッフの不注意。転がったタイヤが当たったウィリアムズのスタッフは肋骨が折れたそうでお気の毒に。ニコは「彼に当たったんじゃタイヤのほうが心配だよ」なんて元の同僚に言ってたけど、怪我の実情を知らなかったんだろうなあ（レースの終わりには作業に戻っていたそう。確かに頑丈な人だ）。←追記　別のニュースサイトによると大したケガではなかったとか。どっち？
　大混乱で12位まで上がったカムイはシューマッハを一気にパス（あんまりスムーズで映像にも映っていなかったくらい）、ハミルトンのリタイアなどもあり最終的に9位でゴール。運にも助けられたけれど、予選の不満足な結果や自分の不注意（赤信号見落とし）での降格にもめげず、できることを精一杯やり、チャンプをかわすという見せ場もつくり、とやっぱり小林可夢偉は大した精神力の持ち主だ。
　一方カムイにあっけなく抜かれて頭にきていたらしいシューマッハは、レース終盤で自分に並んだバリチェロにとんでもなくシビアな幅寄せを行い（しかもバリチェロを壁に寄せる形で）危険走行として次回は10グリッド降格をくらったのであった。黒旗裁定をする時間が足りなかったゆえのこの裁定、でもみんなはこれを黒旗相当として記憶すると思う。誰が相手だろうと許されないような寄せだった上に、同僚だった時にあれだけ迷惑をかけまくったバリチェロに、だ。次回出走停止でもよかったのに。

　家族で船での旅行、何が何でも6時前に起きて、全員を叩き起こして支度させ軽く食べさせるのが母の務め、というわけで寝室で寝るとぐっすりで寝過ごしそうなので、亭主殿を2階に見送り、私はゼロをめざましがわりに胸元にひっつかせて居間で仮眠したのだった。おかげでちゃんと起きられましたよ！