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銀の裏地

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絵本の紹介と読み聞かせのヒント満載(?)育児録
幼児から高校生の4児の母、内職編集者でブックトーカー。子どもと本をつなぐ活動を市内各所で展開中。
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2011.06.21
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カテゴリ:展覧会
 世田谷文学館で今週末まで開かれている展覧会「世界中で愛されるリンドグレーンの絵本」展(公式チラシはこちら)にやっと行けた。午前中に読み聞かせ連続講座を受講し、そのままバスで京王線の駅、そして各駅停車しか止まらない芦花公園駅で下車。きれいな駅名だが植物園があるわけではなく、徳富蘆花の自宅と庭園を保存している蘆花恒春園に由来している。ここが駅南口から15分近く。そこまでいかない、徒歩5分強のところにあるのが世田谷文学館だ。春にはいせひでこ展をやっていた。次は夏休みに和田誠展。これは楽しみ。
 「やかまし村」シリーズ「ロッタちゃん」シリーズ(これは日本では映画で有名)といったスウェーデンらしい作品群、「長くつ下のピッピ」シリーズ、リンドグレーンの生涯、の3本立て。
 2階の常設展示の部屋で見られるのは「やかまし村」と「ロッタ」「エーミール」。子どもの頃の私が最初に作品集を読んだのはNちゃんのお宅、私たちが小学3年生のときで、彼女の家の3人、我が家の4人、角のJくんの家の3人でごちゃごちゃ遊ぶとほんとにやかまし村だった。うちの前の道路がまだ舗装されてなく土だった頃のことだ。「チョラホップ・チョーララララ」なんてピッピ映画(市の公会堂で夏休みに無料で見ることができた)の主題歌をがなったりして。そんなこともあって、リンドグレーンは個人的にもとても大事な作家。Nちゃんが転校するときにクラスに寄付していってくれた『はるかな国の兄弟』はクラスの解散時に先生からいただいて、今も私の書棚の特別な場所にある。
 このコーナーでは大好きなイロン・ヴィークランドの原画を堪能。あちらには原画の寄贈を受けたヴィークランド・ワンダーランドなる施設があるそうだ。ビヨーン・ベリイではリンドグレーンがエーミールの挿絵を彼に依頼するきっかけとなった「小さな男の子」という絵の展示も。これは貴重だ。ケストナーが気に入りそうな絵でもある。エーミールにくらべずっとおとなしいイメージの男の子だが、リンドグレーンの描く少年像の心の核にはこういう子がいるのかもしれない。
 メイン展示はピッピ。日本ではなじみがないけれどスウェーデンではピッピといえばすべての人がこれを思い描くイングリッド・ヴァン・ニイマンが中心。モダンな色遣い、リズム感にはめざましいものがある。ピッピが児童文学界に革命を起こしたのも、この絵との強烈なマッチングがあってのことではないか。文ができあがった後に依頼したとは思えない緊密な一体感。出版社によるペアリングだそうだが、慧眼である。後にこのコンビでコミック版も出しているが(ムーミンみたい)、キャラクター商品展開にもうってつけのポップさも備えた絵だ。(実際、世田谷ではランチ関係のグッズも売っていた。)
 カタログを見るとアカデミー在学中にロシア構造主義の洗礼を受け、32年にコペンハーゲンで開催された(彼女はデンマーク人)ロシア絵本展の衝撃が、後にピッピの挿絵に反映しているのだとか。うーん、今年アタマからの私的ロシア絵本ブームがここにきてまた、という感じである。露文科に出入りしていたときにもう少しこのあたりを気にしていたら、I先生に1年猶予をもらって死に物狂いでロシア語を勉強して転部してたかも……なんてことはないな。私をおもしろがってくれた先生に誘ってはいただいてたんですけど。RとLが英語でも聞き分けられない私に、もっと繊細で複雑で深い音のロシア語は手に、いや耳に負えない。目で見て先生の口や舌の形が違うことがわかってても耳の機能がついてゆかない。頭でわかっても巻き舌がだめでRがきちんと発音できない(これはドイツ語で歌う第九でも相当ダメを出され直せなかった)。「ほんとは赤なんですが」バレエ史のレポに免じて(別の単位であるロシア文化史のだったのに)下駄を履かせていただいたくらい、ダメダメ。うちの大学、語学がダメなことで有名な文学部なのに。
 えーとまた脱線してしまったが、つまりロシア絵本はそれくらいどこでもここでも影響を与えまくってたってことだ。源流はバレエ・リュッスなわけで、ディアギレフその人だってまさかここまでなんて思いやしなかったであろう。
 ニイマンの挿絵は日本では絵本版で楽しむことができる。こちらをもとにしたピッピの家ごたごた荘の模型と、ピッピとニルソン氏、トニーとアンニカの人形も置いてあり、黄色の鮮やかさがうけてかゼロがすっかりお気に入りに。しかしよろこびのあまり覆いガラスを叩きかけたのであわててひっぺがしてそれからは奴をはがいじめにしたまま鑑賞を続けるという相変わらず情けないありさま。
 ちなみに下の画像が大きくないのはこの表紙では今ひとつニイマンの魅力が伝わってこないからだ。


  アストリッド・リンドグレーン 作

  イングリッド・ヴァン・ニイマン 絵

  徳間書店

    日本版にはピッピの着せ替え紙人形つき


 飛びつくように見てしまったのはこちら。ローレン・チャイルドによるリンドグレーンの生誕百年を記念した特別版である。彼女はコラージュの技法をふんだんに使っているので、原画を見るのは殊のほか楽しい。布の一部が微妙に剥がれかけているのを見られるのも原画展ならではである。


  アストリッド・リンドグレーン 文

  ローレン・チャイルド 絵

  菱木晃子 訳

  岩波書店


 日本版ピッピの挿絵画家・桜井誠について仕事を一望できたのもよかった。私たちの世代ではピッピでなければ『少年たんていブラウン』の人というイメージ。神戸光男という元編集者の児童文学研究家が「彼の描く少年少女たちは風の中にいる」と言ったそうだが、これはいい評言。手足ののびやかさはまさにそういった感じ。真の自由人・ピッピもまた。

 アストリッド・リンドグレーンの生涯について、久しぶりに評伝をしっかり読んでみたくなった。 

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最終更新日  2011.06.23 22:40:55
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