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カテゴリ:展覧会
文庫のみんなで(といっても大人のみ)遠足。去年はクレヨンハウス探険だった。今年はいわさきちひろ美術館。小雨をついて井草へ。そういえば去年の原宿も雨だったっけ。目当ては『すきです ごりら』の作者、アンソニー・ブラウンの原画展。
ブラウンのいい読者ではなかった私、女性問題懇談会の絵本講座で紹介してもらった『おんぶはこりごり』は風刺の利かせ方がなかなかで、でも絵としての魅力はそれほどでもなかったから、おつきあい半分なところもあったけれど、いやあ、原画の力はすごい! こんなにまじまじと邦訳絵本と見比べたのは『サリーとこけももつみ』以来ではなかろうか。あれは福音館版だとほとんど黒に近い印刷なのが、原画はしっかり全編ブルーベリー色なのである。美しい! こけもも、というのは50年前の読者のための石井桃子の意訳、ほんとはブルーベリーなんですね。そろそろ福音館は差し替え版を出してもいいと思うんだけど、そこまでするほどもうマックロスキーは売れないかなあ。 閑話休題。ブラウンの描くゴリラの毛並みって、ほんとはこんなに美しかったんだ…。「愛は霧のかなたに」(←安手のメロドラマみたいだけど、原題は「霧の中のゴリラ」)という映画にもなったダイアン・フォッシー博士(映画ではシガーニー)の気持ちが1%くらいはわかったかも! これまで特に猿好きではなかったけれど、ちょっと認識改めないといけない? 部屋の壁紙等の調度も、原画のそれは繊細で美しかった。 本として思いきり知的に刺激されてしまったのが、『ウィリーの絵』。ブラウンの人気シリーズの主人公、チンパンジーのウィリーをガイドにした泰西名画案内。ゴリラがアダムやってる「天地創造」がもう最高! 「グランドジャット島の休日」は技法も含めてもう完璧なパロディ。風刺というのはこれくらい知的な営みなんだな。私もNさんも絵を観るのが好きで仕方のないタチだから、この本のセクションはもうタガがはずれたみたいに夢中になってしまった。グリーナウェイ賞は当然でしょう。特別賞だったと思うけど。 実はブラウンは国際アンデルセン賞も受賞していて、うとかった私は「え? そんな大物だったの、この人?」。日本で言えば赤羽さんですよ。トーベ・ヤンソンが最初の受賞者じゃなかったっけ。 すっかりしあわせになってしまったおかげで、その後は他のウィリーを主人公にした作品はじめ、どのブラウンも8割増しくらい(!)楽しめるようになりました。世界が広がるって、いいね! 文庫でもしばらく面出しでブラウン作品をプッシュしました。誰かが手に取るたびに、誰かが「よかったよー、原画ー!」と語り出すという。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.11.29 13:15:24
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