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テーマ:子供と一緒にどこ行こう?(54)
カテゴリ:展覧会
チケットだけはだいぶ前に生協の共同購入で手配済みだった「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」を観に、上野の芸大まで出かけてきた(付属の大学美術館があるのだ。黒田清輝とかが所蔵品)。「親子のための優先鑑賞デー」ということで、特別に月曜開館、しかも少々であれば子どもが騒ぐのもお目こぼしいただけるのだ。ゼロを置いて出かけるのもまだままならない私としては、なんともありがたい企画である。実はつい最近まで優先日のことは知らず、夏休みなら私ひとりで出かける機会もあろうかと、前売りチケットを買っていたのだ。こうでもしないとすぐ一人お出かけは我慢というか流してしまって、結局あれもこれも行けないままになるので。
しかし子ども連れOKということは、日頃美術館にはついぞ行きたがらない上の子らに教育をする良い機会ではないか(←ていうか親の趣味につきあわせたいだけ)。餌として絵を観終わったあとは科学博物館で「大哺乳類展 海のなかまたち」にも回ることを発表すると、お出かけお出かけと皆ついてくる。そちらで頭がいっぱいなので、その前に絵を見ることは流れて行ってしまっているらしい。バスも電車も楽しく乗っている。 公園口で降り、上野公園の全体図の前で、あらかじめ印刷しておいた公園の地図をリンとキイに渡す。最初の目的地が芸大美術館、その後、戻ってきて科学博物館。途中で持ってきたおにぎりを食べるところも含めて、2人でコース設定してください。いきなりのオリエンテーリング開始に、それでも素直に頭を寄せ合う2人。上野公園の施設はこれまでに東京文化会館、西洋博物館、都美術館、国立博物館、科学博物館もちろん動物園、外になるが大観記念館と主なところは実はそれぞれ連れて行っている。でもピンポイントでばかりだと、公園としての全体像は描けてはいまい。それでも、思ったより暑かったから美術館に入る前に大噴水のそばのベンチでお昼、といった予定変更も含め、スムーズにこなす2人。ナンは楽しければいい人だし、ゼロは興奮してライダー(たぶんW)に変身しては駆けまわる速度を加速させている。そんな下2人をうまく連れて移動してくれた。 マルク・シャガールは一応エコール・ド・パリの画家ということになろうか。モディリアニたちと同じアパートで画家修業をしていたわけだから。でも派閥を組んでたわけでなし、シャガールの画風は彼を追いかけたシュール・レアリストたちはいたにせよ、色彩も構図も唯一無二と言えるだろう。そして私にとってはレオン・バクストの弟子であり、ナターリヤ・ゴンチャーロワの朋輩であり、更にはパリ・オペラ座の天井画の描き手という、バレエ・リュッス文脈の人。そしてベラの花婿さん。 今回はパリの現代美術館ポンピドー・センターの所蔵品による構成で、シャガール本人の希望でもあった「ロシア美術史にシャガールを位置づけ」るもの。全体にプリミティブな作品が多い。ゴンチャーロワやその夫君でやはりバレエ・リュッスの美術面の担い手であったラリオーノフ、更にカンディンスキイらが共に並ぶが、そちらも彼らにヨーロッパで期待されたスラブな華やかさ、異国趣味に応えるようなものではなく、もっと素朴なロシアの魂に迫る方向の作品でまとめられている。だからほんとは「ロシア・アヴァンギャルド」というタイトルはちょっと違うんだよね。そのタイトルなら別置されていたシャガールがメトロポリタン・オペラのためにデザインした「魔笛」美術群と呼応させて、バレエ・リュッスのそれを持ってきたり(それこそバクストやゴンチャーロワの)、新しい芸術であった映画美術やポスター芸術への影響、なんてのをやるべきでしょう。 しかし久々にシャガールの色彩をからだいっぱいに浴びて嬉しかった。シャガールの青、シャガールの黄色、そしてベラ。親子のための鑑賞デーなのに、それでもすべてのフロアで学芸員さんに注意されてしまう息子(興奮して私の手を振りほどいて走りだしてしまうので)付きなので、どの絵もそこそこの滞在時間でしか観られなかったけれど、それでも。「魔笛」は高校時代ヒロインを演じたオペラなので、その意味からも興味深かったし(元児童劇団員のリンは舞台セットの一部や衣裳の実物が見られるものと勝手に勘違いしていたらしく、「本物じゃない」とプンプンしてましたが。だから「本物の」イメージ画だよ)。 チルドレンズ・ミュージアム アートシリーズという子ども向け美術本『シャガールとあそぼう!』のリンクくらい貼っておこうと思ったのだけれど、たった10年前の絵本なのに楽天ではデータも無い。アマゾンに中古はあるけど。ブロンズ新社の本で五味太郎監修。 何も無いのもさみしいので、別の美術絵本。『シャガールのそらとぶふたり』。
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最終更新日
2010.08.31 01:32:08
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