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銀の裏地

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絵本の紹介と読み聞かせのヒント満載(?)育児録
幼児から高校生の4児の母、内職編集者でブックトーカー。子どもと本をつなぐ活動を市内各所で展開中。
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カテゴリ:絵本の歴史
 他の本を検索中に、たまたま瀬田貞二さんの評論集で読んでいないタイトルを見つけたので図書館で借りてみた。『十二人の絵本作家たち』(瀬田貞二著、すばる書房、76年。楽天では既に項目自体なし、アマゾンでは中古入手可)。すると、なんとしたことだろう、十二人の顔ぶれに村山知義とペール・カストールがなかよく並んでいたのだった。ちなみにこの本は後に『絵本論』に再録されている。こちらは大抵の図書館にあるだろうし、購入も可能。

【送料無料】...

絵本論
価格:4,725円(税込)


  瀬田貞二子どもの本評論集
   
   瀬田貞二 著

   福音館書店 85年


 ウィリアム・ニコルソンやアーディゾーニなど、絵本史上欠かせない作家ベスト10には入ってこないけれど、瀬田さんがこの人については書いておきたいと思ったという12人が取り上げられている。他に『ゆきのひ』のキーツや『アンガス』のフラック、マーガレット・ワイズ・ブラウン(初期にゴールデン・マクドナルドという筆名も使っていたので瀬田さんは一時期彼女を男性と勘違い。光吉夏弥さんから美女です!と指摘されていた件がおかしかった)等。重要度という点ではだからばらつきもある、ちょっと変わった本だ。

 さて、村山知義。戦前の「コドモノクニ」への参加を通して、村山はペール・カストール画帖を代表する画家の一人ナタリー・パレンの絵に大いに学ぶところがあったのではないかというのが瀬田さんの推測。村山が編集部の一員でもあった頃の「コドモノクニ」の塗り絵特集号なぞは、そのほとんどが「画帖」のパレンの塗り絵本の引き写しらしい。うーん、村山とペール・カストールを結ぶ線がここに。
 もう一方向、忘れてはならない影響が、先日の展覧会の記事でもとりあげたソ連絵本。村山がドイツに留学した時期はまさにソ連の絵本の興隆期、すぐさまヨーロッパ各国で翻訳が次々に出されていた。絵のために留学していた村山がその流行に気づかないはずもないのではと私も思う。ロシア・アヴァンギャルドと村山が学んできたバウハウスは精神的交流が深かったのだし。帰国してからの平面を強調した画面構成などに、明らかにそちらの影響が見られると瀬田さんは書いている。この前参考に出した『幻のロシア絵本 1920-30年代』にも書かれていたが、ソ連絵本の宝箱・原弘コレクションを瀬田さんはご当人に見せてもらっているのだ。
 またやはり先日の展覧会に一部出品のあった「小学科学読本」12冊、これについてはメインの4人に村山をまじえ「ペール・カストールとピーターシャムから出て…それらを良く消化して独自になる過程の収穫だった」という記述が。あの展示を見る限りでは瀬田さんのそれはずいぶん好意的な解釈と思わなくもないが、私が見なかった残りの9冊、またあの3冊にしても見ていない他のページはそれなりに咀嚼して新たな展開も見られたのかもしれない。ことさらに同じ部分を並べて展示してあったろうことは想像がつくし。明治以来のわが国の外国文化の咀嚼の過程を考えるとそれは一つのやり方というものでもあったろう。
 次のペール・カストールを取り上げた章から、少し長くなるが引用したい。
「ソ連絵本、ペール・カストール、パフィンと辿るとき、私たちは操舵する編集者の方向づけで、どれほど大きな転換をきたすものかをつぶさに思い知らされるだろう。ただし、それらの編集者、ディレクターたちは、決して右から左へ前者の遺すものを移し変えたりはしない。必ず消化と創造が伴う。それを影響と呼ぶべきだろう」
 あの展覧会で感じたことを、瀬田本に補強していただいたように思う。

 そしてこうなるとやはり村山は『しんせつなともだち』を描くにあたり、ペール・カストール版の『良き友(邦題・ゆきのひのおくりもの)』を先に見ていたのではないかという気がしてくる。中国語からフランス語に訳されたその本を見て、どうしたって東洋的でない、ロシアあたりに見えるあの絵を、村山は中国ものへ翻訳してみたのではないか。文章ではなく、絵そのもので。壁や床の質感、そして雪。動物たちの表情も何もかも。村山はヨーロッパにも中国にも同じくらいの期間滞在していたから、その違いは肌で知っている。
 村山による挿絵のすべての登場人物が真横を向いていると知った今では(マンガなどではありえないが、戦前の村山が妻の演劇畑出身の村山籌子と組んだお話に寄せた軽快な挿絵では、ひたすら横を向いている登場人物たちがむしろ絵本の平面性の効果を上げる役割を果たしているのが面白い)、そして先月ペープサートのとびきり上等なものを堪能した身としては、もしかして『しんせつなともだち』をペープサートでやるとユーモラスな部分が強調されて、楽しいお話になったりするのではとちょっと夢想してみたりもするのである。ひたすら横に横に絵巻が流れていく感じが生かせそうではないか。私も特に好みというわけではない絵本だが、あの後けっこういろんなところでつまらないとか重苦しいとか言われっぱなしなのを聞いて、ちょっと気の毒な気がしていたのだ。

 そうそう、ペール・カストール以外の、ポール・フォーシェの編集した教育叢書の代表的な本として、ポール・アザールの『本・子ども・大人』を挙げておくべきだろう。私も高校生の時にリリアン・スミスの『児童文学論』とこれを教科書のように熱心に読んだ。

本・子ども...

本・子ども・大人
価格:1,529円(税込)


  ポール・アザール 著

  矢崎源九郎 訳

  紀伊国屋書店


↑楽天では扱いがないけれど、アマゾンの中古なら100冊以上あります。
 『フランスの子ども絵本史』(大阪大学出版会、09年)でもペール・カストールを取り上げているそうなので、図書館で取寄せを依頼する予定。市内にないし、買おうかと思ったらひとケタ違うんでないのというとんでもないお値段で断念。だから隣の市に行くか貸してもらうか。フランス絵本は点でしか知らなかったから、線になることを期待しよう。

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最終更新日  2011.02.14 07:59:47
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