ファイナル、そして終了。
第2回パナマ市国際ピアノコンクール、いよいよフィナーレです。昨日26日土曜日、午前10時からと午後7時からの2回に分け、ファイナルが行われました。「国際」コンクールのファイナルといえばコンチェルト、と相場が決まっていると思っていましたが、パナマにはコンチェルトで合わせられるオケなど存在しないので、ここではファイナルといえども普通にピアノソロ。それも、指定曲1曲(R.シュトラウス=ゴドフスキー:「セレナーデ」作品17-2)と、課題曲1曲、20世紀の作曲家の自由選曲1曲、の計3曲。ひとり30分前後の演奏なのに、ファイナル出場者6人を朝と夜の2回に分け、1時間半ずつという短時間の演奏会にいたのは、どういう意味があったのでしょう。入場料収入のため?くらいしか理由が浮かばない(朝と夜、それぞれUS$20、別々のチケット!)さて私は、当初夜の部のチケットしか持っていなかったのですが、ここまで来たら、ファイナルくらい全員聴いてやろう、と、前日になって急遽チケット購入。がんばって行ってきました。朝の部は、これがコンクールのファイナル!?と出場者が気の毒なくらい、ガラ空き3人が弾いて、あっという間に1時間半で終了。夜の部は、さすがファイナルらしく、今までで一番の客入りでした。ここで、こんなことが起こってしまうのがさすがパナマのコンクールなのですが、ファイナルなのに、ファイナルでありながら、ひとり、間違えまくり、ボロボロで、挙げ句最後の音をオクターブ間違えて終えたり、ここまで違う音を弾きながら、でも止まらなかっただけエライ!としか言いようがないほど崩れた人がいて、ファイナルなのに、このレベルであったことが、このコンクールの全てを語っているな、と思わざるを得なかったのでした。こんな状態なのに6位入賞にしてしまうのか、それはパナマコンクールであってもさすがにヤバいでしょう、と恐れましたが、さすがに6位該当者無し、という結果に、ちょっとホッとしたり。そして翌日曜日に、表彰式と入賞者によるリサイタルを控えているにも関わらず、なんと夜の部終了後、30分ほど待たされた後(30分で結果が決まるんだ!)、出場者を壇上に上がらせることもなく、審査委員長がさっさと名前を読み上げ、順位発表。もうすこし、セレモニーすれば良いのに、なんとなく盛り上がらないせっかくなので、入賞者5名の名前を記録しておくことにします。もしかしたら何年後かに大活躍しているかもしれないし。おめでと~~~~~ 1位 Mario Alonso Herrero (スペイン) 2位 Kookhee Hong (韓国) ※観客の人気投票による特別賞も受賞 3位 Jingjing Wang (中国) 4位 Marcos Madrigal Soto (キューバ) 5位 Anna Khanina (ドイツ) 6位 該当者なしさてそして今日は、午後6時から表彰式と入賞者によるリサイタル。この1週間、コンクール期間中は開演時間の10分前にならないと開場しなかったのに、今日は45分前に到着した時点ですでに開場していてビックリ。今日は会場側も気合が入っているらしい。因みに、このコンクールでの時間のルール(?)は、例えば「7時開演」と書いてある場合、7時ごろ(「頃」です「頃」、あくまでも。)1ベルが鳴り、その後約10分ほどかけて2ベル、3ベルと鳴り進み、客席が暗転して幕が開くのはだいたい10分~15分過ぎ。そしてパナマ人たちは、1ベルではビクともしない。3ベルが鳴って暗転して初めておしゃべりをやめ、席に着く・・・・・・みたいな感じ。だから3ベルが鳴って幕が開いてピアニストが出てきてもしばらくザワザワ~~~が収まらなくて、ピアニストかわいそう。当初、日本流に、1ベルで大行列して待ってたトイレをあきらめ席に戻った私。だって日本だったら1ベルでみんな大慌てで席に戻るでしょ~~~~~さて相変わらず今日も6時ごろ1ベルが鳴り・・・・・・・・。観客席は、さすがに会期一番の客入り。かなりさらりとあっけなく表彰式が行われ、その後1曲ずつリサイタル。でも皆さん小品ばかりで、あっという間に5人の演奏終了。その後、賞金の授与式。スポンサーの各企業から受賞者へ授与されました。1位賞金US2万ドル。結局全てはものの1時間くらいで終了。あまりにあっけないじゃん・・・・・・・・。せっかくこれだけ集まったんだから、もう少し勿体つけてくれても。そして今日のリサイタルの曲名リストすら用意されてなかったし。。。。。。もう少しがんばろうよ。会期8日間の内、結局6日7回(ファイナルは同日に2回開催だったため)足繁く通った、この何もないパナマでの生活の中では一大イベントだったピアノコンクールは、こうしてなんだかあっけなく終了しましたこのコンクールが、「パナマにもこんなに立派な文化的イベントがあるのよ!!」と声を大にして宣伝できるレベルではなかったことは残念でしたが、それが一流コンクールにしても、三流、五流(!)コンクールにしても、まあコンクールではあって、けっこう楽しんだ1週間でした。前にも書きましたが、出場者が10人しかいない今回のような規模だと、全員の演奏をくまなく聴くことが出来る、今回の1位と2位の人の演奏は、予選からファイナルまで、全部聴けました。彼らは、予選では無難にまとめていたのに、セミファイナルで突然輝き、ファイナルまで持っていった人たちです。人と人との比較だけでなく、同じ人の流れを見守れる(?)のも醍醐味。もっと規模の大きいコンクールだったら、なかなかそんな多くは通いきれません。でも、各回で、落ちる人は100%当てることができた、ってことは、それだけハチャメチャに弾いてしまう人が毎回いた、ということで、そういうレベルの人が出ている、ということで、それが如実にこのコンクールの全てを物語っているなぁ、とも、感じたのでした。その逆に、ファイナル後の順位は、私の予想順位は見事に外れました。明らかに下手な演奏というのは良く分かるけど、あるレベル以上での比較、というのは難しいものなんだなぁ、審査員はどういう観点で審査をするんだろう、と。さて、プログラム裏表紙にはすでに次回第3回開催の案内が。再来年、2008年10月に開催だそうです。(ほんとに開催できるのか!?2年後には潰れてるかも・・・・・。)一昨年の初回も10月頃の開催だったらしい。なんでこんなに毎回、時期が前後するのかはちょっとナゾなのですが、「パナマ市国際ピアノコンクール」大きく発展して行ってほしい、と願いつつ、1週間のトルティージャレポート、これにて終了。お疲れ様でした!