toramocoparmanの日々つれづれ

　 ちげーよ、今回はそんな話をするんじゃなかった。

　 遠峰あこさん追っかけて一年弱、レパートリーは200曲とも300曲ともいわれる中の、まだ1割か2割そこそこしか聴けていないのだが、そんな中から特に気に入った曲をピックアップしてみようと思う。ランキングではないので、順不同で思いつくままつらつらと。

・ホーハイ節
　 間奏の「♪RRRRR…」というアイヌの呼び声の響きが美しくて好き。遭難寸前でも連帯を確かめ励まし合う感じがこの一節によく出ている。青森民謡と言うのがちょっと意外だけれど。

・ニッポン娘さん
　 もうこの連載などで散々取り上げてきたが、少女のようなあどけない声色での「♪ポクポク子馬～」の可愛らしさがすべて。その土地ならではの名産やジョークを織り込んだオチも楽しい。

・やあさかりんりん
　 初めて聴いたときはスローテンポで冗長で難解な歌詞に馴染めなかったのだが、何度も耳にするうち、おばあちゃんが囲炉裏端でのんびりと茨城弁で独り語りする絵が浮かぶようになり、今では大変気に入っている。

・ブラザー軒
　 高田渡というアーティストは不勉強にして訃報に接するまで知らなかったのだが、この曲の表わしている本当の意味は何なんだろう。私はこの曲を聴くと、有名な合唱曲の『木琴』（知らない人は、本章終わりの注釈を参照）や、東日本大震災の犠牲者を思わずにはいられない。カフェで隣り合わせの席に居ながら、父娘には『私』が見えず、アイスクリームか何かを食べて、『私』の存在に気付くことなく無言で店を後にする。実体のない魂が、生前足繁く通った店に現れたようなシーンを思い起こさせ、とても切ない気分になる。

・東京節
　 いつもアンコール代わりにショートヴァージョンを唄うことが多くて、なかなかフルコーラスを聴く機会は少ないのだが、戦後から高度成長期にかけての東京名物を軽快に、あっという間に駆け抜けてゆくように唄う。アコーディオンの音色も右に左に自由自在にスウィングして圧巻。エンディングの「♪本日ようこそ～」「これって結構大変なんだよぉ～」のアドリブも毎回微妙に変えていて愉快。

　 まぁこんなとこかな。あこさんのレパートリーを全曲コンプリートするまで何年かかるだろう。ちなみに『私の電車シリーズ』は、大阪環状線と静岡鉄道を残して全部聴いた。大阪はさばのゆ温泉でやる可能性があるけれど、しぞーかは今後やる機会あるのかなぁ？

【注釈：合唱曲『木琴』について】
　作詞：金井 直（かない ちょく、1926年3月18日 - 1997年6月10日）
　作曲：岩河 三郎（いわかわ さぶろう、1923年9月9日 - 2013年9月16日）
　リリース年月日不明
　構成：混声三部合唱、ピアノ伴奏
　内容：敗戦直前の空襲で失った、木琴を弾くのが大好きだった妹への鎮魂歌。

　歌詞・曲調：
　　1番（スローテンポ）
　　　　妹よ　妹よ　今夜は雨が降っていて
　　　　妹よ　妹よ　お前の木琴が　聴けない
　　
　　2番（1番よりは気持ち速め）
　　　　お前はいつも　大事に大事に木琴を抱えて
　　　　学校へ　通ったね
　　　　暗い　家の中でもお前は　木琴と一緒に歌っていたね
　　　　そしてよく　こう言ったね
　　　　「早く街に　赤や青や　黄色の電燈が　点くといいな」
　　　　こう言ったね

　　ピアノ間奏（高速で激しく、グリッサンドも加えた曲調が3番終わりまで続く）

　　3番（ピアノに合わせて超高速テンポ）
　　　　あんなに　嫌がっていた　戦争が
　　　　あんなに　嫌がっていた　戦争が
　　　　戦争が　戦争が　戦争が　戦争が
　　　　お前と木琴を　焼いてしまった

　　4番（スローテンポに戻る）
　　　　妹よ　妹よ　お前が地上で木琴を鳴らさなくなり
　　　　星の中で　鳴らし始めてから　間もなく
　　　　街は明るくなったのだよ

　　5番（スローテンポ）
　　　　私の他に　誰も知らないけれど
　　　　妹よ　妹よ　今夜は雨が降っていて
　　　　妹よ　妹よ　お前の木琴が　聴けない

　 やばい、書いていて涙が止まらない。
　 中学校時代のクラス対抗合唱コンクールでは、これを歌ったクラスが必ずと言っていいほど優勝したんだよなぁ。生徒審査員が間奏に感動しちゃって、歌を全然聴かないで高評価出しちゃうから。これを完奏できるピアニストと指揮者は学年全体で超尊敬されていた。

（本当に、本当に、完！）